エステル・デュフロのレビュー一覧

  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    貧困に陥った人は、能力主義な世界では自分に能力がないからと自己嫌悪に陥ってしまう。しかし、データで示されている通り所得間の移動は固定的であり、頻繁に起きるものではない。だから、貧困に陥ってしまった人は、自分が生まれた境遇が原因であることが多い。だからこそ、社会は、彼らを見捨てず救済しなければならない。しかしそれは金銭面だけではなく、人としての尊厳や生きがいを取り戻せるよう支援できるようなシステムが必要である。

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    2025年04月09日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    著者の前作を読んだことがあるので、興味本位で通読。

    現代社会に蔓延している問題について、新たな視点で分析しているところが本著の面白いところだった。
    著者の前作を読んでなければ、恐らく手にとらなかった作品だが、視野が広がった本である。

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    2024年06月05日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    1ヶ月以上かかって読みました。今の日本、もう既に無茶苦茶になっているから…
    日本の政治家よ、読め!自民党読め!! 希望に進んでいけます様に。

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    2024年04月05日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    今まで章単位でしか読んでいなかったので初めて通読してみたが、どの章もよく書けていて面白いし翻訳も良い。環境問題から自由貿易までトピックは幅広いが、バナジーとデュフロが本当に書きたかったのは終盤の2,3章(給付、スティグマと尊厳、ベーシックインカム、etc.)なのだろう。ただ、ここは心情的には「そうだよな」と思っても、データで相手を納得させるのが難しい領域のようにも感じた。
    著者2人のコロナ禍を経ての更なる考えの深化があればぜひ聞いてみたいと思った。

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    2024年03月18日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    これまでに読んだ経済学の本の中で最も面白かった。読みやすい文体で具体的な課題(格差、移民、貿易、貧困等)について書かれているので、経済学に関する予備知識がなくても読み進められる。多くの人に読まれてほしい。

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    2023年10月26日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    良書だった。
    格差、貧困の中にある人と真摯に向き合い、なぜ経済学、政府が失敗するのか。

    一つの答えとして、尊厳を持って相対すること。型にはめたプログラムと金銭ではなく、一人一人の人間に尊厳を持って向き合うことが示されていた。
    福祉の現場では、生活保護であれば金銭を支給する政府とその恩恵を享受する受給者という上下の分断が発生するが、それは本来の福祉の目的から遠ざかり、不経済を産むということ。

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    2023年08月28日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    従来の経済学では、移動が可能なら賃金の安い地域から高い地域に移るのが当たり前だが、実際の人間は多くは移住しない。
    人間はリスクを過大評価して、リスクを取りたがらない生き物なのだ。
    さらに、人間としての尊厳が重要で、金だけの価値で動くことはないし、あったとしても幸福にはならない。
    これを前提とした政策を打ち出す政府、政治家が必要だ。

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    2022年01月21日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    今までなんとなくそうだろうと思っていたことが、実際のデータに照らすと実は間違っているということがこの本の中には多くでてきた。貿易はどの国にとってもメリットはもたらすわけではないし、移民は受け入れ国の雇用を奪うことはなく、常に賃金を下げるわけではない。移民は仕事があるからといってたくさんアメリカなどの国にやってくるわけでもない、など読んでいなかったら誤解したまま物事を考えてしまっていたので、なんとなく知っているというのは危ないと思った。全ての人間が人間らしく生きられるようにするという前提で考えることが、政策を考える上で重要だと思った。

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    2021年08月21日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    2019年ノーベル経済学賞受賞のインド系米国人とフランス人(おそらく夫婦)の著作。
    様々な視点について最新の学説を紹介しながら、筆者qとしての見解を示している興味深い著作。特にUBIや格差是正などに強い想いがあるのだろうか、踏み込んだ提言が多かった。リベラル的な立場と言って良いと思う。
    面白かった。再読したい。


    以下、備忘的な学び事項。
    国際貿易論: グローバルに貿易を行うことによってお互いの国が成長するという確かサミュエルソンの定理は、個別の産業のことに触れておらず、淘汰される産業への救済、他の成長産業への労働資本の移転が求められるが、必ずしも上手くいっていない事を最新の論説を紹介しなが

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    2021年08月16日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    専門家の意見をどれくらい信用するか、というインターネット調査があり、1位は看護師で84%、最下位は政治家で5%だった。では経済学者はどれくらい信用されているだろう?

    下から2番目、25%である。

    経済に関係する政策には経済学者が必ず関与しているが、その結果としての社会の現状に、多くの人が不満を抱いているのだろう。

    こういう社会では、分かりやすい政治家に人気が集まる。経済学者でも、分かりやすい経済施策で人気を集める人もいる。彼らの政策、市民に支持される政策は、往々にして良心的な経済学者の意見とは異なるものである。

    人々から信用されていないかも知れないが、世の中には良い経済学もある。それは

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    2021年07月07日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    著者は二人のノーベル経済学賞受賞者。

    原題は「Good Economics for Hard Times」とありますが、コロナ禍の今にあって、ちょうど米大統領選が佳境のころから読み始めたので、本書で取り上げられているテーマと、日々目にするニュースやSNSの投稿などとシンクロすることも多く、政治と経済の今についての理解を深めるには良書であったと思います。

