三浦みどりのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ漫画のほうを先に読んで、旧日本軍よりマシかも…とか感想を持った自分を殴りたい。
いろんな人がいて、いろんな手段で戦ったり、生き延びたりして。でも戦争がハッピーエンドで終わるなんてことない。これは今まさに繰り返されている悲劇だってことを教えられます。
腹立つのは、解放された捕虜に「なぜ生きてる?」と問うとこ。せっかく地獄を生き延びても裏切りを疑われながら生きなきゃならないとか。
著者のインタビュアーとしての姿勢が素晴らしい。「話してください。悪魔には鏡でその姿を見せつけてやらなければ」と。
しかしウクライナとかベラルーシの人たちのインタビューなんだよね。こんなことされてドイツを許す気になるかとか -
Posted by ブクログ
本書は物語ではなく、第二次世界大戦で従軍した100万のソ連女性の内、500人以上の生の声を集めたインタビュー集。
膨大な量で、Audibleでひたすら辛い内容を聴き続けたので楽しいものではないけど、語り継ぐべき素晴らしい資料だった。
特にソ連には世界でも珍しい女性兵がいたので女性ならではの視点や境遇から語られる戦争の話はとても貴重。
女性の従軍と言っても兵士や狙撃兵の他に、パイロット、通信兵、看護師、調理係、洗濯係など色々。だけど一番驚いたことは多くの女性が自ら前線を強く希望していたこと。
『同士少女よ、敵を撃て』では孤児が選択の余地がなく狙撃兵になっていたけど、実態は少し異なる印象。
中には -
Posted by ブクログ
▼(本文より)これは残るようにしなけりゃいけないよ。いけない。伝えなければ。世界のどこかであたしたちの悲鳴が残されなければ。あたしたちの泣き叫ぶ声が。
▼1948年、第2次世界大戦が終わって3年後に、当時ソビエトの西部、ベラルーシで、この本の作者アレクシエーヴィチさんが生まれたそうです。親世代は第2次世界大戦に従軍して、親戚も多く亡くなったそう。
アレクシエーヴィチさんは、20代終盤くらいから、つまり1970年代、冷戦下のソビエトで雑誌記者をされていたそうで、30歳くらいから、
<第2次世界大戦に従軍した女性たちの経験談を聞き取り集める>
という作業を始められたそうです。
この本は、 -
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Posted by ブクログ
圧倒的。インタビューした一人ひとりの戦争経験で編み上げられた壮大な曼荼羅の織物のような読み物。1000人いれば一千通りの話がある。聞き書きゆえの話のとっ散らかりぶりも、かえって生々しい。
ソ連が物量的に不足していたことや生きて虜囚の辱めを受けず魂など、日本とも共通する要素はあったこと、しかし特攻隊(海も陸も)ほどの人命の軽視はなかったことを知る。
愛国心の熱狂は、人をこんなふうに戦場に駆り立てるのだということを体験談の多様さ(あるいは共通する血のにおい)と量でいやというほど知らされる。熱狂の先にある地獄と、生還後の肉体と精神の傷みのすさまじさ、理不尽な扱い。経験した人はとにかくもう二度と戻りた -
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『嘘は言うまい、この道を進んでいけるという自信はなかった。しまいまで行くことができるのか。やめてしまいたい、脇道にはずれてしまいたい、というような迷いや不安の時があったがもうやめられなかった。悪というものにとりつかれてしまっていた。何か理解できるのではと覗き込んでしまったら、それは底なしの淵だったのだ』―『思い出したくない』
世の中がこれまでになくきな臭くなっている中、読んでおかなければならない一冊と思って手に取る。スヴェトラーナ・アレクシェーヴィナはウクライナ人の母とベラルーシ人の父の下に生まれた作家。そんな出自は旧ソビエト連邦時代であれば恐らく「京都生まれの母親と大阪生まれの父の下に生ま -
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Posted by ブクログ
これが戦争の、人間のリアル
憎しみが勝ってしまうと人はどこまでも残虐になれるんだなと思ったし、優しさも併せ持っているのが人間なんだと思った
いいとか悪いとかじゃなくて
極限状態ではこうなんだと思う
だから戦争は嫌だ、どんなに腹がたっても会話で解決したいな
