非認知能力、わけても実行機能が重要であり、これこそが自分自身をコントロールする源であるとの論が展開されています。また、実行機能だけでは十分ではなく、IQなどをはじめとする認知能力との両輪となってこそ、だとも。
野球やサッカーなどのスポーツにたとえるなら、チームをひとりの人間と見立てると、個々の選手の能力が認知能力、チームとしての戦略が実行機能という対比でしょうか、個人技の優れた選手だけ集めてもうまく戦えないといったことと似ている、、かな?(うまくたとえになっているかな?)
著者は実行機能にも感情の実行機能と思考の実行機能があり、これがアクセルとブレーキに対応しているとしていて、特に人間の成長過程、とりわけ十代なかばではそのバランスがうまくとれないこともあるが、それも若さゆえの行動力につながる、と説きます。
実行機能の鍛え方についても言及されていまして、子を持つ世代の方には気になるところかもしれませんが、どちらかというとマクロ的なものといいますか、根本的な生活習慣に関するものが多く、小手先の取り組みやちょっとしたコツ、というものではありません。また、大人になっても鍛えることはできるものの、取り組みに比して効果が少なく、鍛えるよりも自分がどのような場面でどういった行動をとるかを把握し改善すべき行動を回避するよう備えたほうがよいようですね。
こういった能力については現代の学校教育で育むのはなかなか難しいですね、どうしても知識=IQ・認知能力に偏ったカリキュラムですから。
本の構成としては豊富なエビデンスを紹介しながら実行機能に関する説明がおこなわれており、専門家でなくても読みやすい内容になっていると思います。
ただ本作のなかで紹介されているエビデンスを読む限りでは、著者のいう実行機能の”差”は、生育環境が異なる個人間や属する集団が異なる個人間の差であって、生育環境が類似している、あるいは同一集団に属している個人間における差を説明しているわけではないと考えられます。この点、留意のうえ本作を読み進める必要があると思います。なぜなら、読者の多くは自らが生活するうえで属する集団において抜きん出たいという想いを抱えているケースが多いはずだからです(とはいえ本作の内容が価値を失うものではありません)。