ウィリアム・H・マクニールのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
初稿1974年。本書は疫病がいかに世界史に大きく影響し続けてきたのか、その可能性を提示するものであり、それを裏付ける証拠については、筆者自らが語るように十分ではない。
疫病による世界への影響が改めて確信された2022年現在においては、その主張の全てを受け入れてしまいそうになるが、『熱帯アフリカからの人類進出に大きな影響を果たした』『都市で保持されていた感染症が農村に輸出され、文化圏の確立に影響した』など、本書だけでは判断ができない論説も多く、特に『キリスト教も仏教も、感染症の影響で浸透した』という主張は、あまりにも力点を感染症に置きすぎているように思える。
そもそも1974年の本を正しく評 -
Posted by ブクログ
アフリカでは、焼畑農耕が熱帯雨林に広がり始めると、雑草を好む蚊の繁殖場所となり、マラリアが猛威をふるうようになった(p.94)。中央アフリカと東アフリカで、19〜20世紀にヨーロッパ人が農地を広げた際も、ツェツェ蝿が増加して睡眠病を流行させた(p.96)。
インドのカースト制度は、侵入者のアーリア人は南部と東部の高温多湿の風土病を避けるために、土着の人々はアーリア人が持ち込んだ天然痘などの文明に伴う病気を避けるために、互いの疎隔意識から発生したのかもしれない(p.161)。
BC30年までの地中海では、油や葡萄酒などの輸出向きの余剰生産物が生産できる場所であれば、どこでも都市的中心地が形成