増島拓哉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大変面白かった。
道頓堀グリコ下に足を運んだ椎名和彦が、顔役と名乗る半グレ集団にスカウトされるところから、転げ落ちるように悪事へと進む様は行先に暗澹たる結末を予感させ、読者を強引に物語に引き摺り込んでいく。
物語は椎名和彦が顔役のヤオに甘言をもって引き込まれていく様や、対抗する愚狼會との抗争、寺西雄次の強靭的暴力、それらが違法薬物、児童売春、恐喝、ヤクザが絡むなど、危ない要素満点のストリートファイト小説の趣いっぱいで緊張させられる。
前半では物語に干渉しなかった澤田刑事が、後半で実に味のある役回りとなり、この小説の結末を見事に盛り上げてくれていた。
バイオレンス溢れる小説に大満足。 -
Posted by ブクログ
相変わらず、イイ。
足を洗ったはずのヤクザ界にひょんなことから引きずり戻されていく中年男を描いた前作に比べて、今回は若い男女6人組が主人公。しかもそのどれも、「トラッシュ」。まさに、クズ。
やることなすことがぶっ飛んでいて、自分のことしか考えていない。でも、様々に傷ついた過去がある(ないものもいるが)若者が、わざと判断力を鈍らせて自ら退廃の道を駆け抜けてゆく様は、かっこよくもあった。ハードボイルドさを感じた。
華々しく逝った仲間を見て、「人生は全部、死の瞬間のためにある。生は所詮、死を彩るための準備段階に過ぎひんのかも」と言うシーン(171p)。これは正直、グッときた。だから何をしてもいいというわけではなく、月並みだが、死ぬ時に、後悔しないように自分の生を歩んで行くという意味では、真理に近い気がする。そこを履き違えて、自己中心的な悪の道を突き進んでしまうのは、人生経験の浅い若者ゆえなのか、時代がそうさせるのか。
増島さん、渋すぎる。
作中に出てくる曲もめっちゃいい。どういう生い立ちをすれば、こんな渋い世界を描けるのか、めっちゃ気になる。