木村彩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ただ登るだけでなく、そろそろ少しずつトレーニングもとりいれてみようかな、と思っているクライマー(特にボルダラー)にオススメ。
ビースト…などという恐ろしげな書名ですが、内容はいたって平易かつ常識的で、保持力を中心としたトレーニングのあれこれについて解説してくれています。ついでに心構えなども。
(ちなみに、ハングボードのBeastmakerとも関係ない内容が大半なので、ご注意を。)
トレーニングについては多くのクライマーが情報発信していますが、この本は「保持力こそが最重要」という観点から書かれてるところが最大の特徴だと思います。
文章量は多くなく、新書より楽にサクッと読めますし、カッコいい写真もたくさん載ってるので、テンションがあがります。
クライマーズ・バイブルのような怒涛の情報量だと消化不良を起こしそうですが、本当に無理なくサラサラ読めるので、はじめの一冊に良いです…入門書っぽくない価格なのは翻訳書なので仕方ないかな?
オマケの有名クライマーたちへのインタビューもかなり面白いです。 -
Posted by ブクログ
著者の語りがとても好みで一気に読んでしまいました。
吹奏楽部に入ってコントラバスが好きになって10年ほど、レコーディングを仕事にして4年が過ぎました。
周りの同世代よりは色んな楽器や音楽に触れていると思っていましたが、知らないことばかりですね。
知らない楽器の話しも、今まで知っていた以上の楽器の歴史も、分かりやすく、そしてそれぞれの楽器や音楽への愛のある語り口、読んでいて勉強になったし、楽しい本でした。
ホールの音響についての章もとても興味深かったですね。
高校ぐらいから、色んな視点からホールに関わってきましたが、さらに少し詳しくなれた気がします。
当たり前ですけど、様々な職人技が詰まっているんですね………
自分が働いている、一番馴染みのあるスタジオの音を生み出している職人技についても、もっと勉強しなくてはいけないなと思いました……… -
Posted by ブクログ
いずれこの本が絶版になれば、間違いなく価値を見出だす人が多く現れる本になると思います。
クライマーなら一冊は持っておくべきで、今後何度読み返すか分からない。
そう思うのは私がクライマーの中でも筆者と同じボルダリングを中心に楽しんでいるからだろうか。
本書はトレーニング方法を紹介しているだけではなく、歴史や計画、精神論と取り扱いが広くモチベーションに繋がる内容です。
トレーニングもあくまでトレーニングであり、指の力だけを鍛えることが考えられており、今までになかった発想に驚きました。
それと誰かに委ねることなく、自分自身を理解し、自分自身を信じて続けろという考え方も共感できました。
読書の合間にまたこの本が読めたらと思います。 -
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フランソワ・デュボワ(Francois Du Bois)
1962年、フランス生まれ。94年にレジオン・ヴィオレット金章音楽部門を史上最年少で受章するなど、世界的なマリンバソリスト、作曲家として活躍中。楽器史上初の完全教本『4本マレットのマリンバ』(全3巻/IMD出版)を刊行するなど、卓越した表現力で、作曲、執筆などを通じてマリンバソリストの地位を向上することに大きく貢献。慶應義塾大学で作曲法を指導しはじめたことをきっかけに在日21年目。本書読者のために新譜『Gunung Kawi』を特別公開(ハイレゾ対応)。
じつは、単に音符を書き込んだだけでは、その人の頭の中にある音楽を正確に再現して記したことにはなりません。その理由は、個々の音符が示しているものが、その音の 相対的な 高さと長さだけだからです。 相対的な音の高さと長さ──これが、音符が示しているものの本質です。
