谷喬夫のレビュー一覧

  • 増補 普通の人びと ──ホロコーストと第101警察予備大隊

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    その仕事はしたくないって? あのね,あなたがしなければ結局誰かがやることになるんですよ。しかもあなたがそうやってその仕事を否定すれば,頑張っている先輩や同期の努力を踏みにじり,いろんな人に迷惑がかかる。それでもいいの?

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    2022年01月03日
  • 増補 普通の人びと ──ホロコーストと第101警察予備大隊

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    本好きの友だち二人がお薦めしていたので購入…したあと積読になっていた。
     ホロコーストについて、ドイツ警察予備大隊の隊員たちの証言をもとに客観性、信ぴょう性に重きを置きつつ、なぜそういうことが行われたのかということを検証している。
      淡々と、当時の警察大隊がどういった事情で編成されたのか、そしていかなる指令系統で命令が下され、それがどのように末端隊員まで伝わり、実行されたのか。そしてユダヤ人の虐殺がどう実行されていったのが描写される。
     最初の方、ユダヤ人を全員射殺することを涙を浮かべて説明するトラップ少佐。やりたくないものは名乗れという。そんななか、不器用に始まった「指令の実行」。そこには

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    2021年05月18日
  • 増補 普通の人びと ──ホロコーストと第101警察予備大隊

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    辛かった。そして最後の問いかけが重かった。
    「どのような人びとの集団ならそうならないと言えるのであろうか。」

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    2020年03月14日
  • 増補 普通の人びと ──ホロコーストと第101警察予備大隊

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    ナチス政権下の人たちが隔絶して激ヤバイデオロギーに骨の髄までスポイルされて全く違う世界の別の生き物と化してしまったからこういう大量殺戮も可能になったということで「そういう社会」に生きてないわたしたちは別に安心していいんですよという話ではなくその逆、逆逆逆という本。

    ホロコーストや最終解決の話になるとき思い浮かぶのはやはり絶滅収容所で、概念としてもめちゃくちゃインパクトがあるので頭に残りやすいけれど、絶滅収容所に至るまでにはもっと直接的に一斉射殺という手段が取られていたわけで、そこに関わった人たちの証言を多く読めたのはよかった えぐかったが。

    いや、射殺に関する臨場感あふれる証言が最たる押

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    2019年07月21日
  • 増補 普通の人びと ──ホロコーストと第101警察予備大隊

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     初刷をはじめ途中までは第4SS警察擲弾兵師団を「警察近衛師団」という意味不明な「訳語」を使っていた。第三帝国時代の研究書の翻訳にはマニア向けの知識は必要だといういい例だ。どうしてそういう「訳語」が生まれるのかは知らないけれど。
     増補で記されたページで読み取れるように著者やホロコースト記念館、ヤド・ヴァシェムなどは第三帝国時代の制服について知識がなかったらしいので被写体が着ている制服が持つ意味を見抜けなかったようだ。特に399頁の写真とバー=ゾウバーの「モサド・ファイル」に掲載された写真は明らかに連続写真なのにヤド・ヴァシェムはポーランドなのかチェコなのか、映っているユダヤ人は誰なのか無茶苦

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    2023年10月16日
  • 増補 普通の人びと ──ホロコーストと第101警察予備大隊

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    何百万人ものユダヤ人を虐殺したのだから処刑に関与した人間は極悪人ばかりだと思いたいが、この本を読むとそうではないというのが良くわかる。
    組織の歯車に収まってしまうとおぞましい程の蛮行も気にならなくなり、しまいには効率的で淡々とした殺戮者となってしまう。そこには順応への圧力や面子を失うことの恐れなど自分にも見に覚えのあることが関係しており、けして他人事として切り捨ててはいけない問題だと思いました。

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    2022年06月25日
  • 増補 普通の人びと ──ホロコーストと第101警察予備大隊