戦後、心を閉ざした女性たちの心を開いて会話を引き出した著者はすごい人だと思う
聞くのも辛いと思うし、寄り添い続けるのも難しかったのではないかと思う
国のために戦い
戦争から帰った女性は差別されたり
戦場でも女の子はやっぱり女の子で
かわいく思われたいとか女性らしくありたいと思う気持ち
戦争中でも結婚式やほっこりするような一幕もあ -
Posted by ブクログ
ネタバレまず女性が戦争に行っていた事、そしてそれは看護士などもいたが狙撃兵もいたという事。読んでいてここら辺のところがえっ?どういう事?女性が?と頭がついていかなかった。タイトルを見て戦争って女性にとっては大変な事であり、そういう大変だ云々と言う事が女性の視点で書いてあるのかと思っていたから。私は何も知らなかったんだなと思う。まあ確かに大変な事ではあるのだけどそんな言葉で表現するのはあまりに軽すぎる。
映像化したら目をそらしたくなるであろう場面も。行動も精神も何もかも無茶苦茶になるのが戦争なんだなとあらためて思う。
これを読んで、戦争に行った人が戦争を語らない、固く口を閉ざしてしまって、という理由がや -
Posted by ブクログ
ネタバレ気になったいくつかを書いてみる。
『その人は黙ってしまったわ。顔から微笑みが消えたの。何だか恥ずかしそうなばつが悪いって顔して。もう若くない人だった……その人は分かっていたの、私を送り出す先がどういうところか……』p106
これはチョコレートをカバンいっぱいに詰め込んだ女性の話。軍事委員の人がカバンに何が入っているかを知って、笑えなくなったという部分。戦争を知らない少女たちが戦争に向かっていく話もこれだけではない。
『わたしは思いました、おかあさんは私のことを結婚するには若すぎるけど、戦争には若すぎないって思ったのね、と。私の大好きなおかあさん』p202
結婚に反対されて、早く大人になりた -
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Posted by ブクログ
とてもではないが、すぐに読み終えることができる本ではないと思った。いったい、この時代に生まれて、(女として)生きるとはどういうことだったのかということが、無数の人たちの語りによって眼前に突きつけられる。戦争、日常への帰還。戦争に行っていた女性への眼差し。捕虜だった兵士への祖国の仕打ち。無数の個人史が表すのは、戦争の勝利ではなく、戦争に巻き込まれ生きた(死んだ)人たちがいた、という単なる事実であり、だからこそ、「戦争」「国家」「社会体制」「時代」というものへの内省を迫るような、静かな怒りや悲しみ、威厳が一つ一つの語りから感じられた。
「夏になると、今にも戦争が始まるような気がするんだよ。太陽が照 -
Posted by ブクログ
第二次世界大戦でソ連軍に従軍した女性たちの生の声が収録されている。
まず、女性が兵士として戦地に行っていたということに驚いた。彼女たちは、自ら志願して兵役を務めた。
確かに国を守り立ちという気持ちに男女差はないだろう。
けれど、戦後の彼らの処遇は男性とは違ったようだ。
勲章をもらった男性は英雄視され、女性は戦争に行った女と非難される。
読むに堪えない箇所に、何度か読み進めるのを躊躇したが、それは戦争の本来の残酷な姿を真摯に書いているからこそだ。だから多くの人に読まれるべき本だと思う。
夫を戦争で亡くした女性が、帰ってきたら大切にしたのにと語っていたのを読んで、日々感謝して夫を大切にしなければと -
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Posted by ブクログ
本の存在意義をしみじみ感じています。
女性なら誰もが手にとって読んでみてほしい。思い知ってほしいです。戦争は女の顔をしていないということを。
名著だからと手に取りましたが、とても分厚く内容も重く読み進めるのに時間がかかりました。でも1/4も過ぎた頃でしょうか、この本の意義、この本を読む行為の重要性を自分なりに理解し、胸が震え、本の読み始めの時とは変わって、ページをめくる手が止まらずエピソードを自分の中に蓄積していくかのような不思議な感覚になってきます。読んでも読んでも救われることはなく地獄という一言で片付けられることもないような悪夢のようなひどい現実を知り、時にあまりの衝撃で開いた口が塞がら -
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