上原直子のレビュー一覧

  • 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     社会神経学者の著者は、人間が「データや論理」ではなく、「感情・欲望・既に持っている信念」によって意思決定や動機付けを行っていることを論証する。
     人に影響を与え、行動を促すには、脳の仕組みに逆らうのではなく、脳の認知特性に沿ったアプローチをとるべきだ。そのためには、他者の考えを変えたいときは、「自分が伝えたい事実(何が正しいか)」を出発点にするのではなく、「相手の脳がどのように情報を受け入れ、動かされるか」を出発点にすることが不可欠である

    ■「先入観」の罠(確証バイアス)
     ・内容:自分の信念に反する事実を示されると、人はそれを否定するための反論を考え出し、かえって元の意見を強固にしてしまう(ブーメラン効果)
     ・対策:相手の既存の意見を直接否定して論破しようとするのではなく、双方が合意できる共通のゴール(共通の基盤)を見つけ、そこに新しい視点を結びつける

    ■「感情」の同期(感情の伝播)
     ・内容:人の行動を強く動かすのは感情(共感)。話者の感情は他者の脳へと同期し、伝播する
     ・対策:事実の羅列(数字やデータ)で説得するのではなく、感情に訴えかけるストーリーやビジュアルを活用する

    ■「報酬」と「恐怖」の使い分け
     ・内容:「~すると良いことがある(報酬)」はすぐの行動を促し、「~しないと危険だ(恐怖/脅迫)」は行動のフリーズ(停止・警戒)を引き起こす
     ・対策:人に行動を起こさせたい時は、恐怖で脅す(「タバコを吸うとがんになる」)のではなく、前向きなインセンティブや即時の報酬(「禁煙すると肌や健康にすぐ良い影響が出る」)を提示する

    ■「主体性(コントロール感)」の保障
     ・内容:人は誰かにコントロールされたり命令されたりすると強い抵抗感を抱き、自分の選択肢を守ろうとする
     ・対策:一方的な命令ではなく、相手に「選択肢」を与えて自ら選ばせることで、主体性と納得感を持たせる

    ■「好奇心」の喚起
     ・内容:人は「自分には知らされていない情報がある(情報ギャップ)」と感じると、それを埋めたいという強い欲求(好奇心)を抱く
     ・対策:知識を押し付けるのではなく、問いを投げかけて相手の中に「知りたい」という空白を作る

    ■「状態(ストレスと安全感)」の影響
     ・内容:人は高ストレス下では脅威に対し敏感になり、過度に保守的になる。安心・安全を感じている時ほど、新しい情報や変化を受け入れやすくなる
     ・対策:重要な提案や交渉を行う際は、まず相手に安心感とリラックスできる環境を与える

    ■「社会的学習(他者の存在)」の力
     ・内容:人は他人の行動や選択に強く影響を受ける(社会的証明)。特に他者が「自分と似ている」と感じる場合にその影響は大きくなる
     ・対策:「多くの人が正しく行っている」という周囲の肯定的な行動(ソーシャル・プルーフ)を示すことで、自然な行動変化を促す

    *********************************
    8
    多くの人が「こうすれば他人の考えや行動を変えることができる」と信じている方法が、実は間違っていた

    20
    データが人の意見を変える役に立つとは限らない

    21
    人間がどんなにデータ好きであろうと、脳がそのデータを評価して判断を下すときに用いている価値基準は、私たちの多くが脳はこれを使っているに違いないと信じている価値基準とまったく別物だ。情報や論理を優先したアプローチは、意欲、恐怖、希望、欲望など、私たち日本減の中核にあるものを蔑ろにしている。

    23
    自分がもっていた世界観に合う情報を得たときだけ、人々は意見を変えた。

    24
    新しいデータを提供すると、相手は自分の先入観(「事前の信念」と呼ばれる)を裏づける証拠なら即座に受入、反対の証拠は冷ややかな目で評価する。私たちはしょっちゅう相反する情報にさらされているため、この傾向は両極化の状況を生み出し、それは時を経て情報が増えるたびに広がっていく。
     実のところ、自分の意見を否定するような情報を提供されると、私たちはまったく新しい反論を思いつき、さらに頑なになることもある。これを「ブーメラン効果」という。

