上條ひろみのレビュー一覧
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〈殺人コンサルタント〉の名刺を持つペギーという名の老婦人が死んだ。
ナタルカ、エドウィン、ベネディクト
生前関わりのあった三人が犯人を探す。
謎解きのなかに、年齢も育ちも全く違う女一人男二人のロードノベルのような爽やかさがスパイスされている。
この輪に入って、ハービンダー刑事は前の事件よりなんだか随分と心を開くようになった。
前作『見知らぬ人』には無かった味だ。
導入部はとても興味深い描写だったのにそのあと少しまわりくどさをかんじた。
それも束の間、途中からギア一段上がって加速し、最後まで引き込まれた。
読後感が柔らかいのがとてもいい。 -
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ざっくりと一括りにしてしまうのは甚だ乱暴かつ恐縮ながら、ここからもうひとひねりふたひねり、というところで意外やあっさり素直に終わってしまい、職人芸に欠けると思わされる物語が欧米のミステリーには少なくない中、この作品については良い方に期待を裏切り、しっかり骨太の構成で成り立っていることを見せつけてくれた。
主要人物たちのキャラクター造形という点ではぽやっとしている印象もあるが、プロットは実に巧みで、作中作も有効に活かされている。
いかにも英国らしい、どんよりした空模様が似合いそうな雰囲気を醸し出しているとも言える。
シヴィアな読み方をすれば瑕疵は色々と出てくるが、充分良質なパスタイムではある。
ひと段落、という誤用が訳文にあるのはいただけない。 -
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お菓子探偵ハンナのシリーズ、24作目。
常連さんが一座で年に1度の興行~という感じのコージー・ミステリです。
故郷のレイク・エデンで、手作りクッキーの店「クッキージャー」をやっているハンナ。
自分のアパートが事件現場になったため、長い付き合いのノーマンの家に滞在しています。
歯科医のノーマンはただの友人以上の存在だが、結婚に破れたばかりのハンナは、彼の優しさを素直に受け入れつつ、これ以上の関係にはなれないという。
バスコム市長のところに、ハンナの妹アンドリアが夫のことを頼みに来て、最初は丁寧なのだがついに‥?という所から始まります。
評判の良くないバスコム市長がその後、事件の被害者に‥!
容疑のかかったアンドリアを守るため、ハンナも解決に立ち上がります。
バスコム市長は嫌われ過ぎていて、容疑者が多すぎ。かと言って、殺すほどかと言うと‥?
長く続いているシリーズで常連さん多いのですが、事件に関連して消えた人もいる~事件は2か月後に起きたりしているので、そこまで年取ってはいないのかな‥
母親は性格強い美魔女、妹二人も小柄な美人。ハンナだけが亡き父親似で大柄で赤毛、美人ではないのだけど、頭がよく親切で料理上手。という設定は変わりませんが。
母は再婚していて、上の妹アンドリアは少し料理が出来るようになっていたり、下の妹にも恋人が出来ていたり。
ハンナが結局誰とくっつくの~?という興味もありつつ、まあ決まらなくてもいいか‥(笑)
大量の甘いものと、甘くない美味しそうなもの少しのレシピを楽しみつつ。ユーモアと人情味とスリルをご賞味あれ(笑) -
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ネタバレクッキー・ジャーシリーズの24作目。
いきなりハンナの脳内会話がはじまってびっくり。
こんな作風でしたっけ?
いままでいろいろ物議を醸してきた町長が被害者。
そこはまあ意外性はないが、
妹のアンドリアを容疑者にするのは無理やりでは。
長いシリーズだからしょうがないかもしれないが、
今までのキャラクター設定からだいぶはみ出してきた。
アンドリアはハンナの応援があったとはいえ料理に意欲的になるし、
町長の浮気を買い物で見逃していた嫌な感じの妻が、
容疑者のアンドリアに理解を示すいい人になったりとか、
変化がちょっと唐突。
ハンナの母ドロレスの冷蔵庫野菜室には、
どろどろにとけたキュウリかしなびたセロリしかないとか、
歯の治療代金を払ってくれない町長に、
入れ歯の治療だと噂を流すぞと脅す知恵を授けたり、
ドロレスは相変わらず面白い。
モシュがトラウマからか、ハンナの部屋に帰れなくなっているのはどうなる?
ノーマンの家は居心地が良いので、それはそれで良いのかもしれないが。
それは、アパートの改装を理由にノーマンの家に寝泊まりしているハンナも一緒?
ノーマンの人の良さというか、ハンナへの愛情が
ますますパワーアップしている気がする。 -
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アメリカの作家ウィリアム・リンクとリチャード・レヴィンソンの共著の長篇ミステリ作品『レヴィンソン&リンク劇場 突然の奈落(原題:Shooting Script and Other Mysteries)』を読みました。
ウィリアム・リンクとリチャード・レヴィンソンの共著は、昨年3月に読んだ『刑事コロンボ サーカス殺人事件』以来なので約1年振りですね。
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『刑事コロンボ』をはじめとする数々の推理ドラマで世界中を魅了した名コンビは、戦後アメリカ黄金時代のミステリー雑誌を飾った短編作家でもありました。
その貴重な作品をお届けする〈レヴィンソン&リンク劇場〉完結編!
