山本健人のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
前作『すばらしい「人体」』の続編。
作者自らが前作のアンチテーゼと言うように、人体編で書かれていた人体のすばらしさに対し、今回の医学編では人体の弱さと脆さに注目し、病との闘いぶりが書かれている。
人体編でも驚いたが、人間の体は本当によくできているものだ。そして人間はその弱さ故、様々な病気と闘ってきた歴史がある。学者はその歴史の中で、治療法を編み出し薬を発見してきたのだ。その病気との闘いは、偶然の発見や発明の積み重ねによるものであり、そのお陰で現在の我々は安心して医療にかかることができている。この積み重ねには感謝の思いがする。
前作と合わせて読むことを勧めたい。 -
Posted by ブクログ
著者は外科医で医療関係の本ですが、非医療従事者に向けて書かれていますので、専門知識は不要です。
それどころか、どの題材も「名前や存在は知っているけど、くわしくは知らない」といったものばかりです。薬や麻酔の歴史、現在使われている外科器具の秀逸さ、医療の黒歴史など、どの話も読み物として面白く、好奇心を満たしてくれる内容となっています。
やはり医療や人体に引かれるのは、自分の体に関係することだからなのかなとは思います。そういう意味では、興味がないという人はいないのではないのでしょうか。
この休みにビジネス書ばかり読んでも飽きるので、たまにはそれ以外の分野も、と思
い購入しましたが、読んでみて良かったです。
ぜひ前著や巻末にある書籍も読んでみたいと思います。 -
Posted by ブクログ
以前、「すばらしい人体」を読んで印象が強かったので、こちらも読んでみた。
前作とダブる要素もあったが、現役の外科医としてリアルに分かりやすく語る話は、やはり興味深かった。
体の器官の仕組み、薬の開発に関するエピソード、外科医や外科治療、手術の歴史など驚くべき話が満載されている。
ただ、次々に紹介される薬や専門的な用語、内容についていけないところが多々あったのは否めない。
驚きが大きかった内容や印象に残った点を以下にメモしておく。
・胃や膵臓、肝臓などで作られる消化液は、体内で漏れると臓器を傷つける危険性がある。
・普通の飲食では一日あたり約9リットルもの水分が小腸~大腸に入る。(うち7リットルは消化液)そのほとんどが小腸と大腸で吸収され、便として排出される水分は2%以下。この多寡すなわち食べたものの腸内での滞在時間に応じて便の硬さが決まる
・脾臓は「なくても生きられる臓器」のひとつだが、免疫を担うリンパ節の親玉であるため、全摘すると、ワクチンが必要になる。
・マスタードガスから生まれた抗がん剤・アルキル化薬は細胞分裂を妨げることでがんの増殖を抑制するが、「細胞分裂の盛んな場所」に副作用を引き起こしやすい。
・毎日4000万人以上の患者が内服するコレステロール降下薬「スタチン」は、日本人農学博士・遠藤章が開発した。
・19世紀に、細菌が病気の原因になることが証明され、イギリスの外科医・ジョゼフ・リスターやによって「消毒」という概念が初めて提唱された。この時代に「麻酔」も生まれ、外科学上の革新的な技術によって手術で死亡するリスクは大きく減少した。
・1895年、ドイツの物理学者ヴィルヘルム・レントゲンが発見した「エックス線」は体内を可視化するという意味で革命的なものだった。
-
Posted by ブクログ
「医者に治療してもらったが良くならず、医者が信用できない」これはよくある話。しかしこれは、医者の問題であることは少なく、むしろ私たち患者の勘違いである場合が多い。
病気の症状は、複雑なメカニズムで起こるもの。なので医者は、最初から完璧な治療法を見抜くことは難しい。むしろ、やりながら治療の軌道修正する力が重要視される。これは医学会の常識だったりする。
著者の山本氏はこう語る。「今は情報が簡単に入手できる。なかには根拠のない怪しい治療を紹介してているものも。最も困るのは、医者を信じられなくなり、根拠のない治療を信じるあまり病院に来なくなる人がいること。医師は病院に来ない人を救うことはできない」
私たち患者側も「医者がどんなことを考えて医療行為をしているのか?」を知り、医師をうまく利用する力を身につけることも大切だと思う。
本書は、医師や病院をうまく利用するために必要な情報や知識を紹介している。
なぜ医師や病院によって出す薬が違うのか?要因は3つある。
1.知り得た情報に違いがある
最初に行った治療の結果で、最適な治療を判断できた。「後医は名医」という言葉がある。
2.時間経過による症状の変化
医師と患者で「病状の経時的変化の感覚の違い」がある。医師は患者よりはやく病状は変化するものと考えている。
数時間単位で状態が変わる病気は多い。なので、最初はその病気ではなかったが、後にその病気の症状が出てきたと考えるのが一般的。医師からすれば、それぞれのタイミングで適切に診療を行ったと考えている。
3.処方すべき薬の選択肢が複数ある
病気が特定できても、使う薬は複数ある。使用する薬が違うのは、どちらも効果が一緒(よく使っている薬を使う)や組み合わせが違う(症状により組み合わせる薬が異なる)などある。
がんについて知っておくべきこと
がんになったらどんな治療を選べばいい?
「標準治療」が最も勝率が高い。現時点で考えられる最も有効な治療。それが臓器を切除するものでも、世の中で広く推奨されている治療法になる。
例え後に治療の効果がなかったとしても、「あの時、最善の選択をしたのだ」と思える。
治療後の管理が一番重要
手術は「予定通り」に行うもの。想定外のことが起こらない限り成功する。
治療は術後管理がとても重要。合併症に注意し、がんが再発していないか?を管理する。
がんは取り除いても、目に見えないがんが残る可能性がある。手術後は体力が回復するまで抗がん剤治療できない。それも含めて慎重に計画を立てる必要がある。
厳密にいうと「完治」とは、「治療をしなくていいこと」ではなく「普段の生活が送れるようになること」。定期的に検診や治療を継続しなければならない。病気とうまく付き合うことが大切。
自分が知ってよかったと思えることは、どんな病気もまずは普段からよくいくクリニックへ相談すること。病気は重篤であるほど、専門性が高い診療科の治療が必要になる。それを専門知識のない自分では判断できない。最も信頼できる検査と治療ができる病院を、クリニックの医師が判断してくれる。さらにクリニックから紹介状をもらい治療を受けることができ、自分で病院へ行くよりスムーズに治療へ移ることができる。これは、健康診断で精密検査が必要になった際も有効。クリニックの医師は地域の医療に詳しい場合が多い。治療費や効率を考えると、まずクリニックに相談したほうがよい。
自分は病院嫌いな所があり、辛くても自力で治すようにしていた。病院は待ち時間が長い、お金かかる、あれこれ良くわからないことを言われるなど。これからは、軽症なら自分で、薬が必要なら薬局の人に相談、辛ければクリニックへ行こうと思えるようになった。