あらすじ
世界的に例を見ない政策の舞台裏を徹底検証.黒田東彦日銀総裁の誕生秘話,「二並び」の背景,リフレ派の暗躍,知られざるドル危機の真実,唐突な政策修正の謎,YCC終結をめぐる攻防,初の学者総裁選出の経緯など.初めて開示される事実の数々から,当局者たちの思惑や動向,苦渋の決断に至る様が生々しく浮かび上がる.
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Posted by ブクログ
無機質な金融政策というテーマに対して、筆者の高度な取材力にもとづく、関係者の実名ありで展開される紆余曲折は、この10年に何があったのかを非常に手触り感のある形で読者に紹介してくれる良書。
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あらゆるツテを頼りに、渾身のルポを書き上げ、経済に疎い素人でも読めるように、かなり分かりやすく解説している。安倍政権の、人事権を掌握して官僚達を言いなりにさせる手法は、ここでも有効に行われたわけだ。日本人は今地獄からの出口を探っている状態にいるようだ。安倍一強を生み出した国民が、巨大な負債を背負っていかなければならないのだという思いを新たにした。
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多分、世の中の95%の人は、それほど楽しめない本だと思うが、、、
20年、円金利を生業にしている私にとっては「よくぞここまで!」とうなるくらいの、深い取材に基づくドキュメント
登場するすべての人を知っていて、あの時のこの発言の裏には、こんなやりとりがあったのかと、改めて確認できたり、、、
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これが経済小説だったらどんなに面白いエンターテインメントだったろう。しかし残念ながらこれはドキュメントだ。こんな無謀な社会実験に日本国民を巻き込んで、結果トヨタを始めとする輸出産業と、海外に生産子会社を持つグローバル企業、そしてインバウンドに関わるごく小さな業界を為替誘導で潤しただけ。おまけにトリクルダウンも起こらないから、アベや黒田が待ちに待ったインフレや円安が逆に多くの国民を困窮に追い込んでいる。これで実験成功という認識なら政治家、政策責任者として失格と言わざるを得ない。
この十年の異次元緩和で得た最大の成果は、デフレはインフレと違って貨幣現象ではなく、所詮は日銀が操作できるものではなかったという事実の発見だ。今後アベノミクスが残した負の遺産をどう解消していくのか、これも未曾有の社会実験といえる。
YCC は初めイールドカーブを『立てる』ことを意図していたことを初めて知った。それが程なくして『寝かせる』ことにすり替わったのも日銀とその裏にいる与党政治家の欺瞞体質をよく表している。結局パーティ券を大量に購入してくれる支援業界への利益誘導しか頭になかったと言うこと。とは言え、これが選挙で国民に支持された政策なのだから自業自得なのだが。
Posted by ブクログ
臨場感がすごいです。「へえ、こんなことがあったんだ。こういう話だったんだ。」と答え合わせができる感覚。もちろん、真実というより事実として。国の舵取りや金融政策の判断等、重い責任を背負って、よく頑張るなと思いました。テレビを通すと政治や行政は腐敗している印象を持たされてしまいますが、やっぱり頑張っているよね、と安心します。
壮大な実験がこれからも続きますが、「先進国」なんだから後続の国が参考とするような鮮やかな「成功」 となるよう期待しています。
Posted by ブクログ
うーんつらい。政治主導による経済運営によって異次元緩和、マイナス金利、YCCと自ら進んで金融実験のモルモットになってしまった我が国はどうなるんでしょうね、これから…
日銀総裁人事を巡る攻防とか面白エピもたくさん載ってるよ
Posted by ブクログ
