小林隆のレビュー一覧
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他の本で、次のような話を読んだ。
人に何かをしてもらったときに「助かった」や「良かった」で感謝を表現する地域もある、と。
自分がまさにそうだった。そして、それで感謝が伝わるものだと思っていたから、全国共通でないことに驚いた。
その出典元がこの本だったので手に取った。
同じ日本でも「言い方」がこんなに異なることに驚き。
相手の言い方にムッとしたときに、その人を失礼な人だ、と決めつけるのではなく、そういう言い方の地域で育ったのかも?という視点も持ち合わせたいと思ったり。
以下メモ
方言とは従来、狭い意味での形や意味、文法を取り扱うことが多かった。
例えば、ショッパイ/カライの地域差。イル/ -
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日本全国方言は様々で、それについての研究も盛んに行われています。
しかし、その一方でものの言い方やしゃべり方についての研究はサッパリとの事。
本書は、このサッパリ分野を研究している2名の研究者が一般向けに執筆した、研究成果解説本です。
構成は全11章からなり、最初の7章で以下7つの観点から日本各地の話し方について分析し、その後の8章から終章までで総括や各地の話し方の違いが生じた原因の推察等を行っています。
・発言性
あることを口に出して言う、言葉で何かを伝えると言う発想法
・定型性
場面に応じて、一定の決まった言い方をすると言う発想法
・分析性
場面を細かく分割し、それぞ -
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西東は世界的な西東ではなく、日本国内の話であることにまず注意。
では、話の内容はごく狭い、もしくは小さな違いについて述べているのかと言うと違う。
日本でもこれほど「ものの言いかた」に違いがあるのかと衝撃を受けた。
時折ネットでは「お店で食事のあとにありがとうと言うか」との論争が起きる。
それは大抵、本人の資質や躾のせいにされがちである。
だがもしそれが、方言のように地域差によるものだったとしたら?
今まで実際、本人の資質などが大きいと思っていた私には、その提言が衝撃的だった。
この本に紹介されているが、挨拶をしても挨拶で返さない、「おはよう」と言っても「はい」などと返す地域もある。
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ものの言いかたには違いがあるが、特に目立つのは関東と関西だ。人の話し方は、話す人の個性に関係していると思われがちであり、それが事実と言う面もある。しかし、著者はものの言い方にも明らかに地域差、つまり「方言」が存在すると述べている。
読んでいて著者も例に何度も上げている関西は目立つなあ。特に読んで「へえー」と思ったが、「自己と話し手の分化」だ。尾上圭介の『大阪ことば学』での「当事者離れ」という話し方を取り上げている。「ヨー言ワンワ」だ。この表現は、「あきれて、私は何も言えないよ」を意味する。しかも「その場の状況のバカバカしさを、遠巻きに眺めている雰囲気が漂う」として、第三者であるかのよ -
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方言も含めた会話の作法の違いを明らかにしようと試みる一冊。
おしゃべりなのか、無口なのか、この要因を個性だけに求めるのではなく地域差に求めている。もちろん東北の人が無口で、関西人は多弁という大方の予想が変わることはないし、都会と田舎の違い、中心部か周辺部かによる差異もその通り。これを具体的なデータで検証しているところがオモシロい。方言の中には感謝表現を持たない地域があるってのにはびっくり。
相手に気を遣い、客観的な会話ができるのが関西圏なのだという指摘はその通りだと思う。だからと言ってそれが誠実かどうかは別問題とする著者は東北出身なんだけどね。 -
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方言の違いではなく、そもそも言葉を語るのかどうか、文化面の比較。関西では「口数が多く、お喋り」が多いというのもアンケートから間違いなく検証できている!7つの言語的発想法の側面で全国をコミュニケーション発達区分4つに分けている。即ち①発言性、②定型性、③分析性、④加工性、⑤客観性、⑥配慮性、⑦演出性ということ。喧嘩を売るとき、お祝い・お悔みの言葉とその返答、飲食店を出るお客様が発する言葉など、関西・東北の違いはあまりにも対照的で楽しいほど。これがコミュニケーション・ギャップを生んでいる可能性もあり、怖さもある。一方、東北のオノマトペの種類が豊富との指摘は面白い。長い歴史の中での人口密度との関係を
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<目次>
序章 ものの言い方にも地域差がある
第1章 口に出すか出さないか
第2章 決まった言い方をするかしないか
第3章 細かく言い分けるかどうか
第4章 間接的に言うか直接的に言うか
第5章 客観的に話すか主観的に話すか
第6章 言葉で相手を気遣うかどうか
第7章 会話を作るか作らないか
第8章 ものの言い方の発想法
第9章 発想法の背景を読み解く
第10章 発想法とはどのように生まれ、発達するか
終章 ものの言い方を見る目
<内容>
HONZ推奨の一冊。最初の方の分析はやや重かったが、分析に入る第8章以降が私には面白かった。
「方言」だけではなく、「ものの言 -
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一見、方言の東西比較の本かと思った。方言論には違いないが、一つ一つのことばがどうのこうのというより、いわば言語行動の方言論である。よくしゃべるとか無口かは個性と言える面もあるが、それが傾向として大きな集団について言えれば方言の違いということになる。より正確に言えば、方言の地域区分による言語行動、言語パターンの違いの論である。小林さんは東北(新潟)の出身で、東京を経て仙台に就職した。澤村さんは山形仙台を経て和歌山に就職した。小林さんは東京を経験し、澤村さんはおそらく関西圏のことばに日々触れつつあるのだろう。本書はこの二人の研究を下敷きに、多くの先行論文のデータで補強し、方言による言語行動のパター
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関西人はものの言いかたはステレオタイプでイメージできる範囲のものだったが、東北人については「おはよう」とあまり言わないとか「買うー」と言いながら店に入るとか、こちらの認識をすこし越えていた。おもしろい
地方による気質の問題と思われるものを一種の方言の問題として定義し直しているのだが、言語の問題なのか文化の問題なのか明確な境界線は引き難いものとおもった
いろいろな軸でものの言いかたを比較しているが、結局は複雑な関西と単純・素朴な東北といった格好にどの軸でも落ち着いており、背景にあるのは社会環境の複雑さ度合いと整理してしまうと身も蓋もない感じはする。ところで、ひとつの言語の方言間でなく、異なる -
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名詞や動詞、形容詞の方言の本を
いろいろ読みましたが
これは「シチュエーション」の方言
について書かれた一冊なのがおもしろかった。
例えば、食事中のこんな場面。
同席している誰かに醤油差しを取ってもらう。
そのときあなたは…って、調査なのですが
「感謝の意にあたる言葉を発しない」
地域があるなんて!
でも、ずっーと読んでいくと
「ありがとう」と言わないだけで
なんらかの相づちは打つみたいですね。
他にも、用件にズバッと入るか
前置きを長く取ってから入るか、とか
子守唄は脅かし系か甘やかし系か、とか
そんなところに違いがあったのかと
いろいろ知ることができました。