本田創造のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
アメリカ黒人の歴史を丁寧に描いていて、世界史の下地がない私でも非常に面白く興味深く読むことができた。
出来事の点と点を繋いで歴史の大きな流れを把握することが出来たところがよかった。
印象に残ったところ
・歴史は常に勝者・強者によって紡がれるものだという指摘に、確かに黒人の偉人はあまり歴史の教科書に登場しないなとハッとした。
・南北戦争で奴隷解放した後でも、資本主義の安い労働力として黒人が低い地位であった方が資本家にとって得であり、差別はなくならなかったという話になるほどなと思った。
・黒人が人権や参政権を得るまでの道のりの険しさを知り、今の自分があたりまえに政治に参加できることのありがたみを -
Posted by ブクログ
プロローグで1991年当時のアメリカ黒人の現状・定義を述べたあと、植民地時代の奴隷制度からこの本の発刊される1991年までのアメリカ黒人の苦難の歴史をたどる。
簡単にまとめるなら、数々の運動を通して政治・社会的な平等を手に入れたものの黒人一般の経済状態は悪化しており、そういった意味ではアメリカの黒人問題は解決しておらず、これから実証的・理論的な解明が望まれるがむしろ発展したアメリカ資本主義の構造的な問題だとみるべきだそうだ。
著者が締めくくりに引用したキング牧師の最後の著作『黒人の進む道』から。
「《ブラック・パワー》というスローガンよりも、《貧しい人々のためのパワー》というスローガンのほうが -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
合衆国総人口の約十二パーセント、三千万人以上を占める黒人たち。
人間としての、市民としての平等を求める彼らの闘いは、どのようなものであったのか。
合衆国独立前から南北戦争を経て公民権運動へ、さらに真の解放を目指す現在までの長い苦闘の歩みを歴史的発展とともにたどる。
旧版以後二十七年の変化を見据え、大幅に書き改めた。
[ 目次 ]
プロローグ アメリカ黒人とは
1 植民地時代の奴隷制度
2 独立革命
3 南部の綿花王国
4 奴隷制廃止運動
5 南北戦争
6 南部の再建と黒人差別制度
7 近代黒人解放運動
8 公民権闘争の開幕
9 黒人革命
10 アメリカ黒人の現在
[ POP -
Posted by ブクログ
ローマ時代の奴隷制度は理解できる。戦争に負けた国から賠償金として扱われ、資産として数えられたことは奴隷が働きに応じて自身を買い戻すことができたことからわかる。勝者の分が大きいが、計算が合うシステムだ。産業革命時代の奴隷制度もまぁ理解できる。およそ人としての扱いを受けなかったとしても、アフリカに持ち込んだ繊維製品、ラム酒の代金としてプランテーションの労働力のために集められた。人道的ではなかったが、経済的合理性があった。だが、公民権運動時代の黒人の扱われ方は全くもって理解できない。白人学校に入学した黒人少女の登校を阻止するために武器を持って学校に押しかけ暴動を起こし、広報活動のためバスで全国を回っ