高埜利彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ江戸時代「近世」の泰平の世を説いた高埜利彦先生『天下泰平の時代』は、17世紀半ばの徳川家綱の時代から18世紀半ばの家治に至る約130年を、鮮やかに紡ぎ出す
17世紀の初め、戦国乱世の記憶が人々にまだ生々しい記憶として残る中、「天下泰平」の基盤がどのように築かれ、文化が花開いたのか、政策の変遷や社会のダイナミズムを通じて解き明かしてくれる本書の魅力は、何と言っても網羅的に社会の出来事を、その構造の明快さと、具体的なエピソードだと言える
冒頭で家綱・綱吉の治世から始まり、吉宗の享保の改革を経て家治の時代までを追う流れは、まるで川の流れのように武家社会の価値観が「武威」から「学問・文化」へシフトしていく過程(政策の羅列ではない)、身分の流動化や経済の発展と絡めて、人々の生活の営みの根底の意識の変化を、綱吉の生類憐みの令の「動物愛護」政策だけではなく、泰平の世を維持するための人の心の「安定装置」として再解釈されている
また、都市部の商業発展や出版文化の隆盛が、どのように庶民の生活を豊かにしたかを、具体的な事例を交えながら記述をし、江戸の町人文化、歴史が「過去の出来事」ではなく、「今を生きるためのヒント」として蘇る
安定した社会を維持するための「仕組み」――参勤交代の洗練や、身分制度の柔軟化――は、今日のグローバル化された社会で求められる「持続可能性」の教訓とも関係づけられる -
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ネタバレ<目次>
第1章 織豊政権と近世のはじまり
第2章 徳川政権の確立と大奥
第3章 天皇・朝廷と女性
第4章 「四つの口」~長崎の女性
第5章 村と女性
第6章 元禄時代と享保改革
第7章 武家政治を支える女性
第8章 多様な身分~巫女
第9章 対外的な圧力~アイヌの女性
第10章 寛政と天保の改革
第11章 女性褒賞と近世国家~官刻出版物『孝子録』の編纂事情
第12章 近代に向かう商品生産と流通
第13章 遊女の終焉へ
第14章 女人禁制を超えて~不二道の女性
<内容>
ちくま新書の歴史シリーズ。近世史は女性の視点が入った。まあ短い論文なので面白さに欠けるが、堅実だと思う。