笑い飯哲夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
又吉直樹のYouTube「渦」で著者がゲストとして出演され、本作を紹介していたことから興味を持った。
買ったその夜、数ページ読んだ直後に寝たら、久しぶりに悪夢を見た。
「課題が終わらない(というより、全容すら見えていない)」「締切が目前に迫っている」……そんな、ジワジワと脂汗をかくタイプの悪夢。
作品を通過することで、自分の知覚状態が変質していることは分かっていた。
自分が薄汚く惨めで、世界の誰も味方をしてくれない。そんなレイヤーに、ヌルっと嵌まり込んだような感覚。
それでも、止めときゃいいのに読み進めていった。
その日はちょうど雨が降っていて、日中でも視界が悪かった。
車一台がやっと通れる細い道で、対向車に道を譲るため、それと十字を成す細い道へ避けた。
対向車が通り過ぎた後、元の道へ戻ろうと右折した際、低い位置にあったブロックで車を盛大に擦ってしまった。
すり抜けていった対向車に、瞬時に敵意が爆発した。
「善意に欠け、コストを払わなかったお前が、なぜ無傷なのだ」
最悪の気分だった。
……しかし、よく考えれば、「わたしが車を擦ったこと」と「わたしの怒り」と「相手が何事もなく通過していったこと」には、何の因果関係もない。
「人間は欲望や執着によって、『自己でないものを自己とみなし、自己のものでないものを自己のもの』と見なしているのです。」
(中村元『ブッダ伝 生涯と思想』角川ソフィア文庫)
この小説を読んだことを契機に、身を呈して得た学び内訳。
・書籍本体 1,760円
・車の修理代 100,000円(概算)
安いもんだ。
来月から仕事増やします…モーヤダー…涙 -
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白い。
何をしてもうまくいかない時期を過ごしたことがある人はかなり刺さると思う。とにかく地の文の主人公の思考回路が面白くて、考えすぎやろと思いながらも不思議と共感もできてしまう。途中で統合失調症と鬱(躁鬱?)を併発したような病気になり、本人は自覚はないのだが、ここの地の文が凄まじい。何が現実で何が想像かわからないまま閉塞的な日常を過ごしているんだけれど、しんどい思いをしたことがない人には書けない文章だと思う。そしてラスト、タイトルの意味がわかりめちゃくちゃ笑ってしまった。諸行無常、色即是空。
あらすじ
主人公は何をやってもうまくいかない中年男。写真週刊誌の記者として働いていたが失態をしてしまい、転職し、今はタクシードライバーとして働いている。しかし妊婦を乗せていた時、前に有名な覆面パトカーを発見し、スピードが出せず、こっぴどくクレームを言われてしまう。内勤を命じられるのだが、今度は忘れ物を取りにきた客に理不尽に怒られる。世の中や会社の決まりを守って真面目に生きているだけなのに、何にもうまくいかない。そんな時、上司からスピード違反を犯したドライバーの代わりに出頭するように命じられる。勤務時間じゃなくプライベートで会社のタクシーを運転したことにしてくれ、その代わり出世させるから、と。迷いながらも甘い言葉になびいてしまい、警察署に向かう。だがそこで待っていたのは……。
もう一人の主人公は、主人公の息子。夏休みを利用して、父のルーツを探るために岐阜へ向かう。市役所で振り回されるという大人の洗礼をうけるシーンから始まり、父の父、そのまた父という家族の先祖のことを知っていく。 -
Posted by ブクログ
この本を読んで、人生を思い通りにしようと力み続けるよりも、変化していくことを自然なものとして受け入れ、その時々の流れに身を任せることも大切なのだと感じた。
「諸行無常」という言葉は、失うことへの寂しさではなく、「どんな状況も変わり続ける」という希望にもなる考え方だと思った。また、「吾唯足るを知る」という言葉からは、足りないものばかりを追い求めるのではなく、今自分の周りにある人や環境、日常に目を向けることの豊かさを教えられた。
この本を読んで、「もっと、もっと」と何かを求め続けるよりも、今あるものに感謝しながら、一つ一つの出来事を大切に生きていきたいと思った。 -
Posted by ブクログ
最高!めっちゃ面白くて、例えも多くてめっちゃわかりやすい。法事のたびに聞いてきた般若心経の意味をやっと知ることができた。「ーーない」「ーーないことがない」の言い回しが面白くて、全然ないやん。と思いながら読み進めたが、本当に何もなかった。「何もなかったんやから、安らかでおってな」は生きる上で心強い観音様からのメッセージ。そして最後の慈悲の話がとても良かった。慈悲深いほうが面白い、というのは納得の一言。自分も慈悲深くありたい。