    27
    矛盾しているようだが、豊富な情報が得られるようになると、人は自分の意見にもっと固執するようになる。なぜなら、自分の考えを裏づけるデータを簡単に見つけ出せるからだ。(……)だがこれは問題の半分にすぎない――もう半分は、水面下で情報の「いいとこ取り」が行われていることに、私たちが気づかないでいる点だ。

    30
    自分の意見を裏づけるデータばかり求めてしまう傾向は、「確証バイアス」と呼ばれている。

    37
    人間は社会的影響を非常に受けやすい。私たちはほぼ無意識のうちに流行を追い、他人をまねる(……)その一方で、いったん決断したり意志を固めたりすると、違う考え方を取り入れるのは難しい。事前の決断や信念の前では、社会的影響も役に立たないのかもしれない

    39
    ある信念や活動にすでに傾倒している場合、それが間違いだと示す証拠は無視されがちである

    44
    変化をうまく導くには、ゆえに共通の動機を見出せばいい。(……)次に必要なのはメッセージが伝わるよう感情に働きかけることだ。

    49
    力強い演説は人々の関心をとらえただけではなく(……)、各個人の性格や過去の経験を問わず、似通った反応を導き出した。(……)演説が引き起こした広範囲の神経活動をMRIで調べると、まったく違う二人の脳がそっくりに機能しているのがわかる

    51
    すべての脳は感情を誘発する刺激に対して概ね同じような反応をするよう、前もってプログラムされているのだ。

    52
    感情は、無意識のうちに全員の注意を同じ方向に向けさせ、似たような心理状態をもたらしながら、脳の同期を助長する。このようにして、人々は似通った行動や世界観に駆り立てられるのだ。

    59
    感情の伝達はどのような仕組みになっているのだろう?(……)そこには主に二つの経路がある。一つ目は無意識の模倣によるものだ。(……)二つ目の経路は、模倣ではなく単に感情が刺激されたことに対する反応である。

    67
    アイデアを伝える最も効果的な方法の一つは、気持ちを共有することだ。

    74
    ・行動を導くことに関して言えば、即時の報酬は、将来の罰よりも有効なことが多い。

    76
    私たちは自分のプラスになると信じる人間、もの、出来事に接近し、マイナスになると信じる人間、もの、出来事を回避する。(……)人間は快楽へ向かって進み、苦痛から遠ざかるのだ。

    79
    報酬を予測すると、人間の脳は接近を促すのみならず、行動を起こしやすくなるよう設計されている。反対に、喪失への不安は、何もしない状態を引き起こすことが多い。

    81
    人間の脳が「前向きな」行為を、「避けるべき害」ではなく「ご褒美」と結びつけているのは、それが最も有用な反応であることが多いからだ。(……)何か素敵なものが得られそうな可能性に直面したとき、私たちの脳は一連の生物学的事象を引き起こし、それによって素早い行動が促進される。これは脳の「ゴー反応」と呼ばれ、脳深部の中脳から送られたゴー信号が、脳のほぼ中央にある線条体へと伝わり、最終的には行動反応をコントロールする前頭葉の領域へ到達する。
     一方、何か悪いことを予測したとき、私たちは直感的にあとずさりする。脳が「ノー・ゴー反応」を引き起こすからだ。ノー・ゴー反応も、中脳の深部から線条体へと伝わり、前頭葉へ送られる。ゴー信号と違うのは、ノー・ゴー信号が反応を抑止する点である。その結果、人は悪いことよりも良いことを予測したときの方が、行動を起こす可能性が高くなる

    86
    ご褒美を約束するよりも、報いを受けるかもしれないと警告する方が有効だということだ。事実、差し迫った脅威は私たちを凍りつかせる。

    96
    人間の脳は悲惨な状態をイメージし、不吉な予感を共有しようとする。でもこれは間違ったやり方なのかもしれない。私たちは意識して本能に打ち勝ち、事態を好転させるために必要なことを強調すべきなのだ。

