西野智彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者は、時事通信〜TBSの記者とのことだけれど、期待通りの読みごたえ。これはおもしろいよ。西暦で生活しているので、”平成”でくくることにあまり意味はないと思っているけれど、日本の金融問題の歴史は、平成の歴史とほぼ重なるからね。平成元年末の株価最高値から、ひたすら危機の戦い。
尾上縫とか、東京協和信用組合とかコスモ信用組合とかなつかしい名前も出てくるけれど、なんといっても、ハイライトは、平成9年(1997年)。11月に三洋証券、拓銀、山一証券が終了。3連休に北の大地に行ったときの日経朝刊を思い出すよ。
どうやら11・26が勝負の1日で、ここでひと山越えたようだけれど、その後も、長銀、日債銀、 -
Posted by ブクログ
2013年1月安倍政権の復活(自民党政権の復活でもある)は、衆議院議員総選挙の公約として「2%のインフレ目標」と「無制限の金融緩和によるデフレ脱却」を掲げ、大勝した。
それから10年もの間公約実現のため、日銀と安倍政権(菅政権まで)の表面的なニュースの裏側の事情を時系列に客観的な記録として残す意図に記述された。
特に➀異次元緩和の誕生と変貌、②「リフレ派」と呼ばれる論者たちの勃興と退潮、③路線転換をめぐる水面下の攻防を主たるテーマとしている。
その政策の功罪は著者は「エピローグに代えて」でP233以下で述べている。
それをどう評価するか読者に委ねられている。 -
Posted by ブクログ
1970年代初頭のニクソンショックからスミソニアン体制を経て変動相場制となるまでの日銀の動きから見た金融政策。
日銀の独立が十分に担保されていなかった当時、政府、大蔵省の顔色を伺いながらの政策(公定歩合)決定や通貨が切り上がることへの本能的抵抗感から、通貨・金利両政策が後手に回ったことにより列島改造論からオイルショックに至る狂乱物価を抑えられず、スタグフレーションを発生させるに至った経緯が発言録等により明らかにされる。
諸外国の的を射た(ているようにみえる)適時の対応に比べ、我が国の特殊事情に勘案したり当局の内部事情に足を取られ、対応が遅れたり小出しになるというのはバブル崩壊時もそうだった -
Posted by ブクログ
ネタバレ本書の著者は「ドキュメント日銀漂流」という本も出版されている「西野智彦氏」です。
この方の前作の「ドキュメント日銀漂流」は、日本銀行の1995年の「松下総裁」から、2022年の「黒田総裁」までを扱っていましたが、今回の「ドキュメント通貨失政」は、1971年~1974年の「佐々木直」総裁時代を取り上げています。
この期間は、言わずと知れた「高度成長」真っただ中の、日本の黄金時代です。その中で中東戦争が起こり「石油危機」が招来します。
その転換期であったこの時の、政治と日銀の動きの舞台裏を、本書は実に迫真に迫る内容で描いています。
すでに当時から50年以上たっていますから、当時の関係者は鬼籍に入っ -
Posted by ブクログ
本書はさすがドキュメントと名打つだけあって、わかりやすく読みやすいてす。
1996年以降の、5人の日銀総裁のそれぞれの活動と日本経済の軌跡を追って紹介しているのですが、現在の黒田日銀の異次元緩和に至るまでの、金融政策の変転が詳細に紹介されていて、すこぶる興味深い読み物に仕上がっています。
まず松下総裁時代(1996~1998年)です。
1997年の北海道拓殖銀行破綻と山一證券の破綻は、小生はリアルタイムに経験していましたが、当時何が起きているのかは、会社が破綻したという表面しかわかりませんでした。
社長が記者会見で大泣きしながら「社員は悪くありません」と叫んでいたのを思い起こします。
本書では