馬部隆弘のレビュー一覧

  • 椿井文書―日本最大級の偽文書

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    2024.12.01〜205.01.13
    偽物の文書を作るなんて・・・
    と思ったけれど、最近の政治家も偽文書、作ってるな。それを正当化させて平気だし。
    人間の本質は変わらないんだな。
    「かくあってほしい」。そうかも知れない。
    しかし、知らずに研究した人たちは、たまらない。また、間違いだと知らずに、教える方、教えられる方も不幸だ。
    第四の岐路を突き進まぬように、エゴやミエは捨てなければ、不幸の連鎖は続くと思う。

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    2025年01月13日
  • 椿井文書―日本最大級の偽文書

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    すべての京田辺市民は読むべき一冊。
    自分の街の歴史を知っておきたいと思うことはないだろうか。簡単にまとめてある冊子を手に取っても良い。官公庁発行のパンフレットに目を通すだけでもおもしろい。でもやはり、本格的に知りたければしっかり編纂された分厚いハードカバーの「市史」や「町史」で学びたい。ーーでは、そのすべてが【偽文書】に基づいて編纂されていたら?
    以前から本書の存在は知っていましたが読んだことはなく詳しい内容も知りませんでした。しかし京田辺市の歴史を学びたく思い、『京都府田辺町史』を読もうと心意気高くページをめくり、わずか19ページ目に悪名高い「椿井文書」からの引用が現れた際、読まねばと心に誓

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    2021年08月22日
  • 椿井文書―日本最大級の偽文書

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    山城・近江・大和・河内の古代・中世史研究にしばしば利用されてきた史料が、江戸時代の国学者椿井政隆の手になる偽書であることを示すと同時に、それが江戸時代から現代に至るまで広く市民権を得てきた実態やその思想的・心理的背景を読み解く。江戸時代の山の支配権をめぐる争論から、式内社の比定をめぐる村同士の争い、現代の町おこしに至るまで、椿井文書が、その真正性を疑う声があったにもかかわらず、いかに社会的需要に合致し受け入れられていったかが克明に描かれている。歴史学における史料批判の問題だけでなく、自分たちの願望にそぐうが出どころの怪しい情報に対していかに向き合うかという、より一般的な問題にも示唆を与えてくれ

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    2021年03月07日
  • 椿井文書―日本最大級の偽文書

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    本書の見開きを飾る大伽藍を誇った寺院の色鮮やかな絵図や書状、家系図…数百点にも及ぶ偽文書「椿井文書」製作の意図と近代以降に地域社会と歴史学に与えた影響を詳らかに語る。
    本書で明かされる偽文書作成に駆使したテクニックの数々に唸り、文書が流布した背景にある近世地域社会の様々な事情が垣間見えてくるのも面白い。
    そして多くの手間と知識が必須の偽文書作成をこれほどまでに大規模に成し遂げた動機には、椿井政隆自身の趣味も大いにあったのではないか?そんな著者の見立てには大いに同意するところだ。
    その一方で「椿井文書」を史料として活用し記されてきた地域史の修正と史料としてどう位置付け扱うのかという二つの課題が浮

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    2021年02月11日
  • 椿井文書―日本最大級の偽文書

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    現在の京都府や滋賀県に点在する古文書が、じつは椿井政隆という1人の男によって後世に人為的に創作されていたという話で、たいへん興味深かった。しかもこれらの文書は多くの自治体史に引用され、その内容に基づき文化財指定がなされたり、町おこしに活用されたりしている例もあるという。わたしは神社・仏閣めぐりが好きでふだんからよく訪れ、そのさいに説明板を眼にする機会も多いが、内容は当然真であるという前提で読んでいるので、そこにそういった偽りのものも紛れているという本書の内容は衝撃的であった。歴史に名を残した人物といえば、誰もが織田信長や坂本龍馬のような教科書に載っているような著名な人物を思い浮かべるが、ほとん

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    2021年02月07日
  • 椿井文書―日本最大級の偽文書