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     原著初版1992年、あとがきを加えた第2版が1998年、更に「25年の後で」という文章が2017年追加された。
     ナチスのユダヤ人大虐殺を扱った著書として非常に有名で、いろんなところで言及されており、とりわけ社会心理学系の本にはあの有名なミルグラム実験と共に、よく引用される。
     普通に善良なドイツ市民が無残な虐殺を行ったというテーマで、それはハンナ・アーレントの「凡庸な悪」というテーマにも隣接しそうだが、本書を通じアーレントへの言及は全く無い。
     歴史上の限定的なプロセスについてのルポルタージュになっており、中心的に記述されるのは、30代から40代の至極普通のドイツ男性の寄せ集め500名ほど

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    2021年12月30日
  • 増補 普通の人びと ──ホロコーストと第101警察予備大隊

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    あとがきの半ばくらいから皮肉キレッキレで笑った。P328「死の行進に幅広い関心をもたらしたのは、ゴールドハーゲンの著作の欠陥を補うに足る功績の一つである」この一文好きすぎる

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    2020年08月10日
  • 増補 普通の人びと ──ホロコーストと第101警察予備大隊

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    ナチスドイツによるユダヤ人の大量虐殺。前線投入されない一般市民から成る警察大隊。市井の人々はどのように虐殺に加担したか。衝撃のノンフィクション。

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    2020年02月15日
  • 増補 普通の人びと ──ホロコーストと第101警察予備大隊

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    ナチス政権下でのホロコーストの実態を理解する上で、1992年に出版された本書は2つのことを教えてくれる。一つはホロコーストに関して、我々はアウシュビッツやビルケナウ等の強制収容所ばかりをイメージするが、実際には被虐殺者の20-25%は、ユダヤ人が暮らしていたゲットーやゲットー近辺の森林での”射殺”によるものであるということ。そしてもう一つは、そうした”射殺”に関与したのが、民族浄化や反ユダヤ思想に特段染まっていたわけではない市井の人々によって構成された警察予備大隊であったということ。

    ある暴力についてそれが特殊な事情(政治思想、宗教、貧困等)の影響によって、限定的に持たされるものであるという

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    2019年08月17日
  • 増補 普通の人びと ──ホロコーストと第101警察予備大隊

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    普通の人びとが、軍隊に入り、制服を着ることにより、社会的死を回避するよう、団結力を発揮させ、ホロコーストを進めてしまう様は、大量殺戮で結ばれた国民的同胞愛を感じてしまう。
    写真はつらい。特に列車に乗るよう追い立てられるユダヤ人の様子は。

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    2019年06月26日
  • 増補 普通の人びと ──ホロコーストと第101警察予備大隊

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    521ページの内、305ページからあとがきが始まるというある意味スゴい構成の本。そのあとがきが同じ史料から真逆の結論を導き出した同業者の研究への批判で埋め尽くされてるといてかなりおもしろい。
    本自体の中身としては、タイトルの「普通の人びと」が如何にしてユダヤ人虐殺に手を染めたのか、それを拒否したのかというところを証言に基づいて検証。嫌がる人、嬉々として協力する人、出世のために協力する人、兵役さえ終われば日常生活に基盤があって軍隊内部での出世なんか気にせず拒絶する人、きっちり計画された虐殺、行き当たりばったりの乱射、教科書の「ユダヤ人に対する虐殺行為が行われた」の一文の裏側の個別事情が言葉は悪い

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    2019年05月30日
  • 増補 普通の人びと ──ホロコーストと第101警察予備大隊

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    本当に考えさせらせるよね…。
    ナチスといえば残虐で冷酷なサディストの集まりで悪魔的なイデオロギーのもとに歴史上類稀な事をやってのけた「純粋な悪」みたいなイメージだけど、じゃあ戦時中に日本や他の国が非人間的な振る舞いをしなかったのかというと違う。
    戦争犯罪に加担した、ナチスに持つイメージのようなサイコパス的な人間は一部で、多くは「普通の人」。時代の流れや組織に所属する意識、そういうものに流され順応してしまう「普通の人」。
    振り返れば本当に最低だな、と思うけどじゃあ実際また戦争が起こったり独裁者が現れたときに流されないでいられるのかと考えると「流されない」と言えない自分がいる…。

    それに戦時中で

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    2025年02月22日