松本敏治のレビュー一覧

  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

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    ネタバレ

    ASDは方言を話さないのか
    この疑問にとことん追求していく過程はまさしく研究論文を読んでいるようでした。
    前半の様々な調査結果云々の話は正直もうわかったよとなるほどでしたが、著者がしっかりこの問題に根底から向き合おうとしている姿勢は良く感じられました。
    自分は子育て中の親としてASDについては少し齧った程度の知識でしたが、方言は相手との心理的距離を埋める社会的役割があるが故に、そのような背景を理解するのが難しいASDの方が方言を使わないという主張は新しい視点だったので非常に興味深かったです。

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    2025年11月22日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

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    そもそも方言にはどういう社会的機能があるのか、でその機能こそが自閉症の苦手とする分野である、だから方言が話せないと。我が家は3.5の言語も常にあるので、そりゃー難しい。

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    2025年09月11日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

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    津軽地域で乳幼児検診にかかわる著者の奥さんの「(お母さんはバリバリの津軽弁なのに)自閉症のお子さんは標準語でしか喋らない」」との噂話に「じゃあちゃんと調べてやる」と宣言し、「自閉症と方言」について研究を行う。自閉症と方言は発音の問題(先行研究多数)と断じていたが、その結果は著者を驚かせるのに十分すぎるものだった。

     まず、津軽地域での研究では、自閉症(以下ASD)児は方言を発する頻度が目立ったが、著者はそれを「ASDの発話にみられる独特のアクセントやイントネーションは、方言を多用される社会では方言を使わないという印象として捉えられるのか。それは現場感覚なものだろう。妻の言うことも一理あるかも

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    2024年08月25日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

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    書店で最初の"発端"を読んでその文のおもしろさに惹かれ、購入して読み終わったあともいい本に出会ったなぁとしみじみ感じました。
    自閉症の子どもがどうして方言を使用しない(覚えない?)のかという疑問を、地元の身近なところからもっと広い範囲へ、内容へと突き詰めていく過程がとてもおもしろかったです。
    また要所要所で出てくるたとえ話が的確でわかりやすいのもよかった。
    何気なく使っている日常の言葉にもいろいろなルールや特色があること、コミュニケーションをとる上で細やかな気遣いや心の機微で言葉が成り立ってることがよくわかる一冊でした。

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    2023年02月09日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

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    自閉スペクトラム症(ASD)の子が方言を話さないというのは、自身の息子の印象とも合っており興味深く読んだ。

    息子は小1で三語文程度の発語はあるが、本書に書かれているようにビデオや本からその場に応じたセリフを抽出したような話し方をする。
    そのような現象が、ASDが持つ意図理解の困難さに起因するという説が述べられていて、なるほどと思った。
    本書の段階ではまだ仮説の段階のようだが、言語能力障害の原因の検証が進むことを願っている。そして、息子とのコミュニケーションがもっと取れるような日がくればうれしい。

    次は本書の続編の「リターンズ」を読んでみる。

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    2022年01月14日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

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    業界の中では以前から知られていることでも、実は体系的に証明も分析もされていないような、いわゆる暗黙知に取り組んだ物語として読んだ。
    自閉症や方言についてだけでなく、色々な分野に当てはまる話だと思う。

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    2021年11月23日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

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    障害児教育に関わる国語科教員免許保有者としては、どの角度から見ても興味深い内容だった。

    言葉のもつ役割、そこにある意図、意図のやりとり、その結果としてのコミュニケーション、その表層にある方言…

    現場の経験値と研究の見地がいい形で交わった結果の産物。

    もし「やっぱ自閉症って津軽弁しゃべんねんじゃね」が妻の発言じゃなかったら、筆者もここまでの(10年も!)研究に至らなかったのではないか?

    言葉とコミュニケーションについても自閉スペクトラム症についても理解が深まる一冊。

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    2021年09月18日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

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    精神疾患と言語・方言の関係というユニークな研究。奥様とのやり取りから研究が始まるところがリアルというか、面白いというか、・・・うまく言語化できませんが、親しみが持てる本です。内容も勿論興味深いです。

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    2021年07月18日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

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    弟が自閉症なので、結構納得でした。確かに弟も家族とはコミュニケーションを取ろうとせず、テレビコマーシャルなどは丸覚えしていました。

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    2021年03月01日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

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    青森県津軽地方で教育学を研究している筆者が、妻から聞いたASDの子どもは地元の方言を話さないという噂を確かめるため、研究を始めた。
    本書はまず筆者の実証研究が丁寧に紹介されており、どうやら噂は真実で他の地方でも見られることが確かめられた。
    後半では、言語発達やこころの理論をもとに、その理論的背景について考察している。周囲の家族らからの言語習得が苦手で、テレビのセリフなどを教材に言語を獲得しているためと考えられている。

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    2025年12月04日
  • 自閉症は津軽弁を話さない リターンズ 「ひとの気持ちがわかる」のメカニズム

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     『自閉症は津軽弁を話さない』の続き。前作を読んだとき、“定型発達(TD)は普通・正常、自閉スペクトラム症(ASD)は○○ができない・異常”という意識が前提にあることに違和感を覚えた。別にこれは、著者の松本さんがそういう偏見を持って書いている!と非難したいわけではなくて、自分の意識も含めて、あれ?という気付きを導く違和感を得た、という意味。
     その後、横道誠さんのムーミン本で「ニューロダイバーシティ」という概念を知り、この違和感はさらに高まった。そこでこの『〜リターンズ』を読んでみたら、松本さんも「私たちが普通と思っている普通ってなに?」という視座からの考察を深めているように感じた。中でも、「

