古永真一のレビュー一覧

  • 闇の国々II

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    1巻とは違って悪夢的な牢獄に囚われたような不気味さ。どっちにしても面白いですが。物語を語るための必然なのはわかるけど、コミック形式から離れた文字表現はちょっと不満。同じように必然にせよ『古文書官』で物語世界『闇の国々』をメッチャ持ち上げてるのも居心地悪くは感じた。とかまあ不満はあるけど他に類を見ない建築ロマンチックな作品で最高に良かったです。

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    2017年04月25日
  • 闇の国々

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    とても空想的でいて写実とディテールで地に足がついた、夢とは違う現実から数歩ずれた世界の楽しさ。銅版画的なタッチ、メディアを横断する手法も魅力的。結末はどれも謎めかせつつも捨て鉢でなく後味も良い。

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    2015年04月27日
  • 闇の国々

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    ネタバレ

    ああ~とてもとても面白かった。
    一篇をぐいいいーと集中して読み、
    一日以上間を取って次に進む、
    だってすぐ次に移ってはもったいないから
    物語に入り込んでた至福の時間の記憶を長引かせたいから
    というように読みました。
    深く大きく造り込まれた設定、
    驚きと美しさを伴ったメタ的な手法、
    建築物への
    趣向、
    センチメンタルなロマンスの味付け
    (女性の裸体もきれいに描いてあるなあって。)
    いやあ大好き。
    "マンガ"に付随した虚構テキストに触れるのもこれまた贅沢な体験で嬉し。

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    2014年08月10日
  • 闇の国々

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    ・一個の小宇宙。そんな印象を受ける、マンガを越えているマンガ。ヒトコマヒトコマの描き込みが恐ろしいほど細密。

    ・ストーリーは、いかにもフランス気質っていうか、不条理で哲学的でSF的…いく通りにも読み解くことができそうな、象徴的な話。

    ・架空の町々と歴史、そこに住む人々。現実世界との実験的手法で描かれるクロスオーバー…たまらない人にはたまらない、そんな作品。

    ・とりあえず、値段だけの価値あり。

    ・日本語版は、冒頭に作者の解説(ほんの「さわり」だけど)が掲載されていて、予備知識として頭に入れておくと、スムーズに物語に入り込める親切設計。

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    2013年01月18日
  • 闇の国々II

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    カフカ的な世界になってきた。
    闇の国々というタイトルは、光が入らないという意味での闇ではなく、人生の暗闇のような、光の当たらない人生、手探りで進むしかない世界をさしているのかもしれない。
    そして、不可解な世界から人々は抜け出していく。

    ある種の冥土巡りなのかもしれない。
    この不可思議な世界を支えるのは、スクイテンの圧倒的な画力。構築美だ。

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    2020年11月06日
  • 闇の国々

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    見事な構築。
    冒頭に地図があり、そこにある国々でおこる物語が掲載されている。
    1巻の時点では、それぞれの話はまだつながっていない。

    読者は壮大なイマジネーションの中をさまようことになる。
    巨大な建造物、奇想天外なストーリー。
    スクイテンは昔、リトル・ニモを描いていたと記憶しているが、当時から建物を見事に描く作家だった。

    徐々に時代が変わっていくのも楽しい。巻が進むにつれて、現在や未来が描かれるのだろうか。

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    2020年10月21日
  • 闇の国々

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    ネタバレ

    400ページの重厚なバンド・デシネ。闇の国々といわれる別世界で起こる色んな御話。
    1巻は白黒漫画かと思っていたがカラーのページもあった。あとがきで知ったがこの日本版はフランス本国の1巻から順番に掲載しているわけではないようだ。
    この巻には3つの話が載っていた。
    最初の狂騒のユルビカンドでスクイテンの建築物の造形美凄いとなり、塔では白黒漫画の中に色付きの世界が表れて感動して、最後の傾いた少女で絵と写真を使い闇の国々と現実世界が上手い具合に混じり合い驚いた。
    あとがきにある傾いた少女に纏わる手紙の話も素敵。

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    2020年07月20日
  • 闇の国々IV

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    「闇の国々」の邦訳もついに4巻。これで本国で出版された正編はすべて翻訳されて一応の完結。いくつかの番外編は未訳のまま残されてはいるけれど、正編全てを訳しきったのはかなり画期的なことだと思う。1冊平均4000円4巻そろえて16000円というのはコミックとしては非常識なほど高額なわけだが、それでもちゃんと日本で受け入れられたからこその完結。それもひとえにこの作品がそれだけ素晴らしいからに尽きる。ほとんど国産のコミックしか流通しない日本において、こういう海外の名作・傑作が紹介されることはたぶん、日本のコミックをより深めより拡大する強い力になると思う。

