門前典之のレビュー一覧
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この不自然な屋敷は一体何なんだ。窓は嵌め殺しがほとんで開放感はなく、唯一開閉できる窓は西側に面したウォークインクローゼットの中とは。あまりに無骨な屋敷の中で起きた密室殺人。その遺体もまた屋敷と同じように理に適っていないことだらけだった。事件から数年後、屋敷に招かれた客人の中に蜘蛛手の姿が・・・。
蜘蛛手探偵シリーズ。 シリーズよろしく建築にスポットを当てたミステリー。もう序盤から分かるぞ、絶対屋敷に秘密あるだろう。その大仕掛から導かれる結末は感嘆か或いは呆気か。令和の時代、タイトルに込められた「エンデンジャード(絶滅危惧)」の真意とは!? -
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鮎川哲也賞を受賞した『建築屍材』の作者の長編作。
多くの作品同様に蜘蛛手建築事務所シリーズ(新キャラクターも登場して今後も継続すると思われる)ともいえるものだが、探偵の変人キャラと事務所の共同経営者が凡庸な書き手として機能するあたりは、類型的であり、この作者がトリック主体の作風のためか、小説として読ませようという部分を感じさせない。
表題にある、世界最小の密室は、小説内ではメインでなく他の多くの事象の一部を構成しており、表紙裏にも書き手が招待された別荘での密室殺人がストーリーの主軸に置かれている。シリアルキラーの出現や卵の中の刺殺体の謎よりも地味な密室が中心で、個々の謎に対してトリック、仕掛け -
Posted by ブクログ
先日読んだ『御城の事件<西日本編>』がなかなか面白かったのでこちらも読んでみた。
この<東日本編>はどちらかと言えば時代物という枠を超えた感があるが、『御城の事件』という枠は守っているので良いか。
高橋由太「大奥の幽霊」
<もののけ>シリーズで有名な作家さんだが読むのは初めて。
『大奥で赤子の幽霊が泣いておる。成仏させてくれぬか』
将軍家綱の命により大奥を探ることになった主人公の忍びが行き着いた真相とは。
てっきり明るいもののけ物だと思っていたら、意外な顛末だった。
山田彩人「安土の幻」
幻の安土城を描いたという襖絵を写しとるために絵師の芳永がやって来たのは、豊臣方の軍勢に水攻めを受けて