姉崎等のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最近、熊のニュースが多いと感じていたので、熊についてもっと知りたいと思い読みました。率直にとても感動しました。
アイヌ民族最後の狩人姉崎さんは65年間に渡り、熊撃ちとして活動されて、まさに地を這うようにして山の地形や歩き方、熊の習性、生態、解剖を理解されていった方であり、文中何度も『クマの心がわからなければクマは獲れない』『クマが私のお師匠さんです』と話されていたのがとても印象的です。
熊は人間をよく観察していて、熊も人間を怖いと感じている。後半では、実際に熊と遭遇した時の対応も記述されており(組み伏せられたときの対処法はとにかく驚愕でしたが)いざという時のために慌てずに実践できるように知 -
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アイヌ文化を知りたくて、関連する本を複数手に取ったが、この本が最も求めていた内容だった。
まさに「こういうことが知りたかった!」という感じ。この本は2014年初版だが、今読むべき本であり、この本に出会う前の自分に声をかけられるならば、「早く読みなさい」と叱っているだろう。
人間本位の一方向の考え方を改めてくれる。
アイヌが大切にしている考え方「この世に無駄なものは一つもない」は、他の作品でも見たことがある。でもその言葉はどこか平面で、ただの「言葉」だった。姉崎さんの話によって、この言葉が血の通った生きた言葉になり、意味を帯びた。アイヌになぜその言葉が根付いているのか、その言葉のもつ本当の意 -
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とても面白かった。
なぜなら、この本でしか知れない・読めない話ばかりだったから。
この先、こんな内容の本とか、こんな話を聞ける別の機会はないと思う。
アイヌ民族最後の狩人。
時代の変化の中で、狩猟に取り組み続け経験を積んだからこそ掴んだ感覚、話せること。
これはこの先同じように経験できる人がいない。
学術的にではなく、実地経験に基づく話なのですが、あまりにその経験が豊富で説得力を感じられました。
クマにあったらどうするか…本で語られる対応策を試す時はきっと自分にはやってこないと思うけれど、読んでよかった。そう思えるほどに読む前抱いていたクマに対する考えや見方がクマに関わった人から見ると違う -
Posted by ブクログ
読み進めるにつれて、クマという生き物の存在がリアルに感じられるようになりました。
人間の、隣にいる存在。
山よりも、里で暮らすことの方がしっくりくる存在。
むやみやたらに人間を襲う存在ではないこと。
それどころか人の近くにいて、人の気配に気づくと、そっと立ち去る存在であること。
大きなクマの方が安心であること。
それは、大きくなるまで生きてこられた、その生き方が信頼できるものであるから、ということ。
私が住む地域にはクマは住んでいないけれど、いつかクマが暮らす地域に行くときは、クマのことに考えを巡らせてみよう、と思うようになった一冊でした。 -
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クマ撃ちの愛犬の名前がリュウだったり、川に落ちた時は弾丸で火をつけたエピソードだったり、ゴールデンカムイを読んでいると「あ!この話見たぞ!」と思う箇所が盛りだくさんで楽しかった。
おそらく野田先生も読み込んでるんだろうなあ
クマによる恐ろしい事件を変に聞きかじっていたせいで脳に植えついてしまった「クマは恐ろしい化け物」というイメージが、本書を読んだ事によって矯正された感じがある。でもやっぱり会いたくは…ないかも…
クマとの共存には相互忌避、お互い興味のない隣人を目指す事が大事という事に、これから目指すべき姿勢を学べた。
インタビュー形式なのも知識欲が満たされて良い!面白かった! -
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クマにあったらどうするか
姉崎等さん、アイヌ民族最後の狩人。日本人の父とアイヌ民族の母を持つ 。1923年生まれ、2013年没。
65年間狩猟生活を送る。以上が簡単な経歴ですが、このアイヌ民族最後のクマ撃ち猟師から貴重な経験談を聞き取りまとめたのがこの本です。
現在、各地でクマの被害が多く取り上げられていますが、この本を読むとこれはあくまでも人間から見た観点で、クマから観たら「人間による被害」と言いたくなる思います。
姉崎さんは「クマを師匠だと本気で思っています」と発言していますが、ヒグマをキムンカムイ(山の神)として敬ってきた民族だからこその気持ちでしょう。子どもの頃から生計を支えてきた姉崎 -
Posted by ブクログ
かわいい表紙に似合わず、語り手の姉崎さんは熟練の猟師のお爺さんだ。クマ狩りだけでなくアイヌの血統でアイヌの文化に詳しいことや生きた時代からもマンガ『ゴールデンカムイ』のアシリパのモデルになっているのではないかなと感じた。
クマの歩く音は季節によって違うこと。(夏のクマの音はサワ、サワ 青草が伸びきっている中をクマが歩く音。秋のクマの音はガサ、ガサ 落ち葉を踏む音?)
野ネズミいっぴきのためにヘリコプターから毒物を撒くと森が死ぬ。キツネ、タヌキなど肉食動物や虫や植物、水も変わってしまう。
『沈黙の春』と同じことを言っている。
山でたくさんの時間を過ごした姉崎さんも自然はそのものだけで存在して -
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アイヌ民族最後のクマ撃ち 姉崎等氏の聴き語り本。
装丁の絵は可愛らしいが、内容はしっかりと本格派。
和人とアイヌの間に生まれた姉崎氏は、青年時代からひとりで山に入り、熊を師として経験を積んできた、アイヌ最後のクマ撃ち。
クマを撃つには、まずクマを知ること。
そして姉崎氏はクマの気持ちで物を考え、道を選び、狩人と対峙する。
そのノウハウがふんだんに盛り込まれている本書は、クマと出会う可能性のある人、クマの住むエリアに住む人、熊を狩るハンター、いずれの人にとっても必読の書。
本書の聞き書きが為されたのは2000年、それから25年が経過して熊を取り巻く環境や、熊の生態は変わっているかもしれない -
Posted by ブクログ
積読本
最近、北海道ではヒグマがかなり出没しています
アイヌ民族最後の狩人 姉崎さんに
片山さんがインタビューする方式で本は進みます
アイヌでは羆はカムイ=神様として扱われていた
ただし人を食べたクマは悪い神
クマにあってしまったら
逃げない 目を逸さずに お腹から声を出す
ただし
人を食べてしまったり、襲ったクマは
人間を自分よりも弱いとわかっているので
殺すしかないそうです
元々クマの住む世界を人間が狭めてしまっている
ゴミを山に捨てたり
食べ物を与えたり
本来食べるドングリ、コクワが少なくなってしまったこと
だから里におりてきてしまう。
クマを怖がるだけじゃなく、共に境界線を -
Posted by ブクログ
かわいい表紙から、クマの生態を様々なエピソードで紹介して、クマに出会っちゃった時の対処も知る、みたいなカルイ読み物を想像していた。
ところがどっこい。
書かれていたのは、60年を越える長い時間を、アイヌ民族の最後の狩人として過ごした、ひとりの男性の骨太な半生だった。
派手さはまるでない。
周りの大人から生きる術を学びながら、懸命に生活した少年時代。
クマを師匠に狩人としての技術を身につけ、淡々と自然と対峙してきた狩人としての生き方。
時代の流れの中で、狩人としての知識を社会へと還元した晩年。
ひとりの男性の中にただ静かに眠っていた膨大な知識は、彼に魅せられたインタビュアーの根気強い問い