J・M・クッツェーのレビュー一覧

  • 鉄の時代

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    ネタバレ

    クッツェーは読みやすいのに深くて、文章を書くのがものすごく上手いなといつも思います。

    同じ都市にいきながら、若くして未来を奪われる黒人の若者たちと、病気に蝕まれているとはいえ長い生涯を終えようしている主人公の2つの世界が一つに交差し、自分の国の現実は知っていたものの、身近なところでショッキングな形で傷つけられる黒人少年を目の当たりにして衝撃を受けた女性が、手紙という形で自らの体験とその無力さを言葉にして残すというのが、小説全体を手紙形式にしていることも含めてすごく緻密に作られているなと思いました。

    この作品、後の時代から振り返って書かれたものではなくて、アパルトヘイト後期の時期に書かれたと

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    2026年03月16日
  • 鉄の時代

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    ネタバレ

    はじめて読んだ クッツェーの文章は、
    解説にくぼたのぞみさんが、「アリュージョン(暗示)とことばの連載」と書いているように とてつもなく知的で美しく、詩的にも感じられるところもあり、読むのはすてきなことでした。

    南アフリカ、ケープタウンに住む白人の元大学教授の女性(ミセス・カレン)が アメリカに住む一人娘に宛てて書く手紙、書簡体で描かれています。

    手紙は、家の通路で浮浪者が眠っているのを見つけてしまったことから始まる。その日は医師から末期の癌であることを知らされた日だった。
    この浮浪者の男ファーカイルと彼の犬は ミセス・カレンと深く関わってゆくことになる。

    カレンの家には黒人の家政婦フロ

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    2026年03月10日
  • 鉄の時代

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    アパルトヘイト末期の南ア。末期ガンの70歳女性が娘に綴る手紙。恥や真実のない鉄の時代で幻の絆の為に死ぬ子どもたちを救えぬ絶望、娘に会えない孤独感。刺さることばに漂う内に迎える最後の場面。鉄の時代の足音が聞こえる現代に読むべき傑作

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    2025年09月05日
  • 鉄の時代

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    アパルトヘイト時代の南アフリカを舞台にしているから、アパルトヘイトの実態を告発し批判する意図ももちろんあるのだろうが、それだけにとどまらず、受け入れられない状況の中でいかに生きるのか、いかに引き裂かれるのか、について問うているのだと思う。なぜ、ガンを告げられ余命いくばくもない主人公が祖国を捨てた娘に残した手紙は、主人公の家に住み着いたホームレスであるファーカイルに託されるのだろうか。新しい世代から拒絶される旧世代の過ち、恥をファーカイルに託しているようにも思う。

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    2021年10月17日
  • その国の奥で

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    ネタバレ

    クッツェーの第2作目で、若い時の作品とのこと。
    現実と妄想が混じり合って、何が現実に起こったことなのかわからないまま進んでいく。父親の死以降はストーリーがはっきりする気もするけど、それも本当なのかどうかわからない。奴隷にレイプされながら、愛されるために必死になる主人公が痛々しい。

    訳者の解説もピンとこなかった。アフリカの農場の風景が具体的に想像できないせいか、「自然を描く筆遣いに…荒削りな詩情が感じられる」が私にはよくわからないのと、作品の背景にある言語の多様性みたいなものが、全部日本語なので感じとりにくいのが残念。

    次はもっと後期の作品を読んでみたいかな。

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    2025年05月12日
  • その国の奥で

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    南アフリカの牧歌的な感じのスタート
    から 父親 若い妻 肌の色などの描写 そして手斧による殺人の描写
    カラードやアパルトヘイトを思い出させた 
    衝撃的な表現と文章の繋がりが不明で
    思わずあとがきを読んだ

    なるほどクッツェーの妄想作品
    そこを読んだら落ちついてきて
    つながりのあるような無いような
    センテンスも何とか読めた

    支配者として君臨する父親
    母親は早く亡くなり うまく話が出来ない娘 帰らない兄
    荒涼とした牧場での孤独な暮らし
    なんとも言えない作品
    狂気か  読むのが辛かった

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    2025年03月14日