酒本歩のレビュー一覧
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レビューを拝見して知った本です。レビューが魅力的だったこと、あとは「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」という情報を記されていたので。島田荘司さんの御手洗潔シリーズのファンなので、読んでみたいと思いました。ありがとうございました。
主人公のドッグシッターの真木島風太36歳が仕事を通じて知り合い、交際していた元カノの3人の女性が風太と別れたあとに、次々と死亡、または死亡の可能性ということがわかります。風太は自分が罪をきせられるのではないかと思い、友人の雪枝、病院勤務の裕一郎とともに調査を始めます。
そして、裕一郎の勤務先の病院が絡んでいる事件だったことが判明します。
生殖医療の謎はとても面白く、引き込まれあっという間でした。
雪枝の推理は156ページまで読んだとき、私も考えたことと同じでした。もちろん雪枝のように理由まではわかりませんでしたが。
そして最後の真実には驚愕しました。
この作品の選者の島田荘司さんは、あっさりしすぎではないかと選評でおっしゃっていましたが、私も、もう少し前半の元カノとのシーンなどが長ければもっと、登場人物に、感情移入できたかと思いました。不思議な感覚のお話でしたが、最後はいいラストだったと思いました。 -
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ペットの医療について深く考えさせられる本でした。
昔とは形の変わってきた、ペットの在り方。病気をしても諦めざるを得なかったものも、年々技術が進歩し、治せるものが多くなりました。
でもまだまだ、人間の医療に比べ、保険の適用だとか、倫理的な問題だとかの問題があり、さていざ家族同然と思っていたペットの手術に高額な医療費がかかりますよとなったら、あなたはどうしますか…?という問いかけを、本作はしてきます。
高額と一言で表しても、その感覚は人によって違います。簡単に出せる方もいれば、明日から食うのにも困ることになる方もいる。
でも、家族同然の思いは同じ…。大切な存在と思って過ごしているのなら、一瞬も悩まない方はいないのでは。
この作品、初めはペットの医療のあり方についてを切り口に、徐々にその飼い主の思いを逆手に取ったビジネスの闇からミステリーに繋がっていきます。
所々に涙しながら、わたしならどうするか、この犯罪をどう捉えるか、行く末はどうなってほしいかなどの問題提起に立ち止まりながら、読み終えました。
現在3代目となる犬を飼っている、地元の両親にも読んでもらいたい本です。 -
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東京オリンピックの体操代表を狙う選手やコーチ、マネジャー達によるミステリー。
舞台はとある体操クラブ。有望な若手選手が日本代表にならないようにとつけ狙われる。
一方、とある高校で代表候補と名高い選手が選考会を前に様子がおかしくなる。それに気づいたマネジャーは本人に問いただすが、彼が背負っているものを聞かされ応援することに決める。
そして両者が交錯し、ことの真相が明らかになる。
東京オリンピック代表を目指す選手たちだけでなく、その周囲の人たちも含めた悲喜交交。
青春系スポーツ小説かと思いきや、ちょっとしたミステリー要素も入り、それが終盤の核となっていく。
2つの舞台をクロスさせたなと。前作よりも内容が親しみやすくて読みやすい。 -
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大切な家族同然のペット。その家族が難病になった時に飼い主はどういう選択をするのか。高額医療を受けてペットの寿命が伸びたとしても、その後の生活や検診にもお金はかかる。飼い主も生活しなきゃいけない。セレブならペットに何百万も払えるんだろう。ただ一般人は?あなたは犬に200万払えますか?ペットを飼うってそういう問題もあるんだな。可愛いだけじゃ飼えないんだなー。それはそれとして主人公・太一があまりにもへタレすぎない?元妻がいなけりゃ犬もろとも破産していたと思うんだけど。まあそのハラハラで一気読みできた。お金が無ければペットは飼わない方がよさそうだ。
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第11回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作。
ドッグシッターの風大の元に、三年前に別れた美咲が死亡したとの通知ハガキが届く。住所の書かれていないそのハガキに不審なモノを感じた風大は、美咲の前に別れた蘭、さらにその前に別れたエミリの行方を探すが二人とも消えていた。
女性と話すのが苦手、見た目は悪くないが女性にモテない風大が何故か立て続けに三人の女性に言い寄られ付き合った三年前。
そしてその三人が消え、その痕跡すら残っていない。
彼女の友人や母親からは接触を激しく跳ね除けられる。
これは怪しい。
読んでいくうちにアレが関わっているのだろうなとはすぐに思い当たるものの、それが女性たちが亡くなったことと、痕跡まで消えたことにどう関わっているのかはなかなか分からない。
原稿用紙四百枚というボリューム、シンプルな展開なのでサクサク読める。
実際こういうことが起こるかどうかは置いておいて、何とも言えない読後感だった。
この手の話はたまにニュースでも目にする。
この作品では最後にハートウォーミングなスタイルにしているが、実際のところ、始まりが始まりだけにそう良い関係なんて築けるのかという疑問は浮かぶ。
単純にミステリーに絞ってみれば、三人の女性たちのデートシーンに伏線が張ってあったことがわかる。
恋愛ものかと思えばミステリー、ミステリーかと思えば最後はドラマ。
なかなか面白い展開だった。
ただ枚数が枚数だけに物足りなさが残る。賞作品なので枚数制限があったのかも知れないが、もう少し色々掘り下げてほしかった。
また風大がドッグシッターという仕事を通して、ペット商業と保護犬譲渡活動という二つの相容れない世界の間で揺れる様子は考えさせられるものがあった。
外国ではペットショップでの個体販売自体を禁止している国もある。それが行き過ぎなのかどうかは分からない。その国ならではの純血種を守るという役目もあるわけだし。
最後は上手く行き過ぎな感もあったが、全体的にはテンポよく楽しく読めた。