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    2025年10月24日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

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     終盤、方言の話から少し離れて(というかそこからさらに深まって)、「ASDの人に対して“ですます調”で行動指示をする」というシーンを発端に「意図」の話になっていったあたりからが特に面白かった。その部分に関してのみの感想を書き残しておく。

     私の解釈による、ASDと「意図」について本書に書かれていたことのざっくりまとめは以下の通り。

    ・意図とは単なる欲求ではなく、成し遂げたいことに向けてプランを立てて調整しようとする心の働きのこと。人の行為は意図に基づいている(「心の理論」)。
    ・私もあなたも自由意思(意図)を持っている。相手になにかしてほしい行為があるときは、相手の意図に働きかけて意思決定

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    2025年10月18日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

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    ネタバレ

    「私の受け持った子たちの中にも、関西弁を話さない子がいる」(当方、教員。)
    そう思ったのが、この本を手に取ったきっかけである。
    (ある本でこの本が紹介されていたのもある。)

    なぜ、自閉症は津軽弁(方言)を話さないのか、一つの納得できる解が見つかったと思っている。
    あと、事例として、自閉症の子どもがビデオ(アニメ)から言語習得をしているというのは、興味深かった。
    学校にいるあの子が、常に演じるように会話をしているのは、こういうことだったのかと腑に落ちた。

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    2025年09月22日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

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    「パターン・シーカー」にあるように自閉症のシステム化マインドも人類にとって大事なものだったわけだが、一方で共感性や社会性を苦手とする為に彼らは方言を話さない

    大なり小なり誰にでも自閉症マインドはあるのかも
    スペクトラムなんだし

    面白かった!

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    2023年04月08日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

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    著者は教育心理学者。著者の妻は臨床発達心理士として現場で働いている。
    2人は弘前に住む。
    著者は博多生まれだが、妻は津軽生まれ。津軽弁に関しては妻がネイティブである。
    ある日、仕事から帰ってきた妻が、何気なく「自閉症の子どもって津軽弁しゃべんねっきゃ(話さないよねぇ)」という。著者は、「それは津軽弁をしゃべらないのではなく、自閉症児の音声的特徴が方言らしく聞こえないということでは?」と反論する。自閉症の人は一本調子の独特の話し方をするのだ。
    そこで収まるかと思うと、妻は気色ばんで、いや、そういうことではない、と言い返す。
    お互い、専門家同士の意地もあって、思わぬ口論になってしまう。
    一呼吸おい

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    2022年01月08日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

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    結論部分はよくわからなかったが、言語の習得過程が異なるということか。

    方言を話さないということや言語の習得過程など新たな知識が得られて面白い。

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    2020年11月19日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

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    「自閉症の子は津軽弁を話さない」という妻の言葉から始まった、自閉スペクトラムと方言についての全国調査と、その結果から確かめられた自閉スペクトラムの子供は定型発達の子に比べて明確に方言を話さない傾向があるという事実に対する考察をまとめたもの。そのような話があるとはまったく知らなかったので驚くとともにとても興味深い話であった。この本にあるようにASDの子の言語獲得にテレビやラジオといった(主に共通語が使用される)メディアの影響があるとするならば、そのようなメディアが存在しない過去においてASDの言葉がどのようなものだったのか気になる。

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    2020年10月13日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

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    自閉症は方言を話さない。この現象に「なぜ」をぶつけて検証した記録。ASDは他者の意図理解が困難であることがポイント。意図理解の弱さと自然言語習得の困難さの関連。家族が話す方言は生活の中の行動で意図の読み取りや理解が必要で,それを模倣したり取り入れたりすることが難しい。一方で,テレビ等の言葉は生きている世界からの脱文脈(独立した文脈)で話されており,それを真似したり学習(再現)することはできる。共同注意や心の理論が関わる。この本の続きもあるようだ。読んでみよう。

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    2025年10月26日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

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    自閉症の子供は津軽弁を話さないという夫婦の何気ない話題を、しっかりと地に足のついた調査に発展させていて興味深い。

    まず調査したこととしては、本当に津軽弁話さないのか?ということ。臨床心理士の妻の言葉を否定するため?の調査であったが、調べてみると津軽弁どころか、方言そのものを話さない傾向が見えてくる。
    ではなぜ方言を話さないのか?
    なぜ共通語で話すのか?
    そうした小さな疑問に仮説を作りながら、筆者なりの解答を得ていく、そのプロセスが丁寧に語られる。

    すこし回りくどく感じる人もいるかも知れないが、地に足のついた答えに辿り着くためには、このくらい地道に答えを積み上げていくことが大切なのだと思う。

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    2024年08月10日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

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    ASDの子供が津軽弁を話さない、という噂から調査研究した内容が纏められている著書
    当初はASDの発話特徴として平坦さがあるために津軽弁と認識されにくいのではないか?との仮説で調べるが、方言の単語も使われない傾向が確認される
    そこから言語習得の過程から特徴があるのではないかと、研究の進んでいく様は興味深く読めた

    研究結果としては津軽弁に限らずASDは方言を話さない傾向がある
    その要因としてはASDの特徴である意図理解の弱さが挙げられている
    会話などの自然言語は意味だけで成り立ってはおらず、関係性を含む使用状況から汲み取れる意図が重要となる
    方言の使用は地域コミュニティの関係性を意味するところも

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    2024年06月23日