塚原久美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
中絶に良いイメージを持つ人はほとんどいないだろう。
堕胎、経済的困窮、望まぬ妊娠などなど、とにかく「中絶=悪」としか思えないのが多くの人の本心だろう。
また、近時のニュースでは、生まれた子を放置して死なせる(保護責任者遺棄及び死体遺棄)女性の処罰が話題に上る。
そこに至る背景として、パートナーの同意が得られないまま中絶期間を過ぎていた、ということがある(24頁)。
考えてみてほしい。
なぜ中絶が罪で、そして女性だけがその罪を被るのか。
父親たる人間には何の咎もなく、「おろせよ」といった言葉で済まされてしまう現実を。
法的にもおかしな話で、刑法で堕胎罪があるのに母体保護法でそれは修正されている。 -
Posted by ブクログ
安楽死に関する本を読んでいて、その過程で何故か気になって読んでみました。
序盤や終盤の古典的フェミニズムの世界観にちょっと辟易しましたが、それでも勉強になったし、読んで良かったです。
ただ、「産まない自由」(中絶)の話がメインで、「産む自由」についての話題があまりなかったのがよく分からなかったです。
また、「リプロの権利」が強く主張されるだけで、その思想的な基盤(理論)が説明されないところには物足りなさを感じました。
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PKディックの短編小説に「まだ人間じゃない」という堕胎批判目的で書かれたと思しきものがあるのですが…胎児を「まだ人間じゃない」と断言する感覚は僕には理解できません。
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Posted by ブクログ
高橋新書ガイドから。こちらはどちらかというと第三者目線。だからこその、産科医療への厳しい視点が興味深い。確かに、利権絡みで旧態依然とした医療がまかり通っているとしたら、それは社会にとっての不利益。ただそもそも、自身の経験としても感じたことだけど、出産が保険適応外ってのが意味不明。それがために生じている祖語も少なくない、ってことを、本書で改めて思い知らされた次第。あと、水子供養って概念が比較的新しいものである、ってのもちょっとビックリ。これも感じていたことだけど、確かにおかしな概念だもんな。生を受けていない存在が、なぜに現生を呪う?極論すれば、つけ込み詐欺、みたいなもんだわな。