秋場大輔のレビュー一覧
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ネタバレ実際に2018年に起きたLIXILでのCEO解任劇のドキュメンタリー。
LIXILはトステムとイナックスが対等合併してできた会社(他3社)だが、実質はトステムのほうが影響力があった。そのトステムの創業家で株式を3%所有している潮田氏が自身の私利のために会社を利用するために、モノタロウから招いたCEO瀬戸氏を突如解任するところから本書は始まる。
瀬戸氏は住友商事からモノタロウを創業から上場まで果たした人物で、このまま下がって別のオファーを受けたほうが、キャリアにも傷がつかず、金銭的、体力的、時間的にも合理的だったはず。
だが、自分の信条「Do the Right Thing」を貫くために、勝 -
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一気に読みました。有名企業の経営層で起こった、有名なこの出来事の8ヶ月間を追体験した読後感です。
昨今揶揄されるJTC(古いタイプの日本企業)における不条理が、法のルール、それだけではなく、というよりも人々の義憤、正されるべきは正すべきというシンプルな考えが、一人ひとりの行動に結びついていき、物語はクライマックスへ。
この物語は、集まった人々とそのタイミングが作用して、大きな流れができた結果なのだと感じました。
そのような機会が到来せずに、無念の継続が続くケースもまた多くあるのだろうと、この物語を読んでいて感じ入りました。
いずれにしても、こういう事例があったことは大きな学びで、何か明日への活 -
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LIXILで約3%の株式しか持たない創業家出身者が、外から呼んできたプロ経営者を追い出すという事件。勝目の薄い戦いに臨んだプロ経営者がこの戦いを勝ち取った。経済小説やドラマのようなノンフィクション。凄まじい攻防に臨場感あり、ページを捲る手が止まらない。
プロ経営者というのが瀬戸欣也。東大ではあの村上世彰とも同級生。本著には村上ファンドも瀬戸欣也の見方として登場してくる。瀬戸は住友商事出身でモノタロウを立ち上げたやり手社長だ。
対して創業者側。そもそもLIXILは、2011年に誕生。トステムとINAXが統合した後、住生活グループに社名変更。その後、サンウエーブ工業や新日軽、東洋エクステリアと -
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ドキュメンタリーだ。LIXILの社長交代劇に端を発した、8ヶ月に及ぶ経営陣の 内部紛争の物語である。
LIXILの母体であるトステム創業家の潮田氏が、プロ経営者として招聘した瀬戸氏に偽計を用いる場面から物語は始まる。
経営の方向性の違いから、瀬戸氏はトップからひきずりおろされる。しかしその経緯の不透明さから調べていくと、辞任劇そのものが潮田氏の二枚舌から発生していたことが分かる。この出来事を蟻の一穴として、瀬戸氏はLIXILに闘いを挑んでいく。
創業家への忖度でガバナンスの効かない経営陣、それをいいことに会社を思うままに動かそうと暗躍する潮田氏。無理な闘いと思われた瀬戸氏の周りに援軍が現 -
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【決戦!株主総会。LIXIL死闘の8カ月】
1.物語
ノンフィクションです。2018年から2019年に発生した東証1部上場/LIXIL社の物語です。3%株主かつオーナー経営者と雇われ社長が経営方針と経営権をめぐり対立します。その一部始終が記載されています。
2.購読動機
株主総会は、会社が起案する議案と株主が起案する議案の2種が存在します。外部からはどちらの議案が決議されたのかは?判断することができます。
一方で、議案が決議されるにあたってどのような議論がされたのかは?議場に出席した株主でない限り判断することは困難です。
このLIXILの経営権をめぐる対立は、当時の報道を通じて目にする機会が -
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ネタバレ真実は小説よりも、、、
ページをめくる手が止まらなかった。
瀬戸さんの胆力、人望、これまでの「do the right thing」に従った実直な行動が、吉野さんをはじめとする沢山の人を惹きつけ、ワンチームとなって巨悪を倒した!
自分も機関投資家の1人として、ISSやグラスルイスのレポートにそのまま従うことが殆どだが、それを覆して50%超の賛成を瀬戸チームの力は、本当にすごいと思った。
瀬戸さんが社長をするLIXILの株は成長間違いなし!と言いたいところだが、インフレや利上げによる不況見込みで簡単には行かなそう。でも、方向性は間違っていないと思う。
ただ、あまり株が上がると、背任、犯罪 -
Posted by ブクログ
LIXILの経営陣を巡る株主総会での戦いのノンフィクション。3%しか株式を持っていないトステム創業家の潮田氏は、指名委員会の委員を自分に親しい人物で固めることで、外部からのプロ経営者であった瀬戸氏を辞任させることから、話が始まる。
会社は株主の物であることは自明の理だが、機関投資家や金融機関の株主は、投資先(LIXIL)と取引があり、機関投資家もアクティビストと思われたくないため、今回の騒動に深く首を突っ込まない姿勢があった。そのため、潮田氏の独善的な経営判断が正当化されるという、コーポレートガバナンスの弱さが露呈した。
本書は瀬戸氏目線でCEO辞任させられるところから、株主総会でCEO復帰を