第2次安倍政権は2012年12月26日に始まり、安倍元総理の体調不良による2020年9月16日の辞任まで、約8年間続いた。安倍政権の経済政策は「アベノミクス」と呼ばれた。それは、①異次元の金融緩和②機動的な財政政策③民間の成長戦略という、いわゆる「三本の矢」から成っていた。本書は、そのうちの、「異次元の金融緩和」を扱ったドキュメント、ノンフィクションである。「異次元の金融緩和」は、日銀総裁に黒田東彦氏が就任してから始まった。それは、2%のインフレターゲット・物価上昇目標を置き、その達成に向けて、日銀が、ほとんど無制限に国債やETFを購入し、国のマネーサプライを増やすこと、すなわち、貨幣の価値、円の価値を下げる(お金の価値を下げてモノの価値を上げることにより物価を上げる)ことを目標とした。それは、安倍元総理が辞任した後も、黒田総裁在任中は継続した。昨年、日銀総裁が、黒田氏から植田和男氏に交代したが、植田氏は「金融緩和は当面継続する」と言いつつ、出口を探っているように伺える。
異次元金融緩和を含めたアベノミクスについては評価が分かれる。大きく評価する人もいれば、そうでない人もいる。本書の筆者は、「評価するには時期尚早」「これからの日本経済の状況を見て判断すべき」との立場である。私自身は、「今のところ、成功したとは言えない」と思っている。
安倍政権下での平均経済成長率は1.1%、物価上昇率は1%に満たず、生産性の伸びは鈍化した。もともと、アベノミクスは、バブル崩壊後の日本経済の低迷、いわゆる「失われた20年」を取り戻すことを目的とした経済政策であったはずだ。しかし、その間の経済成長データ等をグローバルに比較すると、GDPはドイツに昨年抜かれ、平均年収では韓国に抜かれ、労働生産性はOECD38カ国中の29位と低迷している。すなわち、アベノミクスは日本経済の低迷を改善することが(少なくともグローバルな経済比較データから見る限り)出来なかったと言って良いと思う。
私自身が、以前から「ひっかかっている」ことは、異次元金融緩和のターゲットは2%の物価上昇だったのであるが、そのターゲット自体が意味があったのかということだ。ウクライナでの紛争等を受けて、昨年来、物価上昇が続いている。それは、ターゲットの2%を超えている。しかし、それで何が起きたのか、ということだ。物価上昇率に所得上昇率が追い付かず、実質国民所得はむしろ減っている状態が続いている。物価が上昇しても、良いことは、今のところ何も起こっていない。もちろん、今後の賃金上昇等を通じて、国民所得が物価上昇率を超えて増加していく可能性もあるが、それであれば、ターゲットは「実質国民所得の増加」であるべきであり、「2%の物価上昇」とすべきではなかったのではないかと思える。
更に、異次元金融緩和は、今後の副作用が非常に大きそうである。まずは国債の利払い。23年度末の日銀の保有国債残高は576兆円。今後、金利は上がるしかない局面にあるはずであるが、金利が上がれば上がるほど、日銀の含み損は増えていく。また、国家財政は完全に規律を失っている上に、国家財政の利払い費も増え、予算の柔軟性を奪うことも心配される。ビジネスの側面でも、銀行の貸出金利が1%に満たないような時に、企業は利益率1%の事業でも生きながらえることが出来る。そのような投資案件が多いと、当然ながら、経済成長は起きにくい。むしろ、これから金利が上がった時に破綻する、しかし、今は生きながらえているゾンビ企業を沢山つくったのではないかとも思う。
本書は、そのような経済的側面を解説するというよりも、例えば総裁人事・副総裁人事、あるいは、個々の政策がどのようなプロセスを経て決定していったのか、等の、物事の政治的側面を追ったドキュメントだ。それは生臭いと同時に、多くの妥協の産物であることが示されている。アベノミクス、異次元金融緩和を、そのような人間ドラマとして読むのも面白いものだと思った。
Posted by ブクログ
黒田さんが日銀総裁に就任する少し前から植田さんが総裁になった少し前までの期間のドキュメントです。
2年、2%、2倍というフレーズに決まった時のことや、イールドカードコントロール、YCC導入の経緯などが書かれていて、とても面白かったです。
結局、10年にわたる壮大な実験はあまり効果がなかったのかな、というのが私の感想です。
今の日本が物価上昇しているのは、ウクライナとロシアの戦争がきっかけだったように思います。
そう考えると、インフレは貨幣的な現象だから中央銀行の政策で克服できるけれども、デフレは貨幣的な現象ではなくて、社会構造的な現象なのではなかろうか、だから日銀が一生懸命頑張ってもデフレを克服できなかったのではないだろうか、と思いました。
