森口佑介のレビュー一覧
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自分をコントロールする力を非認知スキルや社会情緒的スキル、実行機能と呼ぶ。主に子どもの実行機能の発達について書かれている。
特にヒトにおいて発達している実行機能だが、これが高い人ほど社会的な成功や健康を手にしやすい。日本ではまだ実行機能への一般的な関心は低いが、世界ではマシュマロテストだけでなく様々な研究が進んでいる。そして青年期は実行機能の発達の大きな岐路であり、人生を大きく左右する。要因としては遺伝的なものもあるが環境的なものがより重要。
なお、大人の実行機能を鍛えるのは困難であり、実行機能が低下するような環境に備えたり誘惑を避けたりといった技術的なことが手段が必要。 -
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知能指数(IQ: Intelligence Quotient)と実行機能(EF: Executive Function)の比較で、実行機能はその人の経済力や健康状態を将来的に左右する重要な指標であることを丁寧に説明した好著だ.実行機能はIQに比べてあまり知られていない.IQは人生の中で変化しないが、実行機能はやり方を工夫すると向上する由.感情の実行機能と思考の実行機能があり、数多くの事例を紹介しているが、それぞれ参照文献を例示しているのは、研究者の常道だと感じた.実行機能に留意した教育が実際に始まっていることも紹介されており、この用語がポピュラーになることを期待している.
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ネタバレIQより大事かもしれない非認知スキル。
人生の成功を左右すると言われたら、つい気になってしまう。ここで語られているのは実行機能という自分をコントロールする力。従来のいわゆる頭の良さを示すIQなど認知的スキルに対して、将来の目標のために誘惑や困難に立ち向かい、打ち勝つ力を非認知スキルの実行機能として紹介している。いわば自制心か。
マシュマロテストなど心理学の有名な実験なども参照して、実行機能の説明、育ち方、その仕組み、育て方や大人になってからの鍛え方(鍛えられるのか)を、順番に説明している。教育関係者や育児にかかわる人は一度読んでみてもいいかも。 -
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2020.5 記。
日経書評欄に載っていたのでミーハーに読み始めた。
ざっくり、「ガマンする力」と「やり抜く力」(グリッド?)は表裏一体で、それらを総称して「実行機能」と心理学領域では呼んでいるらしい。
実行機能=「目標に向かって自分をコントロールする能力」。
面白く読んだのだが、読む前に想像していたセルフコントロール=要するにストイシズム、という予断は誤解だったっぽい。
有名なマシュマロテスト。小さい子の前にマシュマロ一つを置いて、しばらく我慢できたら二個あげる、と約束して一人にしておいて我慢できるか。
他の実験もチョコをガマンさせたりプレゼントを盗み見るのをガマンさせたり、なんか要 -
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やらなきゃいけないことをつい後回しにしてしまう自分のために読んだが、とても良かった。
本書では、非認知スキルの一つである「実行機能」について、発達の仕組みから重要性まで、初心者にも分かりやすく丁寧に書かれていた。
第4章は少し専門的で読みにくかったが、それ以外は教育的な側面から見ても興味深い話が多く、子育て世代にもぜひ読んでみてほしいと思った。
ただ一つ残念なのは、やらなきゃいけないことをやらないまま、いつの間にか本書を読み終えてしまっていたことだ。やや本末転倒な気もするが、やるべき事を後回しにしてでも読みたいくらい、本書は面白かった。 -
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2025.4.3
今まで女性脳、男性脳はあると信じていたけどそれは周りの環境が作っていた…?
参考文献が全部英語のもので、色んな論文を集めて日本語にしてわかりやすくまとめてくれたんだなと思った。
色んな研究もあって面白かった。
・身体的な攻撃性は男性に高い。(犯罪者も男性が多い)
・意図的な仲間関係にダメージを与えるような攻撃は女性の方が強い。
・親の関わり方やジェンダーに対する考え方が子どもの攻撃性の性差を促進している。攻撃性すら親の関わりが作り出している可能性がある。
・親、教師、メディアなど周りの大人の信念が気がつかないうちに子供に伝わり子供自身が苦手科目や得意科目を作ってしまう。得意 -
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表題の通り、一部科学的に若干の性差がある側面もあるけど、基本的には性差は生まれつきあるわけではなくて、大人が無意識に植え付けてしまっている可能性があるという内容。
お腹の中の赤ちゃんがお腹を蹴った時に「蹴った〜男の子かな??」とか、男の子が転んだ時に「泣かないの!男の子でしょ??」とかいう言葉が出てくるのって、絶対悪気なくナチュラルに出てきてしまうものだと思うけど、そういうところを少しずつ意識して変えていかない限り、性差による偏見や不平等のスパイラルからは抜け出せないんだな、と思った。
子供に対して、性差の認識を植え付けてしまうような表現をしないためにも、個々人の興味関心とか個性に目を向け -
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<目次>
はじめに
第1章 実行機能とは?
第2章 自分をコントロールすることの重要性
第3章 実行機能の育ち方
第4章 自分をコントロールする仕組み
第5章 岐路となる青年期
第6章 実行機能の育て方
第7章 実行機能の鍛え方
第8章 非認知スキルを見つめて
<内容>
「実行機能」=「目標を達成するために、自分の欲求や考えをコントロールする能力」。心理学で有名な「マシュマロテスト」などで確認することができる(が、このテストも含めて「再認性」が難しく、必ずしも正答ではないらしい)。
ストレートに説いてくれるので分かりやすい本である。が、「だからどうなの?」という気もする。 -
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非認知能力、わけても実行機能が重要であり、これこそが自分自身をコントロールする源であるとの論が展開されています。また、実行機能だけでは十分ではなく、IQなどをはじめとする認知能力との両輪となってこそ、だとも。
野球やサッカーなどのスポーツにたとえるなら、チームをひとりの人間と見立てると、個々の選手の能力が認知能力、チームとしての戦略が実行機能という対比でしょうか、個人技の優れた選手だけ集めてもうまく戦えないといったことと似ている、、かな?(うまくたとえになっているかな?)
著者は実行機能にも感情の実行機能と思考の実行機能があり、これがアクセルとブレーキに対応しているとしていて、特に人間の成長過