デイヴィッド・ピースのレビュー一覧

  • Xと云う患者 龍之介幻想
    芥川龍之介の作品とその人の生涯を織り交ぜた12編の物語。芥川龍之介の作品が持つ精緻で端正な美しさ、彼の言葉遣いをそのままに、デイヴィッド・ピースの音楽的な文章へと練り上げてるのは素晴らしい。全く新しい芥川龍之介文学と言っても差し支えないだろう。作中には夏目漱石、久米正雄、斎藤茂吉、川端康成、内田百閒...続きを読む
  • Xと云う患者 龍之介幻想
    芥川龍之介が書いた作品と伝記的エピソードをコラージュし、この世という地獄を彷徨う作家の姿を描いた〈芥川版ドグラ・マグラ〉のような幻想怪奇小説。


    日本在住のイギリス人作家が英訳された芥川作品を使って書いた小説の邦訳、というひねった成り立ちで、発売当時から気になっていた一冊。とにかく黒原敏行の訳文が...続きを読む
  • Xと云う患者 龍之介幻想
    これは凄い。芥川を愛する著者の二次創作的な作品集かと思っていたけれど、それだけではない。さらに芥川の生涯を追い、死に至るまでを描いていく。
    この描き方が半端ではない。その時代、その場所で見てきたのではないかという位リアルでありながら美しく幻想的。
    「本当にこうだったのではないか」と思わされてしまう。...続きを読む
  • Xと云う患者 龍之介幻想
    『彼はある郊外の二階に何度も互いに愛し合うものは苦しめ合うのかを考えたりした。その間も何か気味の悪い二階の傾きを感じながら―芥川龍之介「或阿呆の一生」昭和二年(一九ニ七年)』―『地獄変の屏風 HELL SCREEN』

    芥川龍之介の文章から受けるイメージは読むたびにその鈍色(にびいろ)の光沢が薄れる...続きを読む
  • Xと云う患者 龍之介幻想
    小説、久しぶりに読みました。

    購入します、面白かった、また読みたい(あっ、借りた本なので)。
    芥川龍之介作品で1番好きなのは、「白」。
  • TOKYO REDUX 下山迷宮
    下山事件は中学生の時、松本清張の「日本の黒い霧」になぜかハマってしまい、戦後日本のドロドロの原形質に触れた気がして、ずっと心の底に沈殿している謎でした。時々、この事件、出版物として目の前に現れるのですが、なぜか積読のままに放置してしまっています。例えば柴田哲孝「下山事件」もその一冊。「日本の黒い霧」...続きを読む
  • TOKYO REDUX 下山迷宮
     国鉄三大事件のひとつ、初代国鉄総裁の下山定則の轢断死体が発見されたが他殺説、自殺説まみえて解決に至らなかった下山事件を扱った小説。
     なのだが、昭和の東京で起きた事件を扱った三部作の最後ということは知らず、最後から読むことになってしまった。

     三章構成になっている。
     第一章の語り手はGHQの情...続きを読む
  • TOKYO REDUX 下山迷宮
    GHQ占領下の1949年に国鉄総裁であった下山定則が失踪し、礫死体で見つかり未だに未解決の下山事件。数万人規模のリストラを目前に控えて労組などから脅迫されていたことから、そうした心労が苦になっての自殺説、共産党などによる他殺説、ひいては”反共主義”を日本でも広げるためにGHQが起こした陰謀論的な他殺...続きを読む
  • Xと云う患者 龍之介幻想
    芥川龍之介の作品を使っての幻想文学(著者はイギリス人。ということでもちろん原書は英文なわけで、本書はそれの『翻訳本』)という点だけ知っていて、それ以上は前情報仕入れずに読んでみましたがこれがビックリ。
    これは「芥川の人生」と「作品」を素材として使って、芥川龍之介を主人公に据え、史実と幻覚と妄想と文学...続きを読む
  • Xと云う患者 龍之介幻想
    芥川龍之介の世界観を積み重ねて、
    独自の世界を築くという
    小説でしかなしえない離れ業を成し遂げている。

    最後にあげられた日本文学の英訳の
    列挙をみて、日本人、もっと
    日本文学読もうよ、と思った。

    脇を固める、斎藤茂吉などの作品も
    改めて読み返したいと思った。
  • Xと云う患者 龍之介幻想
    日本在住のイギリス人著者が芥川作品の英訳を多数引用して作品を構成しているわけだが、その部分も含んで日本語に訳す、という単純ならざる訳業。
    「戻し訳」ではなく芥川の文章そのものを使ったことや、当時の表記(エドガア・アラン・ポオ、レエン・コオト、ジョオンズ、洋燈と書いてランプとルビをふるなど)にも細やか...続きを読む
  • TOKYO REDUX 下山迷宮
    消化不良。どうしても、「ミステリとして」読めなかった。
    前提知識が足りんかね。
    「闇の奥」読んだうえで、もう一度第1作目から読み直すかな。
  • TOKYO REDUX 下山迷宮
    下山事件といえば日本史の教科書にも載っているような有名な事件。不謹慎だが、あまりにドラマチックな謎のため、フィクション、ノンフィクション問わず、たくさんの作品が発表されてきた。ご多分に洩れず、私もそれらの数冊を手にし、ああでもない、こうでもないと、いろいろ想像を巡らせたクチである。

    本書はその下山...続きを読む
  • Xと云う患者 龍之介幻想
    テクノ/ハウスなどの音楽で一般的なリミックスという手法は、その後、”シミュレーショニズム”の文脈で現代美術にも派生するが、文学においてはそこまで一般的な手法ではない。本書はそうしたリミックスの手法を用いて、芥川龍之介の作品を英国人作家デイヴィッド・ピースが新たな文学作品に仕立てた一冊である。

    芥川...続きを読む
  • Xと云う患者 龍之介幻想
    芥川龍之介の作品にインスパイアされた短編集。
    著者は英国生まれだが、日本文学に精通し現在は日本在住、東大で教鞭もとる。

    ああ、もう一度芥川作品を読まなくては…。