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2013年1月安倍政権の復活(自民党政権の復活でもある)は、衆議院議員総選挙の公約として「2%のインフレ目標」と「無制限の金融緩和によるデフレ脱却」を掲げ、大勝した。
それから10年もの間公約実現のため、日銀と安倍政権(菅政権まで)の表面的なニュースの裏側の事情を時系列に客観的な記録として残す意図に記述された。
特に➀異次元緩和の誕生と変貌、②「リフレ派」と呼ばれる論者たちの勃興と退潮、③路線転換をめぐる水面下の攻防を主たるテーマとしている。
その政策の功罪は著者は「エピローグに代えて」でP233以下で述べている。
それをどう評価するか読者に委ねられている。
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2024年34冊目。満足度★★★★☆
世界でも稀に見る日本の金融政策がどの様な過程を経て、どの様な人物の思惑を踏まえて誕生し、実践されてきたのかを関係者へのインタビューなどを踏まえて、大変生々しく描いている
金融政策の話ゆえ多少専門的な内容にはなるが、これを新書というフォーマットでコンパクトかつ読みやすくまとめられており、読んで損がない一冊である
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本日(2024.03.19)、マイナス金利政策に終止符が打たれました。
「期待を変える」はずだった異次元緩和が、いつの間にか「期待が変わりにくいから効果が出ない」というストーリーに変わっていった(本書からの引用)。
タイトルから『難い』内容だと思われそうですが、日銀の異次元緩和の舞台裏を記録したもので、たいへん面白く、おすすめです
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『ドキュメント異次元緩和』。黒田日銀の果たした役割がよくわかる一冊。2013年に日銀総裁に就任した黒田東彦氏。2%のインフレ目標を掲げ、金融緩和を一貫して続けた。過去の常識を覆す大量の通貨供給で物価を押し上げ、日本経済を再生させようとした「異次元緩和」は安倍元首相の看板施策アベノミクスの原動力であり、稀有な金融実験でもあった。しかし、10年が経過しても目標には到達できず、異次元緩和はそのまま常態化した。現在の植田日銀の施策を見る上でも参考にしたい、そんな黒田日銀の足跡である。
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内田発言は、極めて重要なシグナルだった。いずれ来る異次元緩和の出口では、まず日銀当座預金に付利している金利水準を引き上げることで短期市場金利を底上げし、長期金利についても「二%水準に見合ったレベル」に誘導するため日銀のバランスシートを適宜圧縮していく、 と初めて示唆したからだ。
日銀にとっては、売出手形を出さなくても余剰資金を回収できる便利な仕組みであり、付利制度が持つ「自動吸収メカニズム」が働いた結果、当座預金だけが大きく膨らんだとも言える。 ただ、当座預金が二〇〇兆円を超えると、○・一%の付利は金融界に年間二〇〇〇億円程度の補助金”を与える計算になる。また、長期国債の買い入れについても、日銀は応札が予定額に達するまで「言い値」で買わざるを得ない仕組み(コンベンショナル方式)となっているため、 市場実勢を上回る「高値買い」が常態化していた。
最後に、若干の私見をお許しいただきたい。異次元緩和に対する、筆者なりの「暫定評価」 を述べようと思う。
円相場は、黒田就任時の一ドル=九四円台から下落し、一時一五一円まで振れたあと、退任時には一三六円となった。企業収益は一〇年間でほぼ倍増し、日経平均株価は一万二〇〇〇円台から三万円台まで回復した。失業率は二%台半ばに低下し、新規雇用者は四三〇万人ほど増えた。いずれも黒田が胸を張る戦果”である。
だが、その反面、日本経済の潜在成長率は○・八%から○・三%に低下し、一人当たりGDP はG7で最下位に沈む。名目GDPもドイツに抜かれ、世界第四位に転落する見通しだ。一人当たり労働生産性はOECD加盟三八ヵ国のうち二九位と低迷し、平均年収では韓国にも追い抜かれた。さらに円安と資源高、そして産業空洞化により貿易赤字が常態化した。
肝心の物価は原油高と円安の影響で一〇年目に急騰したが、頼みの賃上げが追い付かず、国民の多くは生活水準の低下に苦しんでいる。株高で潤った人もいるだろうが、全体として暮らしが楽になり国が豊かになったとは言い難い。
