増島拓哉のレビュー一覧

  • 路、爆ぜる

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    デビュー作も大変に驚き感心したけど、さらにブラッシュアップされていて、ノンストップで一気読み。展開の切れ間での説明不足に感じられる箇所はあるけど、短い期間に詰め込まれた熱く濃密な青春の一片が窺えてこちらも熱くなる。次作にも期待します。

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    2025年05月14日
  • 闇夜の底で踊れ

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    ネタバレ

    自分より年下の方がこの作品を執筆したことに驚きを禁じ得なかった。関西弁で書かれた文章は非常に読みやすく、スムーズに引き込まれた。巧妙に仕込まれた伏線が適切に回収されていく様子に、作品全体の緻密さと作者の手腕を感じた。

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    2025年02月20日
  • 闇夜の底で踊れ

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    小説すばる新人賞受賞作。
    おもしろかったー!

    パチンコ依存症で風俗にハマるダメ人間風な主人公、伊達くんに、過去が判明していくにつれて惹かれていく。
    そして、笑いのセンスが抜群。緊迫感ある状況なのにシュールなボケをかます伊達。それがたまにじゃなく、ほぼずっと。作者すごいわ。

    極道のやりとりにヒリヒリする。こういうのリアルに書けるのって、どうやって知識得てるんだろう。リアルかどうかもわらんないけど、とにかく臨場感はすごい。

    最も影響をうけた作家が大沢在昌というのもうなづける。

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    2025年11月24日
  • トラッシュ

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    相変わらず、イイ。
    足を洗ったはずのヤクザ界にひょんなことから引きずり戻されていく中年男を描いた前作に比べて、今回は若い男女6人組が主人公。しかもそのどれも、「トラッシュ」。まさに、クズ。
    やることなすことがぶっ飛んでいて、自分のことしか考えていない。でも、様々に傷ついた過去がある(ないものもいるが)若者が、わざと判断力を鈍らせて自ら退廃の道を駆け抜けてゆく様は、かっこよくもあった。ハードボイルドさを感じた。
    華々しく逝った仲間を見て、「人生は全部、死の瞬間のためにある。生は所詮、死を彩るための準備段階に過ぎひんのかも」と言うシーン(171p)。これは正直、グッときた。だから何をしてもいいとい

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    2025年04月07日
  • 闇夜の底で踊れ

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    第31回小説すばる新人賞受賞作。大阪を舞台に、ギャンブルと風俗に溺れる元暴力団員の主人公が「アニキ」である若頭、山本と再会する物語。主人公が暴力団を辞めるきっかけになった事件の真相は最後に明かされるが、すっかりその謎を忘れて読んでいた。だってテンポの良い関西弁の応酬があまりにも小気味いい。反社、「底」にいるが故の皮肉がこめられた持論のぶつけ合いがテーマならでは。

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    2025年03月03日
  • トラッシュ

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    増島拓哉『トラッシュ』集英社文庫。

    小説すばる新人賞受賞作『闇夜の底で踊れ』に次ぐ2作目。文庫化にあたり結末を大幅に修正した完全版ということらしい。

    本作もピカレスク小説である。本作では一度集団自殺を試みて、死にきれなかった6人の若者たちが主人公となり、まるで現代の若者たちの声を代弁するかのように、生きることの苦しさ、閉塞感、虚無感と生きることの意味を模索する姿を描いている。そして、迎える破滅の時……


    虐めや差別、虚無感、愛されない苦しみ、親との確執といった様々な理由から闇サイトで入手した薬で集団自殺を図った6人の若者たち。しかし、薬は偽物で、全員が生き延びてしまう。一度捨てた生命だか

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    2024年09月30日
  • 闇夜の底で踊れ

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    ネタバレ

    舞台は大阪ということで位置関係がさっぱり分からなかった(笑)

    主人公・伊達の人を食った様な人柄がこの物語を引っ張っていたと思う。やくざの世界は知らないが、「親(分)になる」「組長になる」とはとても重い事で殺人にまで発展するんだなというのが、温度感のない恐怖。そして、犯人が捕まらないというのも現代の恐怖。

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    2023年02月07日
  • 闇夜の底で踊れ

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    おそらく本の雑誌による推薦。まったく知らなかったけど、これが19歳のデビュー作とはとても思えないストーリー運びとキャラクター造形&セリフだな。思わず吹き出してしまう場面が何度かあった。
    池上冬樹氏の解説にもあるが黒川博行作品の魅力的な関西ヤクザものキャラクターを思い出すが、決して模倣ではない。

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    2022年05月28日
  • 路、爆ぜる

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    コロナ禍で父親が無職になり、バイト漬けの日々に嫌気がさし、大阪・道頓堀のグリ下に行った和彦。
    そこで同じような暗い境遇にある中高生と過ごすようになり、半グレ集団と関わりを持つ。


    バイトで家計を助ける男子高校生が、無理矢理でもなくゆるりと半グレ集団に染まっていく恐ろしさに愕然となる。
    半グレ同士の争いも眼を背けたくなるような壮絶さである。
    澤田刑事の覚悟も見れたが、半グレ集団が根絶することはあるのだろうか…と。
    警察の眼を掻い潜っている人物はもっといるのかもしれない。
    和彦はどんな大人になるのだろうか。
    彼は青春を取り戻せるのだろうか。




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    2025年02月25日
  • 闇夜の底で踊れ

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    半グレみたいな伊達が、いぜんの兄貴分だった山本にいいようにつかわれるといった筋。読み進めて2/3を過ぎて、どう終わっていくんだろう、ひょっとして続巻があるのかな、と思っていたら、入れ込んでいたソープ嬢の詩織が山本の女であることがわかり、妙見山であっさり殺してびっくりした。なに、この急展開は、というところが印象に残った。

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    2023年03月16日
  • 闇夜の底で踊れ

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    増島拓哉『闇夜の底で踊れ』集英社文庫。

    大阪を舞台にしたピカレスク小説。小説すばる新人賞受賞作。

    新人作家ということで期待したのだが、ストーリーにドライブ感が感ぜられず、仕上がりとしては今一歩の作品だった。

    過去に暴力団を破門されるように足を洗い、35歳で日雇いとパチンコの腐った日々を過ごす伊達は、大勝した勢いで行ったソープランドで詩織と出会う。詩織に入れ込んだ伊達は闇金融業者から偽名で金を借りまくり、借金を踏み倒す。しかし、伊達の債権を勝ったかつての暴力団の兄貴分、山本に割の良い危険な仕事をあてがわれた伊達は次第に泥沼の中に足を踏み入れていく。

    有りがちな展開と真相……

    本体価格7

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    2021年01月24日