    105
    「コントロールすること」と「影響を与えること」は密接に関連している。誰かの信念唖行動に変化を与えるとき、あなたはある程度その人をコントロールしている。逆に影響を及ぼされるとき、あなたは相手のコントロールを許している。だから「人間」と「コントロール」の繊細な関係を理解することは、「影響力」を理解するための基礎となる。

    108
    他人の行動を変えたければ、コントロール感を与えるべきだ。主体性を奪われたら、人は怒り、失望し、抵抗するだろう。社会に影響を与えることができるという感覚が、意欲や順守率を高めるのだ。(……)選択肢を与えられたら、たとえそれが仮定の話でも、コントロール感は増大し、それによって人々の意欲は高まるのだ。

    110
    複雑で骨の折れる問題に遭遇したら、決断を望まないこともある。たとえば、選択肢を与えすぎると、人は圧倒されて何も選べなくなる。

    117
    人は決断を押しつけられるよりも、それを他人に委ねることを選ぶ権限をもちたいと望んでいる。

    121
    公私それぞれにおいて人々の生活を向上させるためには、コントロール感の増大を図るのが効率の良い方法なのだ。

    125
    人々に責任や選択肢を与えるだけでは十分ではないかもしれない(……)。つまり、その人が自分でコントロールしているということを、折に触れて思い出させてあげなくてはならない。(……)他人に何かを重視させたいときは、自分が関与したと感じさせることが必要なのだ。

    132
    相手がどうしたら聞きたい気持ちになるかを考え直し、それに応じてメッセージを再構成することが必要

    136
    知らないことを指摘されたら、知りたくなる

    140-1
    情報が気持ちに影響を及ぼすことや、情報を利用して感情の調整ができることを、身をもって知っている。結果として人は選択的になり、心地よい信念を形成してくれる情報で心を満たし、不快な考えをもたらす情報を避けようとする。

    149
    他のすべての条件が同じなら、人は気分を害するネガティブな知らせを無視し、気分を良くするポジティブな知らせを求める傾向にある

    153
    その情報が相手の知識のギャップを満たせそうなら、そのギャップを強調すればいい。また、相手の世界をより良くするのに役立ちそうなら、その方法をわかりやすく示せばいい。そして最終的には、あなたの発した情報が恐怖ではなく希望を導き出すよう、メッセージを再構成することだ。

    156
    ただし一つ重要なことがある。私たちは、目の前にいる人の心の状態を考慮しなくてはならない。なぜなら(……)ストレスと脅威にさらされている場合、脳が情報を処理するやり方は劇的に変わってくるからだ。

    161
    ストレスが忍び寄ってくるのを感じるたび、(……)考え方、決断の仕方、ふるまい方が一瞬のうちに変わってしまうほか、周囲からの影響の受け方まで変わってくる

    163
    ストレス下ではリラックスしているときよりもずっと、ネガティブな情報(……)を取り入れる傾向が強い

    165
    ストレスを受けると、私たちは危険感知に固執するようになり、うまくいかない可能性に目を向ける。それによって極度に悲観的な見解が生まれ、結果として過度に保守的になってしまう。

    170
    いったん脅威を感じると人は否定的な面に着目するようになり、起こり得る問題ばかり考える傾向がある。その結果、リスクを冒すことのほうが実際は優れたアプローチである場合でさえ、無難な行動をとる決断を下してしまう

    174
    私たちは自分の心の状態を意識的に変えて、本能的なパターンを打開することができる。

    188
    自分は人とは違うと考えたいのに、すぐに周囲の人々の意見や好みを取り入れてしまう

    189
    望ましい行動を示すだけで、周囲の人々にポジティブな影響を与えることができる

    192
    他者の選択を認識すると、ものの価値を伝えるのに重要な脳の領域では、選択されたオプションの有用性が自動的に記憶に取り込まれる。そして、いざ自分が選択するときになると、価値を伝える信号を無意識に呼び出して、それを利用して決断する

    199
    扁桃体が他人の意見に強力な反応を示すと、生物学的反応が引き起こされて、前頭葉がのちに誤った思い込みを正すことができなくなる

    201
    周囲はあなたが選択したものだけでなく、選択の末にあなたが経験した結果を観察しているのだ。だからこそ、良い行いには報酬を、悪い行いには罰を与える行為が、広範囲にわたって浸透している