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    2013年12月22日
  • 闇の国々

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    フランス語圏の漫画、BD(バンド・デシネ)の大作。「闇の国々」と呼ばれる国を舞台とする連作である。本書出版の時点では、本編が12作、番外編が12作出ており、本書ではうち本編3作が収録されている。
    日本語訳としては、本書に加えて『闇の国々II』と『闇の国々III』は刊行済であり、『闇の国々IV』は2013年秋頃に出ることになっているようだ。各作品の刊行順序は原作とは異なり、本書(I)に収録されているのも2作目(「狂騒のユルビカンド」)、3作目(「塔」)、6作目(「傾いた少女」)となっている。
    原作シリーズの自体もまだ完結というわけではないようだが、「闇の国々」に起こる出来事を描く各作品がゆるやか

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    2013年04月21日
  • 闇の国々III

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    第2集からわずか半年で第3集がでたのは驚き。文化庁メディア芸術祭で大賞とったし、ユリイカで特集したしで、着々と支持を広げている印象。
    第3集は中編ふたつと、新聞記事に模した短編ひとつ。いままでの第1集第2集に比べて、格段に読みやすくなった。これまでは行間の読み方から、テンポの取り方から、日本の漫画とは相当違った読みにくさがあったのだが、今回はそういうのがあまりない。バンド・デ・シネっぽさは少し薄いかなって気もするが、ふつうの日本の漫画と同じような気持ちで読むことができるし、画の半端ない美しさは今作でも変わらない。
    お値段は張るものの、毎回これだけ素晴らしい作品というのはそうそうありません。

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    2013年04月08日
  • 闇の国々

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    例えば、指輪物語のことへ思いは漂ってゆく。その物語は完全な空想の物語である筈なのにどこかしら言い伝えられた話であるよう雰囲気がある。伝説的な物語(あるいは神話もその一つに含めてよいと自分は思うけれど)の不思議さと現実から切り離された浮遊感の混じり合った雰囲気は、逆説的ではあるけれど、物語が地続きの世界のことを描いていると思わせられれば思わせられる程に強くなる。もちろんその為には多くの実際の伝説や史実を象徴的に取り込まれている必要はあるだろう。

    例えば指輪物語では「中つ国」という壮大な世界がまるごと一つ創出される。その歴史、文字、文化、それらがトールキンによって生み出されたこと自体、驚異的なこ

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    2012年04月29日
  • 闇の国々

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    400ページの大型本。絵もストーリーも深く緻密で中々読み進めない…orz 装丁を含む本そのものが世界を持っていて、まるで映画を本の形で読んでいるような錯覚に陥る。そういう体験自体が面白い。

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    2012年03月14日
  • 闇の国々III

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    不条理というのだろうか。物語が難解だ。
    世界観がしっかりできているのがすばらしい。
    とくに建築物。むしろ建築物が主役のようなコミックだ。
    建築物が主役というと弐瓶勉の初期作品を想起する。
    しかし、シュイッテンの作品は、弐瓶勉のような闇の世界ではなく、陽光もある。そう、弐瓶勉のほうが闇の国々なのだ。
    しかし、本作が闇の国々というタイトルをつけているのには意味があるはずだ。言葉の響きから地下の世界のように感じてしまうが、それを示す表現はない。どういう意味があって、闇の国々というタイトルにしたのだろう。

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    2020年11月20日
  • 闇の国々

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    絵の質感がとても良い(個人的好み)。
    ただし日本の漫画の絵柄・コマ割りとは方向性が当然異なるので、読みづらさを感じるのは確かです。

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    2017年06月25日
  • 闇の国々II

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    第2巻がついに出た。ページ数は減ったけど、今度はフルカラー。第1巻がわりとバラエティに富んだ内容が多かったが、第2巻は比較的地味な内容。地味ではあるけれど、こちらのほうがより<闇の国々>の世界観をよく描出している。それはこの闇の国々という作品群がある種の都市論であるという事。たとえば第2巻に収録された「ブラゼル」などはブリュッセルになぞらえていることが明確にされている。日本のマンガやアメコミではこういう視点は生じ得ない。ヨーロッパという都市が極めて重要な役割を果たす場所だからこその作品と言えるかも知れない。

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    2012年11月09日