山福朱実のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
神様と動物と人間の魂が、今よりも近くつながっていた頃のお話しです。
いろんなところに神様がおられて、お葉もおじいさんもそのことをとても大切にして暮らしています。
私はこの時代に生きたことがないけど、胸がじんとして懐かしい気持ちになります。
石牟礼さんの書く物語は、人間の深いところに流れているものと繋がっているからでしょう。
山福朱実さんの版画も本当に素敵です。
小学校上級以上と書いてありますが、子どもの頃に読んでいても、あらすじだけを楽しんで、この本のしみじみとしみ入るようなよさはわからなかっただろうなと思います。
今、出会えてよかったです。
手元に置いて何度も読み返したい1冊になりました。 -
Posted by ブクログ
七つのお葉は幼い頃に両親を川で亡くし、爺さまに慈しみ育てられている。
喪失の哀しみを持った子どもは、声なき声に耳を澄まし、異界に足を踏み込んでしまうのだろうか。
お葉の幼いながらも凛とした強さと優しさが、種を越えたものたちをも惹き付けるのだろうか。
山犬ランや黒猫おノン、千年狐のごんの守、大なまず、木の精など不思議な力を持つものに対する畏敬を念を持ち、人々の暮らしと共にある。
今はどうだろう。大切で美しいものを手放してしまったような気がする。
この不思議な話は、まさに阿蘇山のまわり山岳地帯から生まれた。雄大な阿蘇の自然と高千穂の神話、民間伝承や信仰が息づいている。
阿蘇の草千里、秋の野の尾 -
Posted by ブクログ
八歳のお葉は船頭の祖父千松爺と二人暮らし。
父と母は水に呑まれてしまった。
両親がいなくて町はずれに住むお葉は村の子供たちと一緒に遊べない。
お葉は大犬の”らん”と親しくなる。らんは盲の山伏に寄り添っていた犬で、きっと山の神様のおつかいだ。
らんに連れられお葉は山の奥深くに入り込む。
お葉は”ごんの守”に会う。
ごんの守は神様のおつかいで、位の良い狐だ。そしてそのお役目は、山の胎の水を浄めることだ。
お葉はごんの守と一緒に山のお胎(おなか)のような湖の底にお籠りをして、その時から山の声が聞こえるようになった。
ある時地面が揺れ山が火と石とを飛び散らせる。
山が火を噴けば石は飛び地面は割れ山