笹井宏之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
以前、Eテレの「理想的本箱」で紹介されていた
笹井宏之氏の『えーえんとくちから』を再読。
「えーえんとくちからえーえんとくちから
えいえんとくちからをください」
初めて聞いた、呪文のような言葉。
何言ってるの?と、
テレビの画面の方に振り返る。
えーえんとくちからえーえんとくちから‥
本当に呪文みたい。
そしてその謎の言葉が、解説によって
漢字変換され、"永遠解く力"だと、
ようやく分かる。
「えーえんとくちからえーえんとくちから
永遠解く力をください」
26歳という若さで生涯を閉じた、歌人
笹井宏之氏のベスト歌集の文庫本。
「はなびら」と点字をなぞる
ああ、これは桜の可能性が大きい
ねむらないただ一本の樹となって
あなたのワンピースに実を落とす
葉桜をめでゆく母がほんのりと
少女を生きるひとときがある
ゆびさきのきれいなひとにふれられて
名前をなくす花びらがある
ひとりでにりぼんむすびになっていた
ひもの痛みの、はかりしれない
戦争が優しい雨に変わったら
あなたのそばで爪を切りたい
きれいごとばかりの道へたどりつく
私でいいと思ってしまう
花束をかかえるように猫を抱く
いくさではないものの喩えに
これ、短歌なんだよね、と、改めて気付く。
どの句も瑞々しく、痛々しいほど繊細で優しい。
26歳という若さからの美しい句なのか、
今だったらどんな句を詠まれただろう。
そんな事を、この歌集を読むたびに思う。
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Posted by ブクログ
笹井さんの当時の状況を知ったことでよりそれぞれの歌に情景が浮かんでくるようで、切なさを感じつつもやさしい語り口に心を落ち着かせられる。好きと思う歌についてここが好きとか語りたい気持ちと、自分の平凡な言葉で表したくない気持ちがせめぎあう。せっかくやさしい言葉に触れたので、難しいことは考えずに好きな歌を残しておくことにする。
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手のひらのはんぶんほどを貝にしてあなたの胸へあてる。潮騒
この星に消灯時間がおとずれるときも手を繋いでいましょうね
切れやすい糸でむすんでおきましょう いつかくるさようならのために
ばらばらですきなものばかりありすぎてああいっそぜんぶのみこんでしまいたい
暮れなずむホームをふたりぽろぽろと音符のように歩きましたね
きれいごとばかりの道へたどりつく私でいいと思ってしまう
本棚に戻されたなら本としてあらゆるゆびを待つのでしょうね
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Posted by ブクログ
笹井さんが書かれる言葉には、色があって、温もりがあって、匂いがあるような気がする。
パキッとした原色ではなくて、淡い水彩画のような色を纏っている。
ひらがなにはひらがなの、漢字には漢字の色がついていて、さわりごごちがある。
えーえんとくちから
永遠解く力
子どもの目がみるえーえんと、成長した自分が見る永遠と、その2つは違うもので、でも一本の線で繋がっているものだ。詩を読んで、そう感じた。
笹井さんの世界には、空気にも触感がある。強烈な個があるわけではなくて、私というくっきりとした輪郭があるわけでもない。でも、色があって匂いがあって温もりがあって触感がある。
えーえんとくちから、わたしにもください。