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    歴史関係者必読であろう。史料の扱い方については本当に注意しなければいけないことがあらためてわかる。この件に関しては文書の膨大さから要注意であることがわかりそうだが、その地域の部分だけ見ているとわからないかもしれない。さらに史料というものはこれに限らずすべて書いた人のバイアスがかかっているものということを頭に置いてまず疑うということが必要。簡単に言えば史料批判から入るべきだろう。
    現代でも令和ゆかりという某九州の神社、S城跡という某神社など考古学的には疑問視される場所が堂々と主張され、一般的には受け入れられているなどの例もある。歴史研究者もまあいいやというのではなく、この本にも書かれている通り主

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    2020年11月12日
  • 椿井文書―日本最大級の偽文書

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    世紀の偽作、椿井文書。自治体史などで根拠となっている実は偽書。世紀の偽作を通じて浮かび上がる現在の日本史研究の問題点。

    視点が斬新な一冊。椿井文書とは椿井政隆(1770~1837)が中世の文書を近世に写した体裁の体裁の偽書。近畿一円に数百点が分布しているという。実際に原本を見れば、分かる人には分かるものらしい。椿井自身も追求された時に備えて備えて有り得ない元号を入れる等文書に隙を作っている。

    原本でなく活字化されたものしか見ない研究者の存在や戦前と戦後で断絶した研究者のつながり、また戦後多くの自治体史に椿井文書が採用されてしまったことなどが要因。

    椿井の偽作づくりの過程から、それらを求め

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    2020年08月11日
  • 椿井文書―日本最大級の偽文書

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    江戸末期に作成された数百点に及ぶ偽文書について、その作成法・流布・後世に与えた影響などその全貌に迫る一冊。歴史学の問題点にも切り込む内容で、偽文書研究の有り様も考えさせられて興味深い。

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    2020年08月08日
  • 椿井文書―日本最大級の偽文書

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    ネタバレ

    ヤバイツバイ
    あなたの周囲の町では郷土史として、一人の歴史ヲタクが自作の古文書で作り上げた、虚構の由緒がまかり通る
    城を作り、氷室を作り、寺を作り、神社を作り、先祖をつくる
    全て創作であり、あまりにも膨大、あまりにも広範囲、由緒書、系図、絵図をいくつかの筆跡を使い分け、村の利益、祖先を飾るなどから、需要と供給があり一枚だけだが代金の受け取りまで残っている
    郷土史として残り、教育委員会だけでなく、歴史学の大家まで、椿井政隆が創作した偽文書を基礎に、多くの学説まで作り上げていて、自治体でも「歴史に興味を持ってもらうため」だったら偽でも良いという態度
    著者は歴史学としての、偽文書がもたらす弊害の警鐘

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    2020年07月17日
  • 椿井文書―日本最大級の偽文書

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    とても興味深い本でした。
    椿井文書(つばいもんじょ)と呼ばれる一連の疑文書の全貌とそれが真正な文書として一部利用されてきた過去を明らかにする中で、歴史学の在り方、偽史、偽書との向き合い方に及ぶ思索の書です。

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    2020年07月17日
  • 椿井文書―日本最大級の偽文書

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    たった一人の人物の創作による偽文書が、いかにして作られ、
    地域に、人々に浸透していったか。数百点にもなる椿井文書の全貌。
    第一章 椿井文書とは何か   第二章 どのように作成されたか
    第三章 どのように流布したか 第四章 受け入れられた思想的背景
    第五章 椿井文書がもたらした影響
    第六章 椿井文書に対する研究者の視線
    終章 偽史との向き合いかた
    カラー口絵、モノクロの画像と地図や表多数有り。
    参考文献有り。巻末に「椿井文書」に関する表Aと表B有り。
    絵画も書道も達者、史料を調べる知力もあり、
    足を運んで実地調査する行動力にも長け、音便にも関心がある。
    そんな人物が行った偽文書の創作。連名帳、家

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    2020年04月28日
  • 椿井文書―日本最大級の偽文書

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    学者の専門が狭く深くなってしまっているからこそ偽文書が受け入れられてしまっている現実があるのは学生時代に人文系だった私としては納得
    そして椿井政隆のオタクっぷりよ!
    ほぼ自らの趣味のために歴史学の古典をかじって大量の偽文書、もとい想像の世界を広げたその創造力には感服!!