———紹介(公式より)———
笑い飯の哲夫、初の著書となる本書は、なんと般若心経本!「笑い」のフィルターを通した、哲夫オリジナル訳の般若心経です。関西学院大学哲学科で西洋哲学を学んだものの、物足りさを感じた哲夫がひかれたのが、般若心経。
趣味は写経という哲夫が説く般若心経は、「慈悲」のこころと笑いの真髄を結びつけた画期的な一冊です。「えてこ(サル)でもわかる」、わかりやすさとおもしろさを兼ね備えた本書は、お笑いファンも、仏教初心者も、必読の書となっております。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ初めて芸人の小説を読みました。この芸人のことは前から知っていて、面白い芸人だとは思っていたんですけど今までにも何冊も本を出されていることは最近知りました。
読み進めていくうちに、この人は芥川賞作家のような文章の構成だなと思いました。
流れは、主人公の最初の設定は週刊誌記者で、週刊誌の出版社をクビになり、雑踏を避けるかのようにタクシー会社に入りタクシー運転手になる。しかし利用客からの苦情によりタクシー会社内忘れ物センター(内勤)に移ることになります。
タクシー会社の内勤のときに上司からある司令が下るのですが、そこの流れは面白かったです。クスっとくる面白さでした。やること為すことの歯車が噛み合っていません。
この本では仏教用語がいくつか出てきます。自分も勉強になりました。 -
Posted by ブクログ
主人公と息子。
ふたりの目線で交互に描かれる章立て。
メインとなる父のキャラクターが
あまりに悲劇的な時間を過ごしていて
読んでいてしんどくなった。
悲劇につぐ悲劇。悪循環。
ただ家族と過ごしたい。
多くの希望は抱いていない。
それひとつだけのために生きている。
そのためには全てを投げ出せるほどに。
そんな控えめな生き方。
なのに…。
明智光秀やその家臣たちなどの歴史や
自身のルーツである先祖が描かれていき…。
後半には、寺や住職が出てきて
諸行無常や諸法無我などが語られる。
ここが作者の描きたい部分なのだと思う。
後半は展開としては現実離れしていて
ふわふわした印象。
正直ちょっとわかりにくい。
ラストのラストは、さらに
ちょっと詩的で壮大で
感性のみで(神がかって?)
書き上げたような印象を受けた。
ただ、
序盤あれだけ悲劇的だったわりに
読後感はまぁ、悪くない。
その理由は…
命や人生を
近視眼的なところから見ていたのに、
急に引も引き、宇宙的であったり
悠久の時間の流れ越しでみる視点に変わる。
一冊の本の中で
仏教的宗教観を体験させてくれるからだと思う。
(阿字観のあとの清々しさのような…)
悟るであるとか
献身的、無私無欲に生きることは、
されるがままになることや
期待しないことや
諦めることじゃない。
厳しい経験も苦しい過去も
己が全体性の中の一部であると気づき
引きの視点からみられたときに初めて
ひとつ上の境地にたてる。
そこに慈悲も感謝もあらわれる。
その境地にたち
強く生きはじめる明るい結び。
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Posted by ブクログ
お笑いに疎い私が、笑い飯哲夫さんを知ったのは、
朝日新聞のpodcastで「笑い飯哲夫の新聞教室」という番組を聴いてから。
正直その語り口はあまり好きではなかった。
ただ、子供たちに安価な塾を開く活動をしているのを知り、好感度は上がった。
でもなんかやっぱりあの語り口はちょっと耳につく。
そんな哲夫さんが本を出したというので、怖いもの見たさで読んでみたのがこの本。
内容はいい。
子供について悩む親の質問に答える形で、子育て、教育論を語っている。
大いに賛同できる内容。
ただ、、文章もどこか鼻につく。
計算づくで、わざとそういう書き方をしているのだろうが、
どうもそのあたりが気になる。
語り口が好きでないのと同じ感覚。感性の問題かもしらん。
まあでもいいことは言っている。
中学受験も大いに結構、でもどんどん参加者が増えている。
受験に成功する確率は減る。努力したことを評価するスタンスが大事、、
的な話はもっともだと思う。
奨学金をもらってでも東京に出たいという子には、
「未来の自分から借金しても行きたいという覚悟があるなら行け」と。
現実的。
等々子育てに悩む親には参考になるのか、な。