夫馬賢治のレビュー一覧
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新聞やニュースでカーボンニュートラルを見ない日は無いが、なぜカーボンニュートラルに政府・企業が取り組むべきなのかまで、踏み込んで説明されていることは少ないと思う。
気候変動は単に地球環境の保護だけでなく、災害リスクが高まれば、サプライチェーンが断絶され、我々の生活が脅かされるという点で、経済界からしてもリスク回避のためには、気候変動対策にコミットしなくてはならない。
金融業界でも、資産運用額トップの年金基金も国際的な団体を設立し、投資先および投資先の取引先の二酸化炭素排出量をモニタリングし、排出量削減目標を課している。このため、株主・投資家への説明責任を果たすためにも、カーボンニュートラルは日 -
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とても良い。TCFDに関わるようになって手に取ったけど、これまでの世界の歩みや日本の対応が手に取るようにわかるし、基礎知識として役にたっているように思う。
アナン事務総長のころの国連の動き(20世紀末)や、その後(21世紀初頭)の国内での経産省と環境省の対応や「CSR」の潮流、あるいは欧米での(WRIなどの)NGOの動き、といったあたりがきっかけとして大事そう。
国連では2006年にできていたのに国内では10年以上知られていなかったPRI(国連責任投資原則)なども象徴的だし、リーマンショックが与えた影響の違い(日本ではCSRが暗黒の時代に突入した一方、欧米ではむしろサステイナビリティ経営が勃 -
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・欧米でこれだけESG投資と経済成長について議論されているにも関わらず、なぜ日本の企業や投資家はその潮流に乗れていないのか疑問に思った。英語ができないことや、右へ倣えの意識が強すぎることが原因なのだろうか...
・恥ずかしながら私も、CSRは株主に社会貢献活動をしているアピールをするためのものだと思っていた。しかし、この本を読むことで、適切なCSRは企業成長につながること、ESG投資は株主の利益につながること、がちゃんと理解できた。多くの人に勧めたい一冊。
・無知ほど怖いものはないと感じた。読書をすること、英語を学び海外の情報に触れること、を心がけたい。
・日本で最初にESGインデック -
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ESGの重要性が叫ばれて久しいが、その内容や背景を理解したく本書を手に取ったが、ESGを誤解していた自分に気付いた。企業の社会的責任あるいは倫理的観点から、環境、社会、コーポレートガバナンス(ESG)を遵守するものと認識していたが、本書を通して、ESGはグローバルで企業が守るべき重要な枠組みとして理解されていることを知った。
リーマンショックを経て、短期的な業績に焦点を当てるのではなく、長期的視点でリスク要因を洗い出し対応することが企業経営に求められるようになった。つまり、短期的視点で利益を追求するような企業経営では、社会・環境・コーポレートガバナンスを度外視した企業活動が正当化されていまい、 -
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ネタバレ30代男性
テスラの時価総額がトヨタを抜いたという記事を読み、改めてESG投資の潮流を理解するために、読みました。
ESG投資に至るまでの歴史として、古い資本主義(日本企業)からESG投資対象のニュー資本主義が生まれる話や、ニュー資本主義のパフォーマンスまで記載してある。
日本企業のニュー資本主義への遅れが理解でき、より長期的な目線で、企業体質を変えていかないと投資してもらえないことを理解できた。コロナ渦で世界からの日本への投資が増えることを期待しているので、ESG投資先として考えてもらえる企業になるように努力する必要性を感じれた。
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この2,3年でよく見るようになった
ESG
という三文字のアルファベット.
SDGsのバッジ(小泉環境相が付けってる)も
肩書が上な方々が
つけてるのをよく目にします.
環境・社会に意識高いです
というアピールだと
思いますが
たぶんその方々の中で
本当にその意味を理解しているのは
少ないのでは・・・と
思ったりします.
かくいう自分も
ESGやSDGsの後押しを
受けている仕事をしていて
普通の人よりは知っているはず
と勝手に思ってました.
が、実際それは勘違いで
日本と世界のESGに対する捉え方は
似て非なるもの.
日本のメディアがESGに対する誤 -
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ネタバレイギリス産業革命が労働生産性の工場による利潤追求が大きな動機となっていたことに対して、21世紀の産業革命は「人類の存亡」をかけたものである。
課題の関連性やつながりを理解することが重要で、「ウェディングケーキ・モデル(環境層・社会層・経済層)」を意識する必要がある。
これらの大前提を踏まえた上で、全産業に及ぼす影響を論じている。
将来の進路を考え始める中高大学生や若手ビジネスパーソンは、ぜひ読むことを勧めたい。
19世紀の産業革命的「工学アプローチ」は各地の自然環境の差異を均質化・効率化を追求。今後は、土地ごとの差異を尊重し、特徴ある発展の仕方を志向。
エネルギー、農林水産業、天然資源、A -
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新たな産業革命が起きる21世紀
エネルギー革命により失われる仕事。内燃機関の衰退と、電気自動車バッテリーの普及に影響を受ける職種
人口増加による食糧危機。収穫拡大が環境の破壊による収穫逓減
サーキュラーエコノミーという言葉を初めて知りました。天然資源採掘を減らすことや、環境への負荷軽減が大切
少子高齢化と外国人労働。そのための多様性の受け入れ
AIの普及とホワイトカラーの衰退。高所得と低所得の両極端の状態を生み出す
新たな産業革命に向けての教育の大切さ
環境破壊や気候変動により失われる所得と、新たに生まれる仕事を比較したことはなかったですね。
課題は色々とあれど、学び続けるリスキリングは大切だ -
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世の中がESGを意識した活動に代わってきた歴史が、環境破壊を考えるようになった1980年代以降から、SDGsを掲げる現在までに渡って詳しく書かれている、またそこに、日本と外国での差、意識の遅れ、取り組みの遅れがどう出てきているのかがわかる本。
メモ
ニュー資本主義とは、環境・社会への影響を考慮すると利益が増える、と考える。この考え方がここ10年でグローバル企業や機関投資家に浸透してきている。
リーマンショックを機に、欧米の機関投資家やグローバル企業は、サステナビリティ経営やESG投資に取り組むようになっていった。
ESGとは何かを理解した上で、ニュー資本主義の時代に必要なマインドは、長期思考 -
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カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出をネットゼロにしようということである。
もしこのまま何も対策をうたずに、人口増加と経済成長を今の形で続けていけば、温室効果ガスの排出量は、2100年には現在の2倍から3.5倍になると言われている。その場合、地球の平均気温は、産業革命前の1800年代後半と比べて4.1℃から4.8℃上昇すると推測されている。4℃台の気温上昇は、地球環境にとって破滅的な結果をもたらし、同時に経済にも致命的な影響を与える。
そこで2016年のパリ協定では、国際目標として気温の上昇を2℃、可能であれば1.5℃に抑えることを設定したわけである。そして、それを実現するためには、 -
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ネタバレ気候変動懐疑論は世界の科学者たちにはほとんど支持されていない。
環境省の気候変動影響評価報告書でまとめてある
気候変動による金融システムへのインパクトは、世界で同時多発的に起きる。気候変動による資源、食料の価格高騰は金融政策では対処できない。気候変動は資産価格を変動させ、金融システムを脆弱化する。
原子力と再生可能エネルギーをゼロエミッション電源と考えられる。
化学肥料の窒素は放置すると自然と酸素と結合して一酸化二窒素になる。二酸化炭素の298倍の温室効果。稲わらを微生物が分解するとメタンガスが出る。うちのゲップ、排泄物も一酸化二窒素やメタンガスの発生源。
ゼロカーボンのめどはたっていない