すでにお気づきのとおり、音楽は、規則に縛られた特殊な芸術です。 絵画や彫刻などの他の芸術分野に比べ、やたらに制約やルールが多く、その点からも、数学の一種といっていいものです。あるエンジニアの友人から、「数学者は音楽に数学を見出し、音楽家は数学に音楽を見出す」という面白い表現を耳にしたことがありますが、まさにそのとおりでしょう。 実際に、数学的素養をもつ理系人から音楽家になった人は少なくありません。私の先輩世代でいえば、ルーマニア生まれのギリシャ人でフランスで音楽活動をおこなったヤニス・クセナキスや、指揮者としても活躍したピエール・ブレーズら多くの作曲家たちが、建築学や数学を修めています。
さて、対位法を駆使した代表的な作曲家といえば、J・S・バッハでしょう。先に、平均律の名前の由来としても登場した、あのバッハです。 彼による徹底的な音の研究のおかげで、対位法の可能性は極められたといって過言ではありません。バッハの生涯の仕事の集大成として没後に出版された『フーガの技法』は、彼の偉大さを体現する究極の作品集ですが、この「フーガ」こそ、対位法のなかで最も優れた構造とされていました。 この作品の中から、「二声のインヴェンション第4番」を選んで、通常のスピードよりもはるかにゆっくりと演奏した音源を特設サイトに用意しましたので、ぜひ聴いてみてください。
美の基準に絶対的なものなどありそうにないのに、和音についてはなぜ、美しい/醜いと呼び分けるのか。ちょっとふしぎな感じがしませんか。
また、不協和音を駆使することで、独特のかっこよさやミステリアスさを創り出すことに成功している音楽家もいます。その代表格が、ジャズピアノの巨匠、セロニアス・モンクです。 彼の曲には、典型的な不協和音である「ド・ファ#・ラ♭・レ♭」などが登場します。 旋律に対する美醜の意識がさまざまに異なることは、世界各国の民族音楽を聴き比べると、さらに一目(一耳?)瞭然ですね。アフリカ、インド、タイ、インドネシア、日本、沖縄、アラブ諸国、世界各地のどの和音にも独特の存在感があり、それぞれの美しさを発揮しています。
「さくらさくら」「うさぎ」「うれしいひなまつり」などは、ほとんどの人が歌えるのではないかと思います。これらの曲には、日本ならではの音楽の伝統に基づいた「耳に残りやすい音の構成」がなされているのですが、ご存じでしょうか? それは、「ヨナ抜き短音階」という音階が用いられていることです。「ヨナ」というのは、明治時代に「ドレミファソラシ」のことを「ヒフミヨイムナ」と、1~7を意味する和名でよんでいたことに由来します。 じつは、現代のポップスにもヨナ抜き短音階を使っている楽曲があり、松任谷由実の「春よ、来い」がそうです。どこか懐かしい郷愁をそそるあのメロディには、日本人が幼少期から慣れ親しんでいる童謡と同じ響きが含まれているわけです。
作曲家の選択による最良の音(楽器)の組み合わせに、演奏家による精度の高い再現(演奏)が加われば、定量的な美しさを生み出しうる。音楽は科学的な芸術なのです。
繰り返し述べているとおり、作曲は数学です。 和音Aは和音Bとは相性が悪いけど、和音Cとは共通する響きがあって相性が良い、というような決まりごとがたくさんあることで、音楽の美しさは作られています。
倍音は、それこそ数学的な性質をもったもので、1636年に、メルセンヌ素数で有名なフランス人数学者、マラン・メルセンヌ(1588~1648)によって発見されました。前述のとおり、音の本質は空気の振動であり、音はそれぞれ高さを決定づける周波数をもっています。倍音は、この基音の周波数の整数倍の値の周波数をもつ音の成分で、倍音が豊かであるということは、その楽器の音色が豊かであることに直結するの
です。
作曲家として、あるいは演奏家として、楽器に対して私がつねづね考えていることを最後にご紹介しておきます。 それは、「良い楽器には、そもそも良い音が宿っている」ということです。数多くのマリンバを演奏してきた経験からもそれは確かで、たとえば、福井県に本社を構える世界的なメーカー・こおろぎ社のマリンバは、世界一の音を宿していると感じています。 -
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「蜜蜂と遠雷」の小説を読んで、もっと音楽の知識があれば更に楽しめるんだろうなという思いを持っていたので、本書を手に取りました。