    207
    集団の中にあっても、たった一つの異なる意見が存在すれば、他人に自主的な行動を取らせることができる

    228
    多数意見に依存しすぎると、最適ではない選択、おかしな信念、好機の逸失につながっていく。(……)それでも多数派にしたがってしまうのが、人間の本能だ。このとき意思決定に使われるのが「ヒューリスティック」という方法で、洲早s区単純でちょかん的なこの方法は「思考の近道」とも呼ばれる。

    239
    欲望、意志、恐れは、現代を生きる私たちをも方向づけているし、他人の心に影響を与えるときの生物学的な基本原理は、いまでも色濃く残っている。

    247
    相手の行動を変えるには、その人の神経細胞の発火パターンを変化させる必要がある

    249
    脳は心を作り出しているから、脳に変化が起これば心にも変化が生じるだろう。

    249
    すべての思考は、本質的には脳内における電気的・科学的信号である。それらの信号を記録し、伝達し、解析することが可能ならば、その技術を用いて他人の思考に影響を及ぼすことも、原理としては可能と言えるのではないか

    0
    2026年10月19日
  • 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学

    Posted by ブクログ

    自分の仕事の関係で、健康に影響する生活習慣について、わかっているけど直せない、という人と接する機会が多い。本書は、健康に関する事象に限定したものではないが、大変参考になる研究結果などを色々な視点から説明してくれていて、勉強になった。難解な研究仮説や結果の解釈についても、具体的な事例を挙げて説明してくれていたので、とてもわかりやすかった。

    0
    2026年09月25日
  • 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学

    Posted by ブクログ

    説得の鍵は「共感」。勉強のために再読したい

    The Influential Mind が原題。直訳すると「影響される心」。読後、しっくり来る題だと思った。邦題の「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」は意訳にしても手ぬるく感じる。ちょっと古くないか。それはさておき、本の内容は非常に面白い。人間は自分で思っている以上に共感を重視して生きている。目の前に数字や事実を突きつけられても、案外と心を動かさない。脳がそういう構造になっている。人を説得するのは共感が鍵である。「皮肉な話だが、人間はより正確な結論を導き出すためではなく、都合の悪いデータに誤りを見つけるために知性を使っているのではないだろうか。だからこそ、誰かと議論するときに、相手に不利で自分に有利な事実や数字を突き付けたくなる衝動は、最適なアプローチではないかもしれない」 こう指摘するくだりには、肯かずにはいられなかった。議論が建設的な方向に向かわず反論のための反論が繰り返されるのは、まさに人間らしい行為の表れなのだな。我が身を振り返る。子供が妻に叱られている。でも、もう大きいので、聞いてもいない。ははあ妻に対して共感していないのだなと思う。妻はブチ切れている。想像する。私が妻にこう言ってみるところを。「あんた、人間は共感が大事なんだよ。ただ叱るんじゃなくて、この本を読んでみたら」と。でも、こんどは妻がこちらの言うことを聞かないだろう。言葉が耳に入ったとしても、従うことはない。日頃から共感してくれていないのは、まさに私に対する妻の姿勢である。かくして、反省するのは私だと気づかされる。本書を再読して勉強を深めたい。

    0
    2026年03月29日
  • 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    豊富な情報が得られると自分の意見にもっと固執するようになる。
    報酬は行動を促し、喪失への不安は何もしない状態を引き出す。
    他人の行動を変えたければコントロール感を与るべき。
    レビューは初期で良いとその後も良くなる。
    他人の行動を見て影響されている。赤ちゃんは親が常に見ているiPhoneに興味を持つ。
    変化をもたらすのは1人の行動で十分。

    0
    2026年03月03日
  • 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学

    Posted by ブクログ

    人の意見が想像以上に、誰かの意見に影響を受けている物だと思いました。
    特定の誰かの意見を変えたいと思ったら、相当な労力とパッションが必要だと思いました。
    コスパ的に考えて、切り捨てて、別のガチャの方が良さそうと思いました。

