木島泰三のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
なんとも啓発された。分厚く、学術用語が多用されるが、訳注が本文見開き内にまとめられており、親切設計。ちゃんと読めば理解できるつくりで、ありがたい。
人間の心が、遺伝子由来の自律的な反応である、システム1 (TASS:The Autonomous Set of Systems、自律的システム群)と、理性的で分析的なシステム2という2つのタイプの認知に分けられるという、「二重プロセス理論」は、『ファスト&スロー』などの行動経済学や進化心理学の本で知ってはいた。
この本で新鮮だったのは、そのシステム1には遺伝子だけでなく、ミームも関係するということ。ある種のミームもまた、そのミーム自身が複 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ非常に面白かった!人間に自由意志はあるのか(そして、世界はどのようにできているのか)という問いについて、古代ギリシア哲学から現代の自然科学にもとづいた論争までカバーし俯瞰した上で、今後の見通しまで立てていくというみっちり詰まった濃い本。哲学は入門書を読んだくらいという私でも、論の進め方が懇切丁寧なのでしっかり読めばついていけるという感じ(ほんとに読めてるのか?)。
私は今までこういう話にはあまり興味がなくて、それはいくら科学が発展し世界の全てを説明したとしても「神がそのように創造したので、世界は完璧なんです」とか「いくら天文学的な確率だろうと、自然に神も法則も一切なくて全ては偶然なんです」と強 -
Posted by ブクログ
「決定論」や「運命論」をめぐって展開されてきた哲学史上の議論を、自由意志にかんする現代的な問題意識のもとで整理しなおし、さらにダーウィン以降の自然科学があたえたインパクトを踏まえながら自然主義の立場から自由意志をめぐる諸問題を解決するいとぐちをさぐっている本です。
サブタイトルは「決定論をめぐる哲学史」となっており、古代ギリシア哲学における決定論やスピノザおよびライプニッツの議論などにも立ち入ってそれらの議論が紹介されています。とはいえ、著者の関心は現代における自由意志をめぐる問題に焦点があてられており、そうした観点から哲学史の検討を通じて「決定論」と「運命論」を峻別する試みがなされています