作曲は数学だと著者は繰り返し述べていましたが、確かに方程式を解くのに近い印象を持ちました。クイーンのギタリストのブライアン・メイのように数学などの理系学問を修めた人が音楽家になるケースも実際多いそうです。
様々な知識やテクニックを使って方程式を解くように、様々な音の規則性や楽器ごとの出せる音域・得意な音域などの知識やテクニックを駆使して複雑な曲を作り上げていくプロセスは、非常に興味深かったです。
著者は音楽専攻でない大学生向けに作曲の講義もしているそうですが、本書はト音記号の説明からしてくれるので、義務教育レベルの音楽知識しかなかった私にとっても読みやすい一冊でした。
ハ長調やA Minorなどについてもよく理解できてスッキリしました。また、音源つき(CDではなくウェブから聴けるというのが非常にいい)でA Minorがどんな音なのかなども確認しながら、読み進められる点も良かったです。 -
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フランス人で日本在住の作曲家による、音楽の基礎と作曲に関する話。小学生の頃習った音楽の基礎をもう一度おさらいし、かなりの疑問点が解決できた。経歴や自分自らについてのよもやま話の部分が長すぎる。
「(演奏家)グループで演奏中、必ずどこかでソロとして弾くタイミングが回ってくる。そのソロパートを聴いて「彼には独りよがりな傾向があるな」とか「あの人は注意深く正確に、他人の音に耳を傾けているな」とか「この人は権力志向が強いな」「度胸があるな」といった、個々の奏者の才能や深層心理、性質や演奏傾向を読み取ります」p14
「作曲とは数学である」p39
「ピアノの場合は右手の担当領域がト音記号、左手のそれがヘ音記号」p67
「平均律という共通ルールを使うことで、複数の楽器による合奏が容易になりますが、一方で、各文化圏に特有の民族音楽系は演奏できなくなります。平均律は、近現代の西洋音楽に慣れた耳に向けて作った人工的な調律なので、当然のことと言えるでしょう」p70
「下から上に上がって弾くときは「ド♯」と書き、上から下に向かって弾いているときは「レ♭」と書きます。ある音符に♯や♭がついていたら、その小節内ではずっと記号をつけた状態で弾くのが原則です。記号をはずして弾いてほしい場合には「ナチュラル」という記号をつける決まりになっています」p70
「プロの歌手が「連日のコンサートで、今日は喉が疲れた」というときに、いつもより音域を下げて歌うことで喉を守るなど、同一人物が発声状態に応じて歌い分けられるのも、移調の効果の一つです」p74
「(作曲の科学)小節という箱の中で合計が合うように足し算する」p75
「(ヨナ抜き短音階)明治時代に「ドレミファソラシド」を「ヒフミヨイムナ」と和名で読んでいたことに由来し、ファとシを抜いた音階で作られた曲。童謡や「東京音頭」がそう。松任谷由実の「春よ、来い」もそうで、どこか懐かしい郷愁をそそるメロディには、日本人が幼少期から慣れ親しんでいる童謡と同じ響きが含まれているから」p93
「(オーボエ)世界で最も演奏が難しい楽器と言われている」p162 -
Posted by ブクログ
こんな本を手に取るなんて…というか,こんな本がブルーバックスの一冊になるなんて…というか…。
まったく場違いというわけではない。振動数と音の関係というのは科学だし,わたし自身,いろんな楽器を弾いてきたし,興味もあった。
しかし,こと,作曲なんてことは考えたこともなかったのだが,本書を読むと,わりと簡単に作曲できそうな気になる。
本書の凄いところは,まるで日本人が書いたような文章になっているところだ。著者のフランソワ・デュポアという人は,もちろん日本人じゃないのだが,この文章を読んでいると,ついつい「あれ,これって日本人が書いたんだったっけ」という錯覚に陥ってしまう。それくらい,読みやすい訳文なのだ。訳者は木村彩さんという,日仏英のトリリンガルとして活躍している人らしい。この人,たいしたものですね。