    0
    2025年05月13日
  • 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学

    Posted by ブクログ

    「事前の信念」「感情」「インセンティブ」「主体性」「好奇心」「心の状態」「他人」という7つの視点から人がどう考えを変えて、もしくは変えないのかを解き明かす本。

    なんとなく人は見たいものだけ見る、とは分かっていたがそれを複数の視点から説明してくれる。
    また心理状態に依ってはその状態に合わせて情報を扱ってしまうという非合理さが何とも人間らしい。

    0
    2023年07月31日
  • 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学

    Posted by ブクログ

    人の意見を変えるのは難しく、それは、変えようとしている自分の力量不足というより、それが普通ということを知り、それを元に、どうしようかな!と考えさせてくれました。

    0
    2023年01月28日
  • 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学

    Posted by ブクログ

    人の脳は、正しいものを認識するための機能が備わっている訳では無いことに気付かされハッとしました。ビジネスにも応用できる内容です。

    0
    2023年01月21日
  • 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    話が長い
    なんの話かわからなくなるのは翻訳本で良くある話なので我慢

    知識としてはなるほどと頷ける話

    ・事前の信念 相手の信じていることを否定したり、自分の信じてることを押し付けるだけではダメ
    ・感情 感情は伝染しやすい
    ・インセンティブ 快楽で動く、恐怖では動かなくなる(変化させたくない時は恐怖が良い)
    ・主体性 自分でコントロールしてるという感覚が満足感に繋がる
    ・好奇心 知りたくない情報は目に入りにくい、心地よい情報ばかりを受け入れてしまう
    ・ストレス ストレスがあると正確に情報が判断できなくなる
    ・他人 人は真似る、他の人に流される

    0
    2022年02月06日
  • 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学

    Posted by ブクログ

    面白い。
    訳者の以下の文が、この本の良さを伝えている。
    「読み進めるうちになるほどと思うのは、著者シャーロットが率先して、それらのポイントを活用している点だ。簡単に言えば、読者は次第に影響されていく。事実なデータの羅列で読者の主体性を損なうのではなく、たとえば研究論文をストーリー仕立てにすることで、読み手はどんどん先を知りたくなる。著者自身の生き生きとした私生活のエピソードに惹きつけられて、いつのまにか感情が同期してしまう。随所に散りばめられたユーモアに頬も心も緩んでしまうから、著者の話を受け入れやすくなるし、自分にもできるかもとポジティブな気持ちが湧いてくる。」
    自分自身も他人も、取り扱いは適切に丁寧に行なって、最大のプラスの効果を狙っていこうと思わせてくれる本。
    なお。この訳者は芸術系の演劇学部出身。意外なキャリアも面白かった。

    0
    2021年12月04日
  • 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学

    Posted by ブクログ

    「自分は比較的賢くて正しいことを言う方だ」と思っている人ほど、事実を示されても意見を変えないし、逆に理論武装してより反論してくるようになる。結局は感情が先に来ていることを、人はもっと自覚したほうがいいのだろう。

    0
    2021年10月02日
  • 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学

    Posted by ブクログ

    事実はなぜ人の意見を変えられないのか?
    このなぜ?を実験の内容やストーリーでわかりやすく説明してくれている。
    そして、どのような条件であれば人は他人の意見を聴く気になり、行動しようとするのかも載っている。
    認知神経科学という切り口のためか、脳内の動きや進化心理学的な要素も多く、個人的には面白いと思った。
    日常生活でも使える技術が載っているので、興味のある方は是非読んでほしい。

     

    0
    2021年06月16日
  • 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学

    Posted by ブクログ

    今のところ、今年の自分のベストブック。医学的や科学的に根拠のあることでも信用できないと主張する人がたくさんいることを常日頃不思議に思っていた。そう考えてしまう脳の仕組みがあるようだ。この本を読んでなるほどと思った。