実はその前の一○年間と比較しても、大きな進展はみられない。
黒田時代のGDP成長率は平均〇・六%だが、その前の福井・白川の時代は○・七%と、ほとんど差がない。前半の五年は海外の好景気に救われ、後半の五年はリーマンショック、コロナウイルスという「外的ショック」に苦しめられた点も酷似している。
平均のインフレ率は、福井・白川時代がマイナス○・一%、黒田時代は消費税増税の影響を除けばプラス○・五%に回復したが、「ゼロ近傍」で推移してきた日本の物価トレンドが劇的に変化したとまでは言えない。少なくとも、インフレ目標を掲げて人々の期待に働きかけ、異次元レベルでマネーを増やせば物価が上がり、物価さえ上がれば経済が復活するという単純な話でなかったことだけははっきりした。
プリンストン大学教授の清滝信宏は、二三年五月の経済財政諮問会議で異次元緩和の問題点を次のように指摘した。
「長期的には生産性や総生産の成長が停滞することになる。量的・質的緩和が持続的成長につながらないのは、一%以下の金利でなければ採算が取れないような投資をいくらしても経済は成長しないことからも分かる。また、長期金利を低く抑える政策を長く続けると、国が一方的な投機にさらされ、国民負担が増えることになる」
一方、白川も同年三月、IMFの季刊誌に寄稿し、「壮大な金融実験だったが、インフレへの影響や経済成長への効果はささやかなものだった」「学者と中央銀行家たちは、現行の金融政策の枠組みとその支えとなる知的モデルについて深く内省すべき時だ」と批判的に論じた。
もっとも、黒田が就任した時点でコールレートはすでにゼロ%に貼り付いており、追加緩和といっても長期金利を○・六%引き下げたに過ぎない。異次元緩和と称しつつも、しょせんはその程度の金利引き下げ効果で総需要や期待インフレ率を一気に押し上げるなど最初から無理な相談だったのだ。
にもかかわらず、「期待への働きかけ」を強調するあまり、「期待を削ぐような発言」ができなくなり、やがて経済の実態を誠実に語ることが困難になる。現実との乖離や矛盾を批判された黒田は、「そういう見方は全く当たらない」「そういう議論は全く無意味だ」などと激しい言葉で記者に反論し、それがかえって日銀の信認と総裁の権威を傷つけた。
だが一方で、黒田緩和にはそれまでの常識を超える『薬効”もあった。まず、量的緩和を巧みに「演出」し、国際社会の批判を回避しながら「通貨安の誘導」に成功したことだ。
一二年暮れに始まった円安・ドル高は、そもそも同年夏の欧州債務危機の収束がきっかけだったとされている。だが、相場反転の理由が何であれ、その後の安倍の「無制限緩和」発言と黒田の異次元緩和が円安の流れを強力に後押ししたのは間違いない。
これにつれて日本株の買い戻しも本格化し、ETF買い増し効果も重なり株式市場は本格的な上昇局面を迎えた。リーマンショック後の閉塞感を吹き飛ばし、景況感を一気に改善させたのは紛れもない円安・株高の効果だった。
本来、日銀にとって為替や株価は管轄外であり、金融政策との関連も公式には認めていない。 だが、黒田が「デマケ」を標榜しつつも為替を意識していたのは明白で、ある財務事務次官0 Bは「異次元緩和は円安誘導が目的だった」とはっきり認めている。
だが、この成果もしょせん為替市場に精通した黒田だからこそできた“個人芸”のようなものだ。こうすれば必ず効くといった定石はなく、もし金融政策が為替安定に効くという誤解と幻想を広げたとすれば、これも「負の遺産」となりかねない。
第二に、異次元緩和が「政治経済的」に成功を収めたことも、薬効と呼べるかもしれない。
アベノミクスを掲げた安倍は国政選挙で連戦連勝し、未曽有の長期政権を手にした。黒田が史上最長の在任期間を得たのも、安倍の絶大な信任を得ていたからである。あれほど政治家に叩かれていた日銀自身も「穏やかな日々」を送ることができた。
ただ、この過程で政治家たちは大規模緩和の居心地の良さを知り、YCCを「打ち出の小槌」とみなす者まで現れた。超低金利が経済の隅々まで浸透した結果、ここからの脱出は各方面に激痛をもたらし、政治的な反発を招くのはまず避けられない。政治経済的な薬効は、いずれ「外圧」となって日銀に跳ね返ってくるだろう。
このように、異次元緩和は現時点で功罪さまざまだが、最終評価は、むしろこれからにかかっている。
