笹井宏之のレビュー一覧

  • えーえんとくちから

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    はじめてしっかりと、詩というものを読んだ。
    たった数行の詩のパワーはときに、小説が作り出す世界をはるかに飛び越える。そのことを深く実感する体験だった。次はいつこのような体験ができるのか、不安になるほどよい本。

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    2025年06月25日
  • えーえんとくちから

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    ネタバレ

    こころがふるえる瞬間と、きらめきと、少しばかりの切なさが、ぎゅっと三十一文字に閉じ込められた短歌集です。「もうそろそろ私が屋根であることに気づいて傘をたたんでほしい」という短歌が心に残りました。「「はなびら」と点字をなぞる ああ、これは桜の可能性が大きい」という短歌も、繊細で瑞々しい感性が、優しかったです。

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    2025年05月04日
  • えーえんとくちから

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    美しくて、素で、ひかりまばゆい。

    「美しい」なんて陳腐な言葉で言うのは恥ずかしい。なにがどう美しいのか説明・言語化できないとダメだよなぁ。

    どれを読んでも切ない。思春期の頃のよう。
    すべてがくっきりはっきりしていて、ひかり輝きするどく尖り、空気も風もパチパチはぜるようだったその頃。いつももどかしく急ぎ焦り、ちよっとしたことが痛くて苦しい。

    きれいな感性を持ち続けることの、なんと難しいことか。

    少し、フジモトマサルさんの世界に似ていると思った。

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    2025年03月26日
  • えーえんとくちから

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    どんなに疲れていても、すっと、優しく、あたたかく、心と体の緊張をほぐしてくれる

    ずっと手元に置きたい詩集の1冊

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    2024年11月19日
  • えーえんとくちから

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    やさしい生命賛歌

    作者の慈悲深い心とやわらかい言葉で紡がれる短歌は、読む人のささくれをそっと包んでくれるでしょう。

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    2024年10月05日
  • えーえんとくちから

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    短歌集は本作品が初めて。

    突飛な作品も多く意味を汲み取ることが難儀ではある。でも、著者の世界の結びつける力の特異さ、達観した視点が全編を通して感じられた。
    作品の裏に隠された虚脱感を、表現によって少しのユーモアを交えて非現実的なものへ昇華していり。そこに著者の世界に対する根源的な信頼感があるように思える。その優しさに触れるようで、作品から生への肯定を受け取った、そのような体験。

    折に触れて何度も味わいたい作品です。

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    2024年08月30日
  • えーえんとくちから

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    特にすきなうた5つ、わたしの解釈と想像


    p18.葉桜を愛でゆく母がほんのりと少女を生きるひとときがある

    母だと思っていた母が、わたしの知らないわたしの生まれる前の、母が母ではなかった時の表情をふとみせたとき、知ったときのおどろきとはがゆさ


    p19.蜂蜜のうごきの鈍ささへ冬のよろこびとして眺めてをりぬ

    はちみつがとろとろしないようになることで冬の寒さと季節の移り変わりに気づく。なにげない日常を取りこぼさない繊細さ


    p72.ひろゆき、と平仮名めきて呼ぶときの祖母の瞳のいつくしき黒

    ひらがなはなぜかかわいくてやさしい。名前を呼ぶ祖母のやさしい声色と、そのときの美しく強くやさしい瞳の

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    2024年06月22日
  • えーえんとくちから

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    とにかく衝撃的で凄かった。自分の世界観では到底築けない言葉の流れを目の当たりにしてただひたすらその文字を追って想像を膨らますばかりになってしまった。

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    2024年06月07日
  • えーえんとくちから

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    この歌集は、ブク友のまことがコメントですすめてくれて読んだ。

    2009年に二十六歳で亡くなった歌人、笹井宏之のベスト歌集が文庫化されたもの。未発表だったエッセイや詩、俳句も掲載されている。人間のみならず、風とかテレビなどの無機物に対しても優しいまなざしを向けている感じがして好きな作品ばかりだった。本は気づくと付箋だらけである。

    いくつか、特に印象に残った短歌を紹介したい。

    「スライスチーズ、スライスチーズになる前の話をぼくにきかせておくれ」

    つぼみより(きみがふたたびくるときは、七分咲きにはなっていたいな)

    廃品になってはじめて本当の空を映せるのだね、テレビは

    ひろゆき、と平仮名め

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    2024年04月28日
  • えーえんとくちから

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    最初の数歌を読んだだけで涙がでました。
    あまりに歓びが体を飛び出そうとするから、
    私は思わずこれを紹介してくれた方々に「これは凄すぎる!教えて頂きありがとうございます!」とメッセージを送っていました。
    言葉が繊細とか、やさしいとか、そういうことだけでは説明のできない。
    このうつくしい世界の、注ぎ込む言葉の雨を、全てをかけて短歌にして、詩にしていってくださった、という印象だった。
    このひとの短歌にであえてよかった。
    言葉にはどこまでもまだ知らない平原がひろがっていることが証明されたと思います。

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    2024年04月25日
  • えーえんとくちから

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    元気がないときに読んだ。
    しずかで透きとおった言葉がならんでいて、これからもくりかえし読んでいきたい本です。

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    2024年03月30日
  • えーえんとくちから