    0
    2021年06月16日
  • 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学

    Posted by ブクログ

    実のところ、今日の私たちは押し寄せる大量の情報を身に受けることで、かえって自分の考えを変えないようになってきている。マウスをクリックするだけで、自分が信じたい情報を裏づけるデータが簡単に手に入るからだ。むしろ、私たちの信念を形作っているのは欲求だ。だとすれば、意欲や感情を利用しない限り、相手も自分も考えを変えることはないだろ
    ハイライト (黄)位置No. 281新しいデータを提供すると、相手は自分の先入観(「事前の信念」と呼ばれる)を裏づける証拠なら即座に受け入れ、反対の証拠は冷ややかな目で評価する。私たちはしょっちゅう相反する情報にさらされているため、この傾向は両極化の状況を生み出し、それは時を経て情報が増えるたびに広がって
    ハイライト (黄)位置No. 285実のところ、自分の意見を否定するような情報を提供されると、私たちはまったく新しい反論を思いつき、さらに頑なになることもある。これを「ブーメラン効果」と
    ハイライト (黄)位置No. 379自分の意見を裏づけるデータばかり求めてしまう傾向
    ハイライト (黄)位置No. 379確証バイアス」と呼ばれて
    ハイライト (黄)位置No. 386分析能力
    ハイライト (黄)位置No. 386高い人の方が、そうでない人よりも情報を積極的に歪めやすいことが判明しているの
    ハイライト (黄)位置No. 408認知能力が優れている人ほど、情報を合理化して都合の良いように解釈する能力も高くなり、ひいては自分の意見に合わせて巧みにデータを歪めて
    ハイライト (黄)位置No. 430新しい信念が形成されるとき、四つの要因が関与する。もともともっていた信念(事前の信念)、事前の信念に対する確信、新しい証拠、そして新しい証拠に対する確信で
    ハイライト (黄)位置No. 544もとの考えを根絶やしにするのが難しい
    ハイライト (黄)位置No. 544は、新しい種をまくのが正解なのかもしれ
    ハイライト (黄)位置No. 830た。  自分が何かしらの気持ちを抱いただけで、人々の感情を変えられるという事実を、心にとめておくべきだろう。同様
    ハイライト (黄)位置No. 831他人の感情が私たちの気持ちを変えることもある。私たちは常に相手と、そして周囲のすべての人々と互いに同期し合っているの
    ハイライト (黄)位置No. 940自然は人類を苦痛と快楽という、二人の主権者の支配のもとにおいてきた。われわれが何をしなければならないかということを指示し、またわれわれが何をするであろうかということを決定するのは、ただ苦痛と快楽だけである。……苦痛と快楽とは、われわれのするすべての
    ハイライト (黄)位置No. 943われわれの言うすべてのこと、われわれ
    ハイライト (黄)位置No. 943考えるすべてのことについて、われわれを支配して
    ハイライト (黄)位置No. 1333コントロールを失うというのは心を乱される感覚だ。  自分のいる環境をコントロールする能力が奪われてしまったら、たくさんの人がストレスや不安を感じる
    ハイライト (黄)位置No. 1351コントロールすること」と「影響を与えること」は密接に関連して
    ハイライト (黄)位置No. 1355他人に影響を与えるためには、コントロールしたいという衝動を押さえ込み、相手が主体性を必要としているのを理解することだ。人は自分の主体性が失われると思ったら抵抗するし、主体性が強まると考えたら、その経験を受け入れ報酬とみなすものだから
    ハイライト (黄)位置No. 1540自分の人生をコントロールしていると感じられる人は、より健康で幸せだ(
    ハイライト (黄)位置No. 1581コントロール感に必要なのは「感じること」なの
    ハイライト (黄)位置No. 1582命令するのではなく、「主体性」を大切にしながら相手を最終的なゴールへ導く方が
    ハイライト (黄)位置No. 1592イケア効果というのは、「自分が作ったものには、他人が作ったまったく同じものよりも価値を
    ハイライト (黄)位置No. 2295人間は怖じ気づくとリスクの高い
    ハイライト (黄)位置No. 2295を避け、無難な手段を選ぶ傾向があるから、チャンのような賭けに出ることはあまり

