小林篤のレビュー一覧

  • see you again

    Posted by ブクログ

    とても重たい一冊。鈍器本だと聞いてはいたけど、本そのものがずっしり重いし、それ以上に扱っているテーマの重さと情に圧倒される。本書の概要は、どれほど言葉を尽くしても軽々しくなりそうで、安易にまとめる事ができないが、実際の事件を知る世代として細かいディテールをいろいろ思い出したし、考えさせられた。私達はこの“重さ”そのものをしっかり抱えて共に生きるしかないのか。この分量の小説だからこそできたこと。凄かった。

    0
    2025年11月17日
  • see you again

    Posted by ブクログ

    小林さんは足利事件のルポを書いた方ですね。
    今作はノンフィクションではないという、実際の事件を下敷きにしたフィクションだがどうしても起こったことそのものから想像してしまうと思う。自分の中では彼女は頭が悪いからに近い描き方だと思った。
    大作だけどスイスイ読み進められる。
    ヘヴィな内容なのに気になって仕方なくなってしまう。
    事件当時はまだハイハイくらいやったので、読み終えてから事件については調べて少しは分かったつもり。
    ニュースでよく見るような事件、実際にはこんなにも複雑で、人間が引き起こした事なんだって思い知るのが本を読むってことなのかな。

    0
    2025年09月23日
  • see you again

    Posted by ブクログ

    1994年に愛知県で起きた中学生のいじめ自殺事件を追ったノンフィクション。
    …なのだが、登場人物らは仮名で書かれており、著者は冒頭で本書がフィクションであることを表明する。

    なぜそのような形をとったのか、解釈はいろいろできると思うが、900頁を超える本書を読んで感じた印象は、たしかにノンフィクションのそれではない。だからといって単なるフィクションを読んだ気にはならない。強いて言うなら文学的といえる読後感である。


    ところで、大衆小説と、純文学のような文学的といわれる小説のちがいはなんだろうか。こちらもいろいろと答えはあるだろうが、ひとつ挙げるならば、大衆小説にはわかりやすい結果や解決や答え

    0
    2025年07月31日
  • 足利事件(冤罪を証明した一冊のこの本)

    Posted by ブクログ

    2025年のいまとなっては冤罪が確定した事件だが、本書の発表時には菅家さんは無期懲役判決が確定し収監中だった。
    その時点で出版されているから、というわけではないだろうが、だれか個人の責任に帰するような文章ではない。著者は淡々と事実を積み上げていき、冤罪の疑いが極めて高いことを描いていき、批判的な筆致になるときも、属人的ではなく構造的に生まれた問題かのように描く。

    本事件ではDNA鑑定がおおきな意味を持っていた。それもあって本書内でもこの事件におけるDNA鑑定への批判的な検討が行われる。専門的な内容になるため、知識がない自分にとってはわかりにくかった。
    しかし、このわかりにくさと科学的根拠への

    0
    2025年08月02日