複雑な政策スキームを混乱なく解きほぐし、副作用を抑えつつバランスシートを圧縮するには、気の遠くなるような時間と知恵が必要である。そして本文に記したように、出口に無事到達するには、累卵の危機にある財政の立て直しが必須条件だ。
こうしたハードルを越えるには、潜在成長率の引き上げに向けた構造改革と、血のにじむような財政健全化の努力が不可欠だが、最近の防衛増税や所得減税論議を見るにつけ、選挙一辺倒の政治家たちにそうした覚悟があるとはとても思えない。
また、財務省と日銀の間でも「繊細かつ戦略的な協調プログラム」が求められるが、それを企画実行できる人材がいるのか、実は心許ない。とにかく人材の流出が止まらないのだ。
金融正常化のプロセスは、植田体制の五年間だけでなく、さらに次、あるいはその次の代まで引き継がれるかもしれない。そしてその険しい取り組みを終え、すべての「政策コスト」が判明した時点で初めて異次元緩和の最終評価も定まることになる。それまでは、いかなる自己採点も、いわんや『勝利宣言”も無効である。
黒田は、二○二三年一一月掲載の「私の履歴書」(日本経済新聞)で、三重野、速水、福井ら日銀出身総裁の金融政策を批判し、自身の政策については「デフレを脱却して物価安定を実現するための有効な代案はあっただろうか。私なりに国益を追い、最善を尽くしてきたつもりだ」 (一一月二八日)などと正当化した。長年の激務には深い敬意を表するが、この段階での自己総括は、いかなる事情があるにせよ拙速にして失当と言わざるを得ない。
Posted by ブクログ
第一歩目から大惨事の結末しか予想されなかった安倍政権による日銀財布計画(モラルハザード)
2013年から2023年末までを詳細に追ったドキュメント。
読んでて止まらない(半日で一気に読みました)
臨場感っていうんですかね、そういうものもあってもっと星が多くてもいいのでは?とも自分でも思うんですが星3です。
というのも
10年間の安倍、黒田を中心とした「刹那主義政策」が詳細に書かれてて読んでて楽しいんですが、いかんせん「実はそうだったのか!」「あの失策にはこんな熟慮が!」「万分の1の不運で失敗した戦略だったのか!」「こんな自身の信条をかけたバトルが!」という驚きはあんまりなくて。勿論知らなかった内情といいますか、「政治」のお話はそれこそ至る所に散りばめられてはいるんですが、とはいえ大筋は2012年末から一般国民としてテレビや新聞の向こう側から眺めていたものの同じ。
無茶苦茶に見えた人達は実は無茶苦茶だった。
(安倍以外の登場人物はスーパー賢い人ではありますが)
意外性ゼロ。
でも密室のはずの会話が肉の体感を持って書かれてるのはいいですね。人ってとにかく喋りたがりですからね。
ふぅ。
本の内容からはぜんっぜん離れますが、2012年12月から今まで、私はとにかく人生というか、資産運用を大失敗してしまった。
第二次安倍政権発足、黒田新総裁就任。
長国のみならずETFにREITの購入。
当時の私は「モラルハザード!」「アベノミクスなんてのは嘘っぱち!必ず短期間でボロが出る!」と上司や同僚と話していました。
但し「そうだよなー」と同意していた私の上司は2013年1月に日経平均投信をキャッシュ1億超購入、相続がらみで出た都内高級住宅地広めの土地を即決購入。
「ほんとですよねー」と同意していた同僚先輩後輩達は元麻布、六本木、青山、欅町、代官山と港区限定で続々と区分マンション購入。
私の部下の若い女性に至っては
「今◯◯駅から徒歩5分の土地が出たんで買いました。これからマンション一棟建てます。」
私は内心「揺り戻しが来た時に耐えられるの?」と思っていたが現在の彼らの資産合計は数十億。
(元々実家も極太なのに)
彼らは安倍と黒田がキチガ◯じみた政策で日本を日本円を壊しに来てるのを察知するとともに、「バカでも儲かる状況を作ってくれたから利用するしかない」と2013年を中心に一気に動いていた。
私も彼らと全くの反対意見(日本崩壊シナリオ)ならばせめて米インデックスを借金してでも買っておけば良かった話なんですが何もせず。
悲しい。しくしく。
頭が悪いと不幸が近寄ってくるの。
よく言われるように安倍黒田の10年は、お金持ちをよりお金持ちに、貧乏をより貧乏にした10年だったなぁと思い返しながら読めました。
(とはいえ貧乏から脱出するチャンスがあったにも関わらず何もしなかった私が悪いんですけどね)
そんな逆恨みをこめて星3