    0
    2021年05月15日
  • 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学

    Posted by ブクログ

    感情に訴えたり、ダメな部分を批判せずポジティブなところを評価すると相手を説得しやすいんだなぁ、とか、まあごく当たり前の結論に行くのだけど、そこに至るまでの論理のプロセスが非常に丁寧。難点を挙げるとすればタイトルだろうか。これはちょっとネガティブな印象があるし、「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」という問いの理由に直接的にこの本は答えてはいないんだよね。変えられないよ、と言ってはいるけど。The Influential Mindから直接とって、「影響される心」としてもよかったのではないか。ワクチン反対派にリスクを説明するよりも、ワクチン接種すると子供の命が守れますよ、と言うと説得される話とか、今大事な話だと思うんだけどねぇ。

    0
    2021年04月24日
  • 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学

    Posted by ブクログ

    人を動かすのは難しいが、行動心理を活用すればコントロールできる。この本は、子ども相手に有効な方法として、引き出しを増やしてくれた。

    ✨・ご褒美を期待すると前向きな行為が起こりやすい。すぐに分かる良い結果を強調すること。

    ✨・他人の行動を変えたければ、コントロール感を与えるべき。社会に影響できるという感覚が意欲を高める。選択肢を与えるだけでもコントロール感は増す

    0
    2025年12月15日
  • 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学

    Posted by ブクログ

    他人に動いてもらいたい(行動を促したい)ときは、ポジティブイメージで伝える。他人に止めてもらいたい(行動を抑制したい)ときは、ネガティブイメージで伝える。

    0
    2025年08月26日
  • 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学

    Posted by ブクログ

    取引で一番損をしているのは自分で銘柄を選ぶ人というワードに深く刺さってしまう。分かっていながら私は選択をする。私のお金だから私で選択したくて仕方ない。支配したい。たとえ損する可能性が高くてもやめられない。

    他の人の選択に自分が惑わされる話はなぜだろう協調性かなと思っていたけど前の人の方が自分の知り得ない情報を持っているかもしれないから選択に倣うというのは確かに生存戦略として正しかったのだろうな。事例を挙げつつ説明してくれるので腑に落ちやすくとても良かった。翻訳も良い。

    人に権限を与えると行動を促すことができるし、説得するには感情を同期したほうがいい。バイアスから逃れるには日をあけて繰り返し見直すと良い…

    文明の速度に体の進化がついていかないからバイアスが時にマイナスになることもある。それを頭に入れつつうまく自分をコントロールしていきたい。

    0
    2024年09月12日
  • 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学

    Posted by ブクログ

    Twitterで見かけたので読んでみた。人の意見に影響を及ぼす要素として、事前の信念、感情、インセンティブ、主体性、好奇心、心の状態、他人がある。これら「脳の働きを決定づける中心的要素」がそれぞれどのよう影響を与えるか明快な例えを用いて解説してくれる。

    なるほどと思うことや身に覚えのあることが多く書いてあった。車よりも飛行機のほうが怖いというのはわかる。飛行機の浮遊感が苦手なのだと思っていたが、それはコントロールできないからなのだろう。アンダーパスは楽しいまである。

    科学が発達して人間はどんどん賢くなっている気になっているけれど、脳は槍を持って野を駆け回っていた時代からあまり変化していない。論理的な思考で行動できることは存外少なく、感情が行動の大きな指針であることは変わっていないのだろうと感じた。そこの認識と実際のギャップが大きいゆえに本書の内容が意外に感じる気がする。

    本書を読むように外部から見ると人間は単純だと感じるが、他人ごとではないのだろう。その単純さは良くも悪くも利用されている。

    社会の中で人として生きていく以上、すべてを拒否して生きていくことは難しい。もし仙人のように霞を食って生きていければ可能かもしれないが。それでも人生のなかで大きな決断をするとき、本書を思い出したい。


    頭のいい人ほどデータを(意図せずとも)歪曲しやすいのは皮肉だなと思った。

    0
    2024年09月08日
  • 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学

    Posted by ブクログ

    事実で人の意見は変えられない。なぜなら、客観的なデータというものが出てきたのは最近のことで、脳はそれよりも古い価値基準で動いているからだ。相手の意見を変えようとして幾ら自分の意見を補強するデータを集めても無意味で、むしろ逆効果ということ。ならばどうすればいいかが実験結果とともに書かれており、とても興味深かった。脳の働きを知って、なかなか自分でも上手くコントロールできない脳を上手く使っていきたいと思う。

    0
    2024年01月21日