久住祐一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2025/10/01
江戸時代の参勤交代について、歴史の教科書などでよく見かける「藩の力を削いで幕府に逆らえないようにするため」という従来の見解に一石を投じる内容。
色々な見方があるとは思うけれど、街道の人々の目線や、親藩、譜代、外様大名のそれぞれを地域を治めながら参勤交代をしなければならなかった懐事情など参勤交代にまつわる宿場町の記録などをもとに紹介してくれている。
今までの参勤交代のイメージも覆るし、やっぱり参勤交代をしていた…と一言では言い表せない人間ドラマ的な部分が色々なところであったんだなぁということを知ることができる一冊になっていいます。
大名たちだって江戸まで参勤するのは大変だし -
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若殿のお国入りの大名行列。
その取りまとめ役の残した記録を中心に、その実態を詳細に
解き明かし、分かり易く紹介。実情はとにかく大変至極!
大嶋家略系図 松平伊豆守家略系図
第一章 若殿と左源太
第二章 参勤交代アレンジメント
第三章 “サンキュー”におまかせ
第四章 必読!参勤交代マニュアル
第五章 若殿様のお国入り道中
第六章 その後の三河吉田藩と大嶋家
〔資料〕三河吉田藩の職制
主要参考文献有り。
江戸を出発した三河吉田藩の大名行列は、若殿の初のお国入り。
その取りまとめ役が書き残した文書を中心に活用し、
参勤交代の実態を詳細に、分かり易く綴っている。
松平伊豆守家と大嶋家の歴史で始まり、 -
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江戸藩邸の人々はどのような生活をしていたのか。
三河吉田藩の古文書から、その役割や仕組み、生活や
事件等のエピソードを交え、分かり易く解き明かす。
第一章 江戸の大名屋敷 第二章 江戸ではたらく武士
第三章 江戸藩邸事件簿 第四章 江戸藩邸の奥向
第五章 藩邸から子爵邸へ
主要参考文献有り。
三河吉田藩は松平伊豆守家。
通称「江戸日記」を中心にした記録から、
江戸時代~明治時代初期へ至る江戸藩邸の姿と人々の
勤務や暮らしを紹介し、詳細に解説している。
これほどの日記が残っているのが驚き!
江戸藩邸での藩主の生活と職務や基本法、職制、
勤番藩士と定府藩士、江戸家老、
藩主が老中を務めることで -
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近世の文書は旧家の蔵等からひょっこり出てくることが多いと聞くが、江戸の大名屋敷(以下、江戸屋敷)に関する記録は未だ不十分だという。
本書では計59年半と限定的ではあるが、三河吉田藩(現在の愛知県豊橋市)の『江戸日記』から大名や取り巻きの人々の江戸暮らしを探っていく。藩主は松平伊豆守。
ちなみに著者の久住氏は、豊橋市美術博物館の学芸員さん。解説の中で時折藩にまつわる美術品やその企画展の話が伺えて、ちょっぴり館を覗いてみたくなった。
ここからは、各章の簡単なレビューを…
第一章:江戸の大名屋敷
松平家が所有する屋敷や年中行事、屋敷に出入り出来た人物の紹介がメイン。面白かったのが「辻番」の存在 -
Posted by ブクログ
江戸時代の参勤交代は、実際にそれを仕切る担当者の仕事すなわち要員の段取りやら日程計画の立案などはちょっと想像するだけで大変だろうなと思うが、それを日記などの記録をもとに実情を紹介してくれる本である。
参勤交代ではなく若殿のお国入りだが、実際は同じである。本書で表されるのは具体的な事実だけに、初めて知ることも多かった。三河吉田藩松平家にとって最後の戦場である島原の乱に参加した家は、島原扈従として特別視されたとか、道中他家と宿場が重ならないような調整とか、人宿という人材派遣会社があって、参勤交代などの行列の下っ端連中を供給していたとか、役目や日数によって契約を結んでいて天候不順で日程長引いたら -
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ネタバレ・久住祐一郎「三河吉田藩・お国入り道中記」(インターナショナル新書)を読んだ。帯には「古文書から読み解く参勤交代のリアル」とある。「リアル」とは何か、これを知りたくて読んだ。とにかく、私の参勤交代の知識は教科書程度でしかない。本書「はじめに」でも「参勤交代とは」との節が設けられ、そこに「先頭の奴子が槍を振り回しながら云々」(3頁)との説明が載るが、私のもこの類であらう。大名の資金減らしの為に行ふものだとかと聞いたこともあるが、本書から確かにさうであるとも思へる。何しろ吉田は豊橋である。新幹線こだまでも2時間半ほどで東京に行ける。参勤交代だと6泊7日である。これでも金がかかるのだとよく分かる。こ
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ネタバレ<目次>
第1章 「いい塩梅」なシステム
第2章 参勤交代とカネ
第3章 サラリーマン武士は移動する
第4章 「ハケン」が支えるお大名
第5章 公共事業としての参勤交代
第6章 参勤交代の終着点
<内容>
豊橋市美術博物館の学芸員の著書。三河吉田藩(現豊橋市)の研究を中心に、参勤交代をかなり詳しく紹介している。タイトルに「お勘定」と入っているので、細かくお金の話になるのは仕方がない。一般に言われている参勤交代の役割を、もっと掘り下げ、言われていることの間違い(参勤交代は大名の財政を悪化させるため→目的ではなく結果)など、ぎりぎり専門的にならないような書き方。この辺を深掘りしたいな -
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・久住祐一郎「江戸藩邸へようこそ 三河吉田藩『江戸日記』」(集英社インターナショナル新書)は書名通りの書である。三河吉田藩江戸藩邸の様々を「江戸日記」に基づいて記してゐる。これはもちろん、 例の参勤交代の書に味をしめて書かれたものであらう。「あとがき」に、「『三河吉田藩・お国入り道中記』を執筆させていただいたのだが、出版後まもなく、 担当の云々」(250頁)といふわけで「吉田藩の江戸藩邸をテーマにした内容」(同前)が書かれることになつた。「江戸日記」は市史資料として出てゐる。しかし、これは「現時点で活字化して刊行されているのが一〇年分のみということもあってか、どうも豊橋における評価は今一つ」(