習慣は、「きっかけ→ルーチン→報酬」の繰り返しでできている。習慣を変えたければ、代わりのルーチンを見つけること。
具体的に実行に移すためのガイドとして、付録に書いてあることがわかりやすかった。
変化の枠組み(フレームワーク)
1、ルーチンを特定する
2、報酬を変えてみる
3、きっかけを見つける
4、計画を立てる
↑の具体例
1、カフェテリアに行ってチョコチップクッキーを買って食べている
2、①外に出て周りを歩き、何も食べずにデスクに戻る
②カフェテリアに行くが、チョコチップクッキーではなくドーナツかキャンディバーを買って食べてからデスクに戻る
③カフェテリアに行き、りんごを買って食べて友達とおしゃべりする
④コーヒーを1杯飲む
⑤友人のデスクに行って少しおしゃべりをしてからデスクに戻る
①から⑤はどのようなことルーチンとなっている行動に自分を駆り立てているのかを見極めるのが目的。毎日デスクに戻った後で、最初に浮かんだ3つのことを紙に書き留める。感情でもいいし、とりとめのない考えでも良い。そして時計のアラームが15分後になるようにする。アラームがなったら、まだクッキーを食べたいと感じているか自分に問う。いくつか違った方法を試せば、自分が本当に欲しているものがわかる。習慣をつくり直すには、それが不可欠。
3、①場所②時間③心理状態④自分以外の人物⑤直前の行動を書き留める。これによって、真に自分が欲しているものがわかる。本当はクッキーが食べたいのではなく、「一時的に仕事を忘れること」がしたかった。
4、午後3時30分、毎日、友人のデスクに行って10分間話をする。やがてこれが機械的な行動となり、何週間か経つと、何も考えずにこのルーチンを行えるようになった。
以上が著者の実際にあった習慣化である。
陰山英男さんが本の最後に「生活習慣、それが全てです」と解説してあったのも面白かった。陰山さん自身の実践の中で、生活習慣は学習習慣に形を変えながら、その重みを実践が深まるほどに感じていた。学力こそ習慣の質によって形成されるもので、「勉強すれば学力がつく」と言うのはまったくの思い込みである。
習慣とは何か。それは「努力の無意識化」ということである。人間が生活を良くするためには様々な改善の努力を必要とする。しかし、その努力がまさしく努力として特別な重みを持っている間、残念ながらその成果が見えにくい。しかし、それを何度も反復し継続し、その努力が当たり前のものとなった時、その効果は劇的な変化を生んでいく。「歯磨きと同じように勉強しよう」陰山先生は子供たちに言っている。
陰山先生は、個人や組織の習慣を変えていくにあたり、極めて重要なポイントを挙げていた。それは、習慣化するプロセスの1つとして、人は問題を洗い出し、新たなことを提案し、1つの方向性に結論づける時、何かしらの形で「書く」作業が必ずあると言うことだ。「習慣の力」をより確実なものにしていくために、その過程の中で「書く」と言う作業の内容を高めていくことが必要だろう。また、まず何より、小さくても成功の事実を生み出すということも重要。成功の事実は個人に自信を与え、1つの習慣の改善は、その人の習慣全体の改善と波及していく。
【以下、おもしろいと思った内容】
第4章の「アルコアの奇跡」は、企業の習慣についてまとめてあった。アメリカのアルミニウム会社であるアルコアほど古くて規模の大きい企業では、スイッチを1つ入れれば社員がもっと働き、生産性が上がるとは期待できない。最初に手をつけるべき事は、誰もが(組合も管理職も)重要だと認める事柄だと考えた。社員を1つにまとめ、社員の働き方やコミニケーションの取り方を変えることに専念する必要があった。当時のCEOオニールはやらなければならないリストの最初に「安全」と書き、大胆な目標を立てた。怪我人ゼロを最優先すべきこととしたのだ。リストはきちんとした生活を送るための手段。
キーストーン・ハビットを変える、あるいはさらに進歩させることに専念すれば、他にも幅広い変化を起こせる。「小さな勝利」と呼ばれるものは、新たな習慣を作るのを助け、その変化が周囲に伝わっていくと、そこに文化が生まれる。しかしながら、そうした原則を理解することと、それを実現することの間には溝があり、それを超えるのにはちょっとした工夫が必要。
水泳選手のマイケルが行っていた習慣興味深い。毎晩優勝するイメージを具体的に持ち、架空のビデオとしてそれを何度も何度も再生するのだ。もしハプニングがあったとしても、そのことも含めてということを予想して勝利を積み重ねていく。
ちょっとした成功の瞬間に意識を集中して、それを精神的な引き金にすることが1番良い。それを機械的、自動的にできるところまで持っていった。
子供にピアノのレッスンを受けさせたり、スポーツに参加させたりすることは、とても大切。音楽家に育てるとか、サッカーのスター選手にするためではない。1日1時間の練習や、グラウンド15種の走りを自分に課すことで、自分をコントロールする筋肉を鍛えるのだ。5歳で10分間ボールを追っていられる子供は、6年生になったとき宿題を期限までに終わらせるようになる。
スターバックスの前社長ハワード・ビハールが「私たちはお客様に飲み物を提供するコーヒーのビジネスではなく、コーヒーを提供してお客様を喜ばせるビジネスをしている」「私のビジネスモデルの基本は、最上の顧客サービスです。それがなければ始まらない」と言っていた。スタバが出した答えは、「自制心を組織の習慣にしてしまうこと」だった。
親切な対応された学生と、ただ指示に従うように言われた学生とで、12分のテスト時間での集中力が全く違っていた。親切な対応されたグループは、「物事を自分でコントロールしているという感覚」があった。自制心を必要とする作業を頼まれたとき、それが自分自身の望みでもある(自分で選んだと感じられる、あるいは誰かの役にたつ作業なので満足感が得られるなど)時は、苦しいと感じる度合いが減る。