クロード・スティールのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
他者からどのように見られているか?を意識させられることで、それが事実かどうかは関係なく、パフォーマンスに影響してしまうという現象があるのだという。困ったことに、実力があるはずの人ほど悪影響が出やすいとも。
そんなに人が皆、一律にプレッシャーに負けるものなのかとも思うのだが、これは心理実験の結果なので、プレッシャーに負ける人の方が多い傾向にあるということなのだろう。
プレッシャーからの脱し方として示されているのが、ひとつにはクリティカルマスを越えること。クリティカルマスは、当事者が感じる多寡なので、何割を超えたら良いと一概に言えないのがミソだ。
もうひとつはナラティブ。ステレオタイプを超えるスト -
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Posted by ブクログ
データが豊富で示唆に富んでおり、ちょうどよいくらいに、分かりにくい。
これが自分自身の体験を考え直す機会を与えている。
以下、要点抜粋。
・ステレオタイプが効くのは、上位者にも顕著。ステレオタイプを覆さなくては、という無用のプレッシャーでパフォーマンスが下がる
・ステレオタイプを覆そうという努力は、成績下位者にはプラスに働くこともあるが、限定的。
・直前にステレオタイプを否定的するだけで、効果は無くなる(数学のテスト)。反対に、ステレオタイプを起こすアイデンティティを喚起するだけでも悪影響が出る。CM・クイズなど
・脅威にさらされる、自分に悪影響を与えるアイデンティティが現れると、それでア -
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ステレオタイプ脅威=ステレオタイプを追認することを恐れ本来の実力を出せなくなること、が本書のテーマ。
数学のテストを受ける女子学生、
知能テストを受ける黒人、
スポーツテストを受ける白人など
「元々そういうのが苦手な人たち」というわけではなく
心理的なプレッシャーが実際の生理学的な影響を与え、パフォーマンスを下げることにつながっている。難しい証明だがいろいろな角度から研究を進め、対応策も見出し始めている。これまでステレオタイプ脅威のせいで埋もれてきた才能を考えると慚愧に堪えない。
日本発売は2020年だが、米国で発売したのは2010年というのも驚き。 -
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Posted by ブクログ
自分自身のアイデンティティとは?
ステレオタイプ(先入観、思い込み、固定観念、偏見など)が、人の心理やパフォーマンスにどのような影響を与えるかを社会心理学によって検証した一冊。
たとえば、才能が無いのだから、人の何倍も努力しなければいけないという考え方。ともすれば「やればできるはず」の根拠の無い根性論にも行き着いてしまう。本書ではこれもステレオタイプのひとつで、"過剰な努力"と表現している。
「自分はXXXだから」と、ひとりで結論づけて自身の可能性にブレーキを踏んだり、うまく行かない理由をステレオタイプと都合良く結びつけて、チャレンジすることを諦めていないだろうか。自 -
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ステレオタイプ脅威=人が所属する学校や職場等の集団の中で悪いステレオタイプを意識しすぎてしまい、実際にパフォーマンスが低下してしまう事を数々の実験で検証をしていく内容です。
この本を読んで、自分の職場にも似たようことがあるなーと感じました。会社によるかもしれませんが、様々な場所から人が集まる社会集団=会社だと思いますので、どうしても偏見や先入観などの悪いステレオタイプが発生することもあります。
特に今は多様性が謳われている時代です。何でもかんでも理解することは難しいと思いますが、まずは受け入れること、そして人に対する見方や考え方を分け隔てることなくフラットにしていくことが大事なんだなと感じ -
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Posted by ブクログ
人種に対する偏見と差別。この本はアメリカ在住の、主に白人及び黒人学生が被験者となり、ある一定の条件下でそれら学生が個々の能力が人種、性別等の違いが関係なく発揮出来るか等の実験がされ、その結果が書かれております。数学や陸上競技、バスケットボール、音楽について、人が持つステレオタイプとそれに苦しむ各人種の人々。一方、黒人差別を是正する為に白人及び黄色人種に対する理不尽である意味差別的な措置。トランプ大統領が誕生した社会的背景についても書かれておりますので、気になる方は是非読んでみて下さい。一方、黄色人種(アジア人)についての記載は殆どありませんので、別の本を探して読んだ方が良いと思います。
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Posted by ブクログ
ネタバレ人の内面にあるステレオタイプ脅威なるものが、無意識のうちに自分にプレッシャーをかけることによってパフォーマンスに影響を与えているという事実を、多数の実験を通して実証的に検討していく内容だった。
内容としては非常に興味深く、自分のこれまでの経験を通しても納得のいくものだった。偏見とは違う形でステレオタイプとして扱うことで、より本質的な考察が出来ているように思えた。
主として伝えたいことは理解しやすいが、多くの実験が絡まり合った構成になっており、すこし頭を整理しながら読んでいく必要があった。忙しい人は、序文と1~3章、11章を読むだけでおおよその筋はつかめると思う。 -
Posted by ブクログ
人をある種のカテゴリーで見る「固定観念」のことを「ステレオタイプ」というのですね。
例えば次のようなもので、発言する者にとって都合がいい「偏見」要素を含むものが根強く生き残っているように思います。
黒人はさほど知的ではない。
白人は運動神経がにぶい。
女性は理数系に弱い。
女性の方が保育士や看護師に向いている。
理系の人は空気が読めない。
女性はリーダーシップ力が欠ける。
子どもは女性が育てるもの。
男子は運動能力が高いはずだ。
太った人は自制心に欠ける。
慢性疾患者は生活がだらしない。
高齢者は記憶力が悪い。
これらの「ステレオタイプ」は当てはまった時に声を大きくして言われます。
当ては