あらすじ
妊娠・出産したいか、したくないか。いつ産むか、何人産むか――。そのほか、中絶、避妊、月経、更年期に伴う心身の負担など、生殖関連の出来事全般に関し、当事者がどのような選択をしても不利益なく生きることのできる権利を「リプロの権利」という。1990年代、女性にとって特に重要な権利として国際的に定義・周知されたこの人権について、日本でほぼ知られていないのはなぜなのか。中絶問題研究の第一人者が国内外での議論の軌跡をたどり解説する。少子化対策と称し「出産すること」への圧力が強まる今、必読の書!
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Posted by ブクログ
女性としての権利、尊厳がいかに損なわれてきたのか(いるのか)がよく理解できた。産まない自由、特に中絶へのアクセスをより身近なものへすることで、孤独な出産や育児、虐待、殺害などを減らせるのではないだろうか。子供を産み育てることは簡単ではないからこそ、産まないという選択肢も尊重されるべきだと感じた。
Posted by ブクログ
安楽死に関する本を読んでいて、その過程で何故か気になって読んでみました。
序盤や終盤の古典的フェミニズムの世界観にちょっと辟易しましたが、それでも勉強になったし、読んで良かったです。
ただ、「産まない自由」(中絶)の話がメインで、「産む自由」についての話題があまりなかったのがよく分からなかったです。
また、「リプロの権利」が強く主張されるだけで、その思想的な基盤(理論)が説明されないところには物足りなさを感じました。
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PKディックの短編小説に「まだ人間じゃない」という堕胎批判目的で書かれたと思しきものがあるのですが…胎児を「まだ人間じゃない」と断言する感覚は僕には理解できません。
本書の著者はこういった批判を宗教・哲学的信念に過ぎないと切って捨てるのですが、僕は著者が批判?する田中美津の言葉の方に遥かに心を動かされてしまいます。