長年勤めた会社を退職する男の最後の計画とは? 妻を殺した夫が落ちた罠とは?
極寒の米軍施設で兵士が知った犯罪とは?
人生のさまざまなシーンで起こる多様な事件をあざやかに描きだし、予想外の結末に導く手練の技を、ぜひご堪能ください。
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アメリカのミステリ専門誌『アルフレッド・ヒッチコック・マガジン』等に1959年(昭和34年)から1966年(昭和41年)に発表された短篇を収録し、2022年(令和4年)に刊行された作品です。
■ミセス・ケンプが見ていた(Suddenly, There Was Mrs. Kemp )1959/川副智子 訳
■生き残り作戦(Operation Staying-Alive)1959/仁木めぐみ 訳
■鳥の巣の百ドル(The Hundred-Dollar Bird’s Nest )1959/上條ひろみ 訳
■最後のギャンブル(One for the Road )1959/中井京子 訳
■記憶力ゲーム(Memory Game)1959/小堀さとみ 訳
■氏名不詳、住所不詳、身元不詳(No Name, Address, Identify)1961/高橋知子 訳
■ちょっとした事故(Small Accident)1961/木村二郎 訳
■歴史の一区切り(The End of an Era )1962/後藤安彦 訳
■最高の水族館(Top-Flight Aquarium )1962/後藤安彦 訳
■ロビーにいた男(The Man in the Lobby )1966/川副智子 訳
■解説 二杯目もアメリカン~レヴィンソン&リンクの短篇世界 小山正
予想外の結末に導く手練の技が見事に発揮された作品ばかりで愉しめましたねー 面白かったし、1篇が20ページ程度なので、とても読みやすかったですね……そんな中で特に印象に残ったのは、、、
妻を自殺に見せかけて殺すことに成功した男に脅迫者から電話が掛かってくる……脅迫者と殺人者の攻防の果てに思わぬ切り札が示される『ミセス・ケンプが見ていた』、
贅沢な生活を夢想する貧乏医師……ついつい犯罪に手を染める決断をしてしまう人物の皮肉な結末を描いた『鳥の巣の百ドル』、
抜群の記憶力を持つ男……肝心な時に実力を発揮することができない男の悲哀を描いたコントのようなオチの『記憶力ゲーム』、
自動車にはねられて記憶喪失になった男……唯一残された手掛かりはポケットに残された医師の名刺と1,000ドル紙幣をもとに自分の過去を探ろうとする『氏名不詳、住所不詳、身元不詳』、
15年間勤めた会社を退職する男が、彼に残された誰にも言えない大仕事を仕上げようとする……伏線の張り方と意表な展開が愉しめる『歴史の一区切り』、
の5作品かな……好みの作品ばかりで気軽に読めて満足必至の逸品揃いでしたねー この作品の前に『レヴィンソン&リンク劇場 皮肉な終幕』という作品が刊行されているようなので、こちらも読んでみたいな。 -
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謎解きの原点にのめり込む……。
「誰が犯人?」の面白さは、その意外性のみにあるのではない。誰だかわからないうちに変化していく状況を演出することで、先の見えない不安感を読者に共感させる。そこに読者は次第にはまり込んでいく心地よさがある。
捜査中に連続する殺人事件
意味深なシェイクスピア作品からの引用文
古いホラー小説とその作者にまつわる謎
古い洋館と階段に残された足跡
いつの間にか誰かに書き加えられた自分の日記
オカルチックなサークル
自らを「白魔女」と呼ぶ女性教師
学校に伝え続けられる怪談
ひと癖ある刑事の独断と行動が、ときより読者を謎解きへ戻してくれる。
どっぷり浸かる心地よさ……イイですね。 -
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ネタバレクッキー・ジャーシリーズの第二十二作。
そうそう、そういえば前作の最後でハンナが妊娠しているかも?
