岸裕子のレビュー一覧

  • 千の花

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    花をモチーフとしたシリアスな短編マンガ集+コメディ掌編。
    1984年2月刊。

     千の花(『DUO』1984年1月号)
     薔薇夫人(『デラックスボニータ』1983年5号)
     沈丁花(『JUNE』1983年№9)
     虞美人草(『LaLa』1981年1月号)
     イマジネーション(『JUNE』1982年№6)
     似た者同志(『JUNE』1982年№8)

    作者が本音を吐露した(?)
    あとがきエッセイ風の1ページもあり、これが興味深い。
    男性の同性愛を描きたかったが
    掲載誌の都合で男女の三角関係になったとか、
    逆に、思い切って描いてよかったときに
    照れ(恥じらい?)が生じて
    婉曲表現になったといったニュアンスの。
    いずれにせよ、現代の読者の感覚からすると、
    さほどショッキングな内容ではないのだが、
    発表当時は一部で物議を醸したに違いない、という印象。
    画風は昔(=同時期?)の木原敏江に近いかもしれない。
    そして、異様な熱気を放つキャラクターの多弁さは、
    赤江瀑のいくつかの小説を連想させる。
    赤江作品から醤油っ気を抜いて
    バターを投入したみたい……って、違うか(笑)。

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    2020年08月21日
  • 僕のお嬢さん

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    むか~しの学園ラブコメ短編集、全4編。
    1988年5月刊だが、収録作は更に古い!

     僕のお嬢さん(『別冊少女コミック』1974年11月号)
     花はさくらぎ(『別冊少女コミック』1975年4月号)
     恋は魔術師(『別冊少女コミック』1974年8月号)
     キッスの味は!?(『別冊少女コミック』1974年2月号)

    表題作は、超絶ワガママだが可愛げもあって、
    どうにも憎めないお嬢さん・但馬夏子ちゃんと、
    彼女の想い人やら誰やら彼やらの恋の鞘当て的なドタバタ物語。
    同時代の大島弓子作品の一部に似た雰囲気がないでもないが、
    あれほどの繊細さは感じられない、ご都合主義的な世界。
    でも、その時代の「マンガ好きの女の子たち」には、
    ほぼこんな感じで充分だったのだろう、という気がするし、
    逆に、やっぱり大島弓子って凄ぇよな!
    と、直接関係のないところで感心してしまったのだった(笑)。

    褒めるべき箇所を挙げるなら、
    「花はさくらぎ」に登場する軽薄な三人組が
    単なる美少年s(複数形)であることを超えて、
    性自認は男性でヘテロだが
    女性っぽい装いを好むキャラクターである点か。
    「恋は魔術師」ヒロインの弟も同様だが、
    好きなファッションで堂々と闊歩する姿がカッコイイ。
    時代が追いついてきたかもね。

    ※岸裕子四番勝負(笑)は後でブログにまとめます。

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    2020年08月20日
  • 金色の星

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    少し長めの、むか~しの学園友情モノと、
    その前日譚、他1編。
    1988年2月刊だが、収録作は更に古い!

     金色の星(『別冊少女コミック』1973年10~11月号)
     ラブリー・ジーン(『別冊少女コミック』1973年7月号)
     やさしい風(『別冊少女コミック』1975年2月号)

    その時代の読者に好まれた、
    俗に言う「赤毛もの」ってヤツでしょうか。
    今はこういう呼び方自体、差別的な響きを帯びるので
    用いるべきではないとも言える気がしますが。
    欧米が舞台で、
    金髪碧眼の美少年・美少女たちのドラマなのだけど、
    キャラクターの行動様式や基本的な思考回路は純和風、
    みたいな(笑)。
    ウェットですなぁ、
    みんなよく泣くし、下手するとすぐ死ぬし(爆)。

    表題作は、ガッと圧縮して言ったら、
    中性的な美少年が大切な親友(男子&女子)
    二人のために無理を押して頑張る話、といったところ。
    病気ネタも多いかな。
    現代ではきちんと治療できるけれども、
    当時は不治と見なされていた病にかかった
    主要登場人物が命を賭けて何事か成し遂げる、とか……。

    ところで、そのうち上書き修正されるかもしれないが、
    書影が実物と違いますね。

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    2020年08月20日
  • 白蓮

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    シリアスとコメディを取り混ぜた短編マンガ集。
    1986年2月刊。

     ちょっとミステリー パート1(『グレープフルーツ』1982年6号)
     ちょっとミステリー パート2(同1983年9号)
     白蓮(同1981年創刊号)
     金木犀(同1981年2号)
     薔薇水(同1982年3号)
     ハピネス(同1985年23号)
     シャル ウィ ダンス(『ジャム』1985年3月号)

    内輪ネタ系エッセイマンガは巻末がお約束だと思うが、
    のっけから、である(笑)。
    仕事は順調だがプライベートでは心の隙間が気になって……といった、
    作者自身がモデルと思しい漫画家の喜怒哀楽。
    表題作は(多分)作家で病に侵された男・隼人と、
    その友人・省吾、
    旅芸人一座で酷使されていたが隼人に引き取られた少年・花緋の、
    言うなれば男だけの三角関係の物語。
    親友に(隠しているが)友情以上の感情を抱いている人物が、
    親友が大切に想う相手(≒美少年)を凌辱するという、
    先に読んだ「虞美人草」と共通のフォーマット。
    キャラクターの内心の葛藤が、
    平凡な人間にも理解可能な範疇に収まっているので、
    無茶苦茶な話ではあるものの、普通に感情移入できて、
    そこが描き手として巧みなところだと思う。

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    2020年08月19日