さて,内容だが,音楽をたし算とかけ算にたとえながら,説明していくあたりは,さすがだ。そして,本当に,本書の最後には,作曲もできそうな気がしてしまうから不思議。
ただ,最後の方は,ちょっとかけ足で説明されていて,もう少し順を追って説明してほしいなと言う部分はある。さすがに,まったく和音など知らない人はちょっととっつきにくいかも知れない。ただ,そんな人は,こういう本を手に取らないだろうから大丈夫だけど。
本書に紹介されている音階や和音は,スマホなどで簡単に聴くことができる。これもいいサービスだと思う。そばにピアノなどの楽器がなくてもいいからね。 -
Posted by ブクログ
フランス生まれのマリンバ奏者で、慶應で音楽専攻ではない学生に作曲法を教える著者が、音楽の初心者に向けて作曲に必要な初歩的な知識と技法を解説したもの。QRコードを読み取って、本書に載っている楽譜や実際に著者が作曲した音楽の音源にアクセスすることができる。
楽典の基本の基本、みたいなところが分かりやすく解説されていて、読みやすい。個人的には音程の長短・増減・完全○度みたいなやつが、やっと分かった気がする。というか分かってみると結構簡単で、なんでこんなの分からなかったんだろう、という気さえするくらい。たぶん、厳密な部分が省略されていてポイントだけ、初心者向けに解説されているからだろうと思う。例えば音律だったら平均律以外に純正律とかピタゴラス音律とかピタゴラスコンマがどうのこうの、という話は必ず出てきていっぱいいっぱいになってしまうけど、平均律の話しかないので、そういう負担がなくていい。でも和音のところはやっぱりちょっと難しいかも(と言ってもこれ以上の基本はないのだろうけど)。あと作曲は「旋法」を利用しよう、というユニークなアプローチで、誰でも気軽にできます、となっているけど、実践するには直接教えてもらいたい、というのが本音だった。
この本の特徴的なところは著者がマリンバ奏者だということで、打楽器奏者の苦労とかも含めて、マリンバ奏者の立場から他の楽器(ピアノ、バイオリン、クラシックギター、フルート)の「個性」、つまり音色について解説されているところ。同じ音楽家でも見方は様々、ということが改めて分かった。
作曲はしなくても楽典の基本を理解するのにちょうどよい本だった。(24/06/16) -
Posted by ブクログ
「カセットテープミュージック」でスージー鈴木さんが紹介していたので、興味を持ちました。著者は慶應義塾大学で音楽(作曲)を教えているフランス人の世界的なマリンバ奏者であり作曲家。
「音楽は科学だ・数学だ」というコンセプトなので科学新書のブルーバックスなんですが、中身はと言えばやはり「譜面の読み方をある程度分かっている人」向きなのは否めません。加えて、著者自身の「自分語り」の部分も一定量を占めていて、肝心なところへなかなか行きつけないもどかしさがあります。大学教授の著書というだけあって、講義を聴いているような雰囲気でしょうか。それが「単刀直入に、シンプルに『音楽と科学の関係』について理論的に語られる」のを期待して読み始めた、譜面の読めない理系の夫にとっては期待外れだったらしく、冒頭で投げ出してしまいました。
私は子供のころピアノを習っていたし、今も趣味で続けているので、音楽の基本的なことはわかっているつもりです。ですが、作曲というはやってみたいと思いながらやったことはなく(ピアノ伴奏譜くらいは作ったことありますが)、特にコード、和声についてわかりやすい説明の本を何冊か買って読んではみたものの、どれも帯に短し襷に長しで、一長一短。本書は、これまで読んできた本に足りなかった部分を補ってくれる部分があったので、私にとっては価値がありました。
基本的には、ピアノ(キーボード)くらいは手元にあった方がよいかと思います。参考楽曲は特設サイトで登場順に聴くことができるので、その点はありがたいといえるでしょう。
敷居が高いと思いがちな「作曲」という創作活動の、ハードルをグッと下げてくれる良い導きの書、というのが最終的な印象です。五線譜に書くのがめんどくさければ、今はパソコンでDTMソフトを使って作曲ができる時代なので、工夫次第で新しい音楽が作れるかも、と思うと楽しみが広がりますね。