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    2024年05月21日
  • 椿井文書―日本最大級の偽文書

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    私が『息長川ノート』を書き始めたのが2008年7月からだった。馬部さんが椿井文書の存在を知られたのが2003年、雑誌「史敏」に椿井文書について寄稿されたのが2005年。私は大事な資料を見落として執筆していたことを今知った。

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    2021年10月02日
  • 椿井文書―日本最大級の偽文書

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    フェルメールの贋作をイメージして読み始めたのだけれど、まったく違った。(無知丸出し)
    恐るべし椿井正隆。でも、それより恐るべしは、盛り上げるためなら偽文書の内容をも活用してしまう(一部の)町おこしの無節操ぶり。それを批判する著者の正義感を支持したい。

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    2021年05月23日
  • 椿井文書―日本最大級の偽文書

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    仕事柄、自治体の出してる市史などを目にする機会が多いが、無批判に信じて良いのか分からなくなる。近畿地方の中でも都市を避けてると言う指摘を鑑みるに、より資料の少ない東国などは、ここまでの広範な偽書群とまでは言わなくとも、曖昧な伝承などを事実のように定着してしまってる例がままあるような気がする

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    2021年02月06日
  • 椿井文書―日本最大級の偽文書

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    確かに偽書であり、その影響力は納得できたが、やはり、都合の悪い方々は黙殺するのだろうな。
    偽書の罪は重い。

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    2020年10月06日
  • 椿井文書―日本最大級の偽文書

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    偽文書についての一般的な本がさっと出版された。専門書はほとんどの人が見ないので、偽文書の椿井文書が数百あることはあまり話題とされていない。ただし、あまり読みやすい形式ではないので、図示してもっとわかりやすい形式で書いてほしかった。

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    2020年10月04日
  • 椿井文書―日本最大級の偽文書

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    日本中世史の研究や自治体の文化財行政に多大な(悪)影響を与えている、日本最大級の偽文書といえる「椿井文書」について、作成手法や伝播の仕方など、その実態を解説し、また、椿井文書が引き起こした問題やそこからみえてきた歴史学の課題についても言及。
    「椿井文書」という偽文書の存在は、本書を読むまでまったく知らず、その規模や、偽の情報に基づき文化財指定までされるなどの与えた影響の大きさに驚愕した。。一応、学部時代に歴史学をかじった身だが、自治体史に掲載されるなどしていたら、自分も簡単に騙されるだろうなと感じ、肝を冷やした。
    歴史学や行政は偽史といかに向き合うべきかということについても考えさせられた。特に

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    2020年07月24日
  • 椿井文書―日本最大級の偽文書

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    村や、地元の社の由緒を示す、中世の絵図、系図、手紙。様々な形態の多数の文書が、江戸後期の一人の人物によって創作されていた。
    「東日流外三郡誌」のような有名な偽書ではなく、個々の文書のスケールは小さい。地方の豪農の先祖が室町時代の武士だとか、そんなのどこの家の系図だって、その程度には胡散臭いのが普通だろう。というか、脚色のない系図ってあるんかね。
    しかし、この土地には平安時代には大きな寺があった、とか、この村の山頂には城があって、南北朝ぐらいには栄えていた、とかなってくると、ちょっとほほーとなってくる。
    椿井文書は系図や、土地争い、権威争いに都合が良くなるように創作された偽書だという。
    まあ当時

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    2020年06月30日
  • 椿井文書―日本最大級の偽文書

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    エーコの「プラハの墓地」のシオンの議定書みたいな世界の歴史を変えるみたいなのやなくて、隣村との揉め事の裁判を有利に進めるため、みたいなわりと小さい動機で偽文書を作りまくった椿井政隆。趣味と実益を兼ねて、どちらかというとやや前者より、とか最高やん。めっちゃお茶目さんやん。
    という評価とは別に、偽文書に乗っかって街おこし始めてしまって引くに引けないとか笑えるような笑えないような…それ質さなあかんとは思っても質して得になるわけでもなし憎まれるだけ損なら黙っとこ、とかそれはそれで人間っぽいなぁ。

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    2020年06月11日