ブルーノ・タウトのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
坂口安吾が『堕落論』だか『日本文化私観』だかで、「ブルーノ・タウトが私の出身地である新潟を世界で最も醜い街だとディスってきたんだけど」(意訳)と書いていたので、気になって呼んでみた1冊。
確かに、しっかりと新潟がこき下ろされておりました。
ただ、自分が良いと思ったものには言葉を尽くし賛辞を惜しまず、良くないと思ったものは徹底的に貶し倒すタウトの筆致は、ある意味読んでいて痛快だった。
その土地の気候風土に適合しており、その土地の文化に根ざし生まれた建築こそが永遠の美たりえるのだというタウトの美術観は、氏自身が機能性を追求するモダニズム建築家であったゆえなのだろうかと考えると興味深かった。
-
Posted by ブクログ
訳者あとがきに拠ると、筆者の論文二篇と日記抄二篇、合計四篇を和訳したものを纏めて1939年に刊行し、その時につけられた邦題が『日本美の再発見』らしい。日記は「飛騨から裏日本へ」と「冬の秋田」、論文は「日本建築の基礎」と「永遠なるもの---桂離宮」。
そののち、紙型が劣化したため改版するにあたり、あらたに「日本建築の世界的奇蹟」と「伊勢神宮」を加えたのが増補改訳版の中身。
「日本建築の基礎」は論文といいながら実際は講演のまとめであり、内容そのものが可也主観的かつ情感的で、お世辞にも学術的とは言い難い。講演なので細かい話や詳しい図表も一切なし。桂離宮を褒めちぎるのはよいが、どこがどう凄いのかとな -
Posted by ブクログ
著者は、ナチス政権下のドイツから、日本に亡命した建築家で合理性と美の一致を提唱した人。モダニズムの影響の下、伊勢神宮などシンプルな日本建築を称賛し、日光東照宮などは華美として批判。時代を超えた精神性や美意識をあますところなく述べ、日本の知識人の価値基準に大きな影響を与えた。本書の中ほどでは、著者が旅した日本の風景が日記として綴られ、当時はまだ珍しかった外国人が、日本をどのように旅していったのか、時にユーモラスや苦労話を交えながら、日本人のたたずまいのすばらしさを語る。古き良き日本は、日本人にとっても、既に遠い過去のもになってしまったようだけど、本書はまるでタイムカプセルのように、当時の光景が綴
-
Posted by ブクログ
ドイツの建築家、ブルーノ・タウトの目に映った日本の建築を、感じるままにまとめた評論。その確固たる価値観に裏付けられた賛否の言葉は痛快でもあり時に滑稽でもある。
けれど、当時の近代化に喘ぐ日本において、その毒された目ではない透き通った目で見られた日本の建築は新鮮で刺激に富んでいる。
日光東照宮をケチョンケチョンに否定して、伊勢神宮(しかも特に外宮)と桂離宮を讃える彼の目は本来、日本人自身が持っていなければいけないはずのもの。
日本の建築ーそれは漁村の貧しい民家であってもーには、日本人しか持っていない知恵と工夫と必要に裏付けされた「美」が間違いなくあるのだと教えてもらった。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
桂離宮をはじめ、伊勢神宮、飛騨白川の農家および秋田の民家などの美は、ドイツの建築家タウトによって「再発見」された。
彼は、ナチスを逃れて滞在した日本で、はからずもそれらの日本建築に「最大の単純の中の最大の芸術」の典型を見いだしたのであった。
日本建築に接して驚嘆し、それを通して日本文化の深奥に遊んだ魂の記録。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書