白洲信哉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
日本の古美術に対する視点やそれをとりまく状況について,主要なジャンルを例にリズムよくまとめられている.
「侘び寂び」の一言で片付けられやすい日本の美観だが,現代日本人にはもはや共通の認識ではないので,本書のように古来の日本人の感性・文化と美観がどのように結びついているか真摯に解説いただけるのは嬉しい.
また,随所に配置された白洲正子や小林秀雄の引用が美しい.
特に「器物の終身刑」という言葉には考えさせられた.
美術品は,その美故に遠ざけられる(展示物として扱われる)傾向があるが,こと茶碗等の器物については本来の役割がある.
個人的な意見だが,茶道に関わる者としては,やはり「一時預かり人」とし -
Posted by ブクログ
<目次>
はじめに
第1章 ハゲても焦げても割れても美しい
第2章 日本美の粋 茶道具
第3章 古筆と古画 切る美
第4章 焼もの つれづれ
第5章 海外からの眼差し
<内容>
古美術に造詣の深い著者。なんと白洲次郎、正子夫妻の孫。こういうものは若い頃からそれに触れて、見ていないと審美眼は育たないと思うが、文が割と平易で(むろん専門用語は多いので分からないところも多いが…)、読んでいて楽しかった。美術品は使うべしとか、日本美術はどこにあっても(海外でも)、ちゃんと管理され、鑑賞されているならよい、とか筋の通ったことを言っている。また説明に美術品の写真が貼付されているもの嬉しい。新書