という話になったが、結局体調がすぐれないのはストレスのせいだった。
そこから、
母のドロレスとのロサンゼルスへの旅行へ持っていくとは、凄腕だ。
その旅行の最中に末妹のミシェルから、
恋人のロニーが殺人事件の容疑者になったと連絡があり、
あわててレイク・エデンに戻る。
高校時代のクラスメイトを車で家に送ったと思ったら、
眠気に襲われ、目覚めた時にはクラスメイトが死んでいた・・・。
自分は最初からノーマン推しなのだが、
さらにハンナへの愛情と気遣いがパワーアップしている気がする。
マイクと比べて見た目はぱっとしないけど、
ノーマンの方が良いと思うんだけどなー。
ハンナが子供のころパンケーキを作るのに失敗したとは、意外だった。
ハンナが料理好きになったのは、
焦げているのに気が付いて、
フライパンを洗って、空気を入れ替えてくれて、
しかも失敗を黙っていてくれたお隣さんのおかげだと思う。 -
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ネタバレエリー・グリフィス初読。
刑事ハービンダー・カーの第1作。
これぞイギリスミステリ、と言いたくなる作品。
(私の中のイメージでは)どことなく暗く冷たい北欧作品、外連味があり大技を繰り出すフランス作品、ミステリより家族との絆が根幹にあるアメリカ作品。それらに比べ、どことなくミステリ色が強く、必要以上に残酷な描写にならないのがイギリスミステリのイメージ。
舞台は、ホラー作家の邸宅だった学校。被害者はホラー作家の小説に見立てられ殺されていたというもの。
正直星3寄りの星4かなぁ。。。
キャラもストーリーも、あんまり残らない。ゴシックホラー味のあるミステリだなぁとは思ったけど。。。
帯の文句で「この犯人は、見抜けない」となっているが、正直ヒント少なすぎたわからないだけでした。
次作の評判が高いので楽しみ。 -
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ネタバレ高齢者用の共同住宅に住んでいたペギーが死んだ。
発見したのは通いの介護士のナタルカ。
90歳という年齢で心臓疾患を抱えていたのだから、死因が心臓発作であることに問題はないはずだった。
しかし彼女は海の見える窓辺の椅子にいつも通り座ったまま亡くなったのだ。
目の前のテーブルには薬があったにもかかわらず。
彼女は同じフロアに住むペギーの友人だったエドウィンと、ペギーの行きつけのカフェの店長であるベネディクトと3人で、事件の真相を探る。
元修道士のベネディクトはミステリが好きで、観察力や推理力に優れている。
エドウィンはBBCで働いていたこともあり、孤独な生活を送っている割にはコミュニケーション能力が高く、現実対応力もある。
ナタルカはウクライナ人。
数学が得意だったので、イギリスの大学に留学し、一瞬だけイギリス人と結婚したことにより、イギリスへの永住権を持つ。
最低賃金の保証のない介護士をしているが、実は財テクの特技を持つ。
これだけだと普通のミステリなのだけど、亡くなった(殺されたのかどうかも不明)ペギーが、殺人コンサルタントとして多くのミステリ作家にアドバイスをしていたことから、作家や編集者、ブックブロガーやイベントなど、現在のイギリスの出版事情も垣間見える。
そして、なぜペギーは殺人コンサルタントと名乗るようなことができたのか。
そこにはヨーロッパの、主に東欧の歴史が大きな影を落とすことになる。
この本が書かれたのは2020年だが、ウクライナ人はイギリス人にとって縁起の良くない民族と思われている節がある。
ナイチンゲールの時代からずっと戦時中であるというクリミア半島。
まあ、少数民族に対するマジョリティーの偏見というのは、刑事のハービンダー(イギリス生まれのインド人)も常に感じているところだが。
ナタルカの弟は反ロシア行動をとったということで、ロシアの捕虜になっていたことがあとでわかる。
トランプ大統領の口利きの捕虜交換で解放されて、政治難民としてイギリスへ来た。
祖国に帰らないのかと聞かれて、彼は答える。
「いつか、いつかは帰るよ。ロシア人がいなくなったら」
ポーランドも大きなカギだ。
ポーランド人の介護士。
第二次世界大戦中ポーランドにいた人物も。
ポーランドの「女学生暗殺者」。
日本のマスコミだけではわからない、世界の今と過去がこの本には書かれている。
「人は本のなかで世界を旅することができる」
前作『見知らぬ人』の時も思ったけれど、作者は本当に読書が好きなんだということが、今作では随所に現れていて楽しかった。
前作の主人公であるクレアがちょっとだけ出てきて、「ウィルキー・コリンズもディケンズもミステリを書いたことがあるのよ」という。
中世の文学が好きなクレアはミステリなんて読まないでしょという、ハービンダーの問いに対する答え。
「え?読むんだ!」と読者に思わせたかったのだろうけれど、私は逆にウィルキー・コリンズってミステリ以外も書いてたんだ!と驚いた。
ディケンズの遺作『エドウィン・ドルードの謎』はミステリだが未完なので、知らずに読んで衝撃を受けた。全集に入れるなよ!
タイトルの『窓辺の愛書家』もとても良い。
原題は『The Postscript Murders」という味気ないもの。
年を取ったら海の見える家(サ高住でも老人ホームでも)で、窓辺の椅子に座りながら膝の上にはいつも本。
テーブルの上にはクロスワードパズル。
そして海を眺めながら息を引き取ることが出来たらいいなあ。 -
Posted by ブクログ
ミステリー作家に殺人方法を教えていた女性が殺されたという設定から気になり手に取った本。シリーズものと知らずに読んだものの、全く気にする事なく読むことができました。
今時の本だな〜!というのが最初の感想。ジェンダーや人種に関すること、昨今の世界情勢に関すること。多種多様な考え方が反映されていた。
ウクライナ出身の介護士、元修道士のカフェ店主、BBCで働いていた老父。3人のアマチュア探偵と1人の女性警察官。登場人物がみんな個性的で面白かった。解決したと思ったらその先の事実がどんどん出てくる展開。序盤はゆっくり進んでいたのに対し、後半は怒涛のスピード感!
前作、次作も読みます。