    経済成長
    移民
    自由貿易
    地球温暖化
    社会保障
    格差

    お金だけで解決しないことや、さまざまなトレードオフが生じること、マクロな経済モデルの想定通りには行動しない人や企業、そうした複雑系の中で、良い方向に向かうための本質とは何かを二人の経済

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    2020年12月12日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    ビルゲイツの「今夏必読の5冊」に選ばれた本書。
    世界の諸問題を、客観的な調査や実験に基づいて、いかに解決するかを記したものである。
    とりあえずこれを読んで思ったことは「あっ、自分って現実を勘違いしていたんだな」という事。アッと驚く事実をこれだけ丁寧に、かつ説得力のある文章でわからせる著者の能力は素晴らしい。
    最後は壮大な解答が提示されているところが少し歯痒いが、とりあえず読んでみることをお勧めする。

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    2020年07月03日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    開発経済学の研究者として2019年にノーベル経済学書を受賞したアビジット・V・バナジーとエステル・デュフロ夫妻が自身が長年研究してきた社会格差、人種差別(と個人の移ろいやすい嗜好性の問題)、移民、環境破壊、自由貿易などのテーマを一般人向けに平易にまとめた一冊。

    テーマは数あれど通底しているのは、「一見、絶望ばかりに見える問題に対して、経済学が解決できる部分は確実にあり、希望を捨ててはいけない」という点である。真摯な研究者として、経済学を一つのツールとして、確実な課題解決に結びつけるための実践がまとめられており、ランダム化試験などの統計的手法をフルに活用しながら、本当に問題解決につながる政策を

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    2020年06月07日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    絶望を希望に変える、、、とは、大きくでたなー、と手に取った本。
    なるほど、この大口のタイトルに負けない話、経済学者は言いそうにない(と勝手に思い込んでいた?)話もいろいろ書かれていた。

    最初に、移民と貿易の話からはじまる。
    そして、人間は経済合理性通りに動かない、それは、今までのデータから明らかことなのだと。
    でも、だから賢く経済合理性に沿った行動をすべきだ、ではなく、そういう人間の在り方を受け止めた上で、経済で傷ついている人の尊厳を守りながら方向転換する術はないか、という本なのかな、と受け止めました。

    経済学といえば、アメリカ、アメリカ、アメリカ、ヨーロッパ、のイメージだけど、インド(筆

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    2025年06月17日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    第1章 経済学の信頼性
    職業の信用度で、一位は看護師、最下位は政治家、下から二番目は経済学者。
    経済学は医学と同じで、これが正しいと断言できる者がない。

    第2章 移民について
    移民は自然災害や戦争で起きる。経済的インセンティブだけではあまり増えない。
    マリエル難民事件=大量の移民があっても、雇用には悪影響を与えない、ことの実証。キューバからマイアミに大量の移民が押し寄せた事件。労働市場は、単純な需要と供給曲線の結論には従わない。
    1,移民がお金を使うので、労働の需要も増える。
    2,機械化の進行が遅れるため。
    3、増えた労働者を効率的に活用するべく、生産工程を変える。
    4,既存労働者の労働と競

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    2024年07月06日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    貧困は減りはするも無くならないだろう、国によって貧困の程度が変わるけど富裕層は、どの国でももっとリッチになっていくんだろうと、地球も心配だし、経済学って考えた結果どうりにはなりにくいらしいし、希望はあまり持てませんでしたが、おもしろい本でした。

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    2024年02月21日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    強いて言えば現代日本に拡大しつつある「貧困と格差」という問題の中で、筆者の専門とする開発経済学の部分部分には触れてはいたように思う。
    人間が一見すると不都合な行動を取りうるというテーマは様々な学域で興味を引く議題として散見するが
    合理的経済人という鏡像からではなく、実際的な人々の営みを突き詰めるべくして膨大な規模や時間を費やした研究のもと、統一された正解というものは見出しがたいであろうからこそ学問として面白い。

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    2023年11月05日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    移民、関税、AIとライダット運動、温暖化、ベーシックインカムなどいろんな話題がデータをもとに書かれている。同じ著者の「貧乏人の経済学」より話題が豊富で面白かった。
    行動経済学系の本に登場する実験には結構飽きてきたが、本書のデータにはインドや途上国を被験者にした実験が多く目新しい。

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    2023年10月28日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    なぜ未熟練労働者の賃金が移民の流入で押し下げられないのか。

    ①新たな労働者の流入によって労働需要曲線が右へ移動するから。
    なぜなら、その人々がお金を使うから。
    その結果として賃金は押し上げられ、労働者の供給拡大の影響を打ち消す。
    よって賃金水準も失業率も変化しない。

    ②機械化の進行を遅らせるから

    ③雇用主が流入した労働者を効率的に活用するべく、生産方式を再編成するから。


    雇用主は企業内の賃金格差があまりにも大きくなることに否定的。
    なぜなら労働者の不満が溜まり生産性が上がらないから。
    だから賃金が安いからと言って移民に仕事が取って代わられる訳ではない。

    高技能移民は賃金水準を押し下

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    2022年10月09日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    世界の現状や、それに対して行われている施策/研究を理解するに良い本。貧乏人の経済学の方が個人的には好きだけど、貧乏人の経済学で述べられていたことを補強的に理解するという意味でとても参考になった。

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    2022年09月17日