作品一覧

  • 自閉症は津軽弁を話さない リターンズ 「ひとの気持ちがわかる」のメカニズム
    4.0
    「自閉症の子って津軽弁話さないよね」妻の一言から調査は始まった。10年間の研究のすえ妻の正しさは証明され、この変わった研究は全国紙にも載る結果に。それから数年後、方言を話すようになった自閉症児が現れた――。多数者である私たちはどう方言を話すか、相手の意図をどう読み取っているか。そもそも「普通」の発達とは何かを問うことで、ことばの不思議から自閉スペクトラム症を捉えなおそうと試みる画期的ノンフィクション。 第I部 自閉スペクトラム症の振る舞いと認知の謎 第1章 音声の絶対音感者 第2章 自閉症は熊本弁がわからない 第3章 人はどうやってことば遣いを選ぶのか――社会的関係性と心理的関係性 第4章 なぜ、ごっこ遊びでは共通語を使うのか 第5章 印象としての方言 第6章 意図とミラーニューロン――行為を見ることの意味 第7章 意図とコミュニケーション――目標とプランの読み取り 第8章 意図と協同作業――なぜ、意図を読むことが大切なのか 第9章 ルール間の葛藤――社会的ルールとオリジナルルール 第10章 社会的手がかりへの選好のパラドクス ――わからないから注意を向けないのか、注意を向けていないからわからないのか 第11章 伝わる情報、広がる情報――ミームの概念 第12章 共同注意と情報の共有 第13章 もしも自閉スペクトラム症の子が25人、定型発達の子が5人のクラスがあったら 第14章 おさらい 第II部 新たなる謎 第15章 方言を話すようになった自閉スペクトラム症 第16章 再び調査開始 第17章 ケースの実態 第18章 なぜ、自閉スペクトラム症も方言を話すようになるのか ――社会的スキルの獲得と関係性の変化 第19章 自閉症は日本語を話さない
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く
    4.0
    自閉症児者が方言をしゃべらないという噂は本当なのか? 方言の社会的機能説、意図理解、自閉症児者の言語習得、自閉症児者のコミュニケーションの特異性等、筆者の飽くなき探究心から見えてきた真相とは。

ユーザーレビュー

  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

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    ネタバレ

    ASDは方言を話さないのか
    この疑問にとことん追求していく過程はまさしく研究論文を読んでいるようでした。
    前半の様々な調査結果云々の話は正直もうわかったよとなるほどでしたが、著者がしっかりこの問題に根底から向き合おうとしている姿勢は良く感じられました。
    自分は子育て中の親としてASDについては少し齧った程度の知識でしたが、方言は相手との心理的距離を埋める社会的役割があるが故に、そのような背景を理解するのが難しいASDの方が方言を使わないという主張は新しい視点だったので非常に興味深かったです。

    0
    2025年11月22日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

    Posted by ブクログ

    そもそも方言にはどういう社会的機能があるのか、でその機能こそが自閉症の苦手とする分野である、だから方言が話せないと。我が家は3.5の言語も常にあるので、そりゃー難しい。

    0
    2025年09月11日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

    Posted by ブクログ

    津軽地域で乳幼児検診にかかわる著者の奥さんの「(お母さんはバリバリの津軽弁なのに)自閉症のお子さんは標準語でしか喋らない」」との噂話に「じゃあちゃんと調べてやる」と宣言し、「自閉症と方言」について研究を行う。自閉症と方言は発音の問題(先行研究多数)と断じていたが、その結果は著者を驚かせるのに十分すぎるものだった。

     まず、津軽地域での研究では、自閉症(以下ASD)児は方言を発する頻度が目立ったが、著者はそれを「ASDの発話にみられる独特のアクセントやイントネーションは、方言を多用される社会では方言を使わないという印象として捉えられるのか。それは現場感覚なものだろう。妻の言うことも一理あるかも

    0
    2024年08月25日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

    Posted by ブクログ

    書店で最初の"発端"を読んでその文のおもしろさに惹かれ、購入して読み終わったあともいい本に出会ったなぁとしみじみ感じました。
    自閉症の子どもがどうして方言を使用しない(覚えない?)のかという疑問を、地元の身近なところからもっと広い範囲へ、内容へと突き詰めていく過程がとてもおもしろかったです。
    また要所要所で出てくるたとえ話が的確でわかりやすいのもよかった。
    何気なく使っている日常の言葉にもいろいろなルールや特色があること、コミュニケーションをとる上で細やかな気遣いや心の機微で言葉が成り立ってることがよくわかる一冊でした。

    0
    2023年02月09日
  • 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

    Posted by ブクログ

    自閉スペクトラム症(ASD)の子が方言を話さないというのは、自身の息子の印象とも合っており興味深く読んだ。

    息子は小1で三語文程度の発語はあるが、本書に書かれているようにビデオや本からその場に応じたセリフを抽出したような話し方をする。
    そのような現象が、ASDが持つ意図理解の困難さに起因するという説が述べられていて、なるほどと思った。
    本書の段階ではまだ仮説の段階のようだが、言語能力障害の原因の検証が進むことを願っている。そして、息子とのコミュニケーションがもっと取れるような日がくればうれしい。

    次は本書の続編の「リターンズ」を読んでみる。

    0
    2022年01月14日

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