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    気になった歌に付箋つけたら「だらけ」になるし、だんだんと好きな基準がわからなくなってくるし、イメージの奔放さに刺激を受けて周囲の情景が短歌に変貌してくるので何度も立ち止まってしまうし。読み返したら、もうほんとんどの歌に付箋付けてしまいそう。


    冬の野をことばの雨がおおうとき人はほんらい栞だと知る  笹井宏之

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    2024年02月03日
  • えーえんとくちから

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    永遠解く力?永遠と口から?タイトルへの違和感から始まる。
    フィクションが短歌になるとノンフィクションめく感覚が楽しい。
    生活で使わない言葉が出てきて、新鮮でハッとする。
    言葉に色、重さ、強さ、香りがあることを教えてくれる。
    優しい刺激が心地いい。
    日々鈍感に生きる我々を突き刺すように、筆者の鋭い感性が流れ込んでくる。


    ー『この星に消灯時間がおとずれるときも手を繋いでいましょうね』

    ー『ひきがねをひけば小さな花束が飛び出すような明日をください』

    ー『つぎつぎと星の名前を言いあてるたそがれの国境警備隊』


    どこかホッとする、絵本の一ページのような詩が特に好きでした。
    懐かしさと温かさであ

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    2023年10月31日
  • えーえんとくちから

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    笹井宏之さんの生涯は26年でした。
    Wikipediaによると、インフルエンザからくる心臓麻痺で亡くなられたとのことです。
    宏之さんは長らく身体表現性障害を患っておいででした。
    病名すら、初めて目にした私です。

    穂村弘さんによる『短歌のガチャポン』の解説で、
    「えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい」
    を初めて読んだときは、一瞬"永遠と口から"…?と思ってしまい、下の句でそれが正しくは"永遠解く力"だと分かっても、この短歌を感じ取ることは難しかった。
    "永遠を解く"って何だろう。。。

    けれど今回『えーえんとくちから

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    2023年10月02日
  • えーえんとくちから

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    最近読んだ歌集で1番好きかもしれない。
    穂村弘よりすき。
    感性に共感できる歌はとても共感できるし、
    意味わからない歌も、わからない理解できないけどなんかいいなって思ってしまうものが多かった。

    えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力をください
    めっちゃ謎の魔力あって頭の中でループしてる。

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    2023年06月28日
  • えーえんとくちから

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    気に入ったものがいくつもあった。そういうふうに世界や日常を眺めることもできるのだな、と感じ、ふと穏やかな気持ちになりました。読んでよかった。

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    2025年11月30日
  • えーえんとくちから

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    ネタバレ

    2025年64冊目

    ★★★★☆

    #えーえんとくちから #笹井宏之

    過去の #Chapters 本。

    初めて短歌集に触れました。
    初めはサラっと読もうと思ってたけど、一句一句噛み締めて読みたくなったので思ってたよりじっくり読んだ。

    笹井さんのお父さんが書かれているあとがきを読んで、さらに深まる句が多かった。
    難病を抱えて、寝たきりの生活を送っていた笹井さんが、世界との繋がりを感じるための手段が短歌だったというのが伝わってくる。

    くすりとできるものから、みんな人生観を感じるものまで気に入るものに出会えるんじゃないかなーと思いました。

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    2025年09月05日
  • えーえんとくちから

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    以前、Eテレの「理想的本箱」で紹介されていた
    笹井宏之氏の『えーえんとくちから』を再読。

    「えーえんとくちからえーえんとくちから
    えいえんとくちからをください」

    初めて聞いた、呪文のような言葉。
    何言ってるの?と、
    テレビの画面の方に振り返る。
    えーえんとくちからえーえんとくちから‥
    本当に呪文みたい。
    そしてその謎の言葉が、解説によって
    漢字変換され、"永遠解く力"だと、
    ようやく分かる。
    「えーえんとくちからえーえんとくちから
    永遠解く力をください」

    26歳という若さで生涯を閉じた、歌人
    笹井宏之氏のベスト歌集の文庫本。

    「はなびら」と点字をなぞる 
    ああ、これ

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    2025年06月19日
  • えーえんとくちから

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    笹井さんの当時の状況を知ったことでよりそれぞれの歌に情景が浮かんでくるようで、切なさを感じつつもやさしい語り口に心を落ち着かせられる。好きと思う歌についてここが好きとか語りたい気持ちと、自分の平凡な言葉で表したくない気持ちがせめぎあう。せっかくやさしい言葉に触れたので、難しいことは考えずに好きな歌を残しておくことにする。

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    手のひらのはんぶんほどを貝にしてあなたの胸へあてる。潮騒

    この星に消灯時間がおとずれるときも手を繋いでいましょうね

    切れやすい糸でむすんでおきましょう いつかくるさようならのために

    ばらばらですきなものばかりありすぎてああいっそぜんぶのみこんでしまいたい

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    2025年06月03日
  • えーえんとくちから

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    ネタバレ

    某書店のほんぶくろフェアで購入。

    「とてつもないけしごむかすの洪水がくるぞ愛が 消されたらしい」
    たっぷりと春を含んだ日溜まりであなたの夢と少し 繋がる

    好き、というかハッとした。こう、薄く広がっていく愛みたいなのがいい。

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    2025年04月26日