増島拓哉のレビュー一覧
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相変わらず、イイ。
足を洗ったはずのヤクザ界にひょんなことから引きずり戻されていく中年男を描いた前作に比べて、今回は若い男女6人組が主人公。しかもそのどれも、「トラッシュ」。まさに、クズ。
やることなすことがぶっ飛んでいて、自分のことしか考えていない。でも、様々に傷ついた過去がある(ないものもいるが)若者が、わざと判断力を鈍らせて自ら退廃の道を駆け抜けてゆく様は、かっこよくもあった。ハードボイルドさを感じた。
華々しく逝った仲間を見て、「人生は全部、死の瞬間のためにある。生は所詮、死を彩るための準備段階に過ぎひんのかも」と言うシーン(171p)。これは正直、グッときた。だから何をしてもいいとい -
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増島拓哉『トラッシュ』集英社文庫。
小説すばる新人賞受賞作『闇夜の底で踊れ』に次ぐ2作目。文庫化にあたり結末を大幅に修正した完全版ということらしい。
本作もピカレスク小説である。本作では一度集団自殺を試みて、死にきれなかった6人の若者たちが主人公となり、まるで現代の若者たちの声を代弁するかのように、生きることの苦しさ、閉塞感、虚無感と生きることの意味を模索する姿を描いている。そして、迎える破滅の時……
虐めや差別、虚無感、愛されない苦しみ、親との確執といった様々な理由から闇サイトで入手した薬で集団自殺を図った6人の若者たち。しかし、薬は偽物で、全員が生き延びてしまう。一度捨てた生命だか -
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増島拓哉『闇夜の底で踊れ』集英社文庫。
大阪を舞台にしたピカレスク小説。小説すばる新人賞受賞作。
新人作家ということで期待したのだが、ストーリーにドライブ感が感ぜられず、仕上がりとしては今一歩の作品だった。
過去に暴力団を破門されるように足を洗い、35歳で日雇いとパチンコの腐った日々を過ごす伊達は、大勝した勢いで行ったソープランドで詩織と出会う。詩織に入れ込んだ伊達は闇金融業者から偽名で金を借りまくり、借金を踏み倒す。しかし、伊達の債権を勝ったかつての暴力団の兄貴分、山本に割の良い危険な仕事をあてがわれた伊達は次第に泥沼の中に足を踏み入れていく。
有りがちな展開と真相……
本体価格7