小山聡子のレビュー一覧

  • もののけの日本史 死霊、幽霊、妖怪の1000年

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    冒頭、藤原道長の「この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」を引用し、著者はこう言う。「これほどまでに栄華を極めた道長は、周囲の貴族から怨みや嫉みも大いに買っている自覚があった。その上、病気がちで精神的にも脆弱だったこともあり、非常にモノノケを恐れていたのである」(「まえがき」より)。はてさてあの道長がそんなものを怖がっていたとは?と古代史に詳しくない私などは思ってしまうのだが、古代の人びとにとって人間の体を抜け出した霊魂(元に戻る場合は「生き霊」、元の体に戻らなければ「死霊」であり、いずれも「モノノケ」[物気])は主として病気をもたらすものとして恐れられていたらしい。道長自身

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    2024年01月25日
  • 浄土真宗とは何か 親鸞の教えとその系譜

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    『浄土真宗とは何か』
    2023年5月22日

    親鸞の生涯やその思想について、簡潔にまとまった一冊。浄土真宗の入門にふさわしい。
    本書では、親鸞以前の平安時代における密教から平安浄土教、さらには源信による臨終行儀にも触れる。浄土真宗の前夜を説明することで、親鸞の思想における矛盾への理解がしやすくなっているだろう。

    本書は、親鸞の人間らしい側面に焦点を当てており、大変興味深かった。歴史上の人物、ことに宗教家ともなると、完璧超人いう理想化したイメージを抱きがちである。しかし、本書では人間味あふれる親鸞像が提示され、その苦悩にあふれた一端に触れることができ、親しみをもって読むことができた。

    親鸞の

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    2023年05月28日
  • 浄土真宗とは何か 親鸞の教えとその系譜

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    日本の仏教に求められていた現世利益をもたらす呪術的行為(加持祈祷)と『往生要集』に端を発する平安浄土教による臨終行儀に代表される自力信仰の影響は、他力本願を提唱し革新的と考えられていた親鸞とその家族、そして子孫たちに多大な影響を及ぼしていた。彼らの教義とその実際の信仰生活はまた別物であったことがよくわかった。

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    2019年01月04日
  • もののけの日本史 死霊、幽霊、妖怪の1000年

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    本書の本筋ではないが、霊と遺骨の関係、墓参り、霊魂観の変化などについて言及がある。
    これらに関心のある方は、一読の価値がある。

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    2024年05月12日
  • もののけの日本史 死霊、幽霊、妖怪の1000年

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    「もののけ」の言葉を紐解いた1冊。ぜひ派生して各年代の宗教、俗信を研究したくなった。
    コミカルな絵がもののけ好きな私には嬉しかた。
    美術にも時折解釈として触れながら進行するので、美術から見るのもののけの歴史も読んでみたい。(あるのかは知らないが)

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    2023年08月18日
  • 鬼と日本人の歴史

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    鬼滅好きが高じて鬼について知りたくなったため読んだ。

    鬼が日本でどう捉えられてきたのかという話。
    鬼は元々人間が死んだものとされていて、中国から渡ってきた。それが怨念を残して死んだもの、厄災を運んでくるもの、実在しないもの…というようにどんどん捉え方が変容していったが、障がいを持って産まれた子や外国人など、マイノリティを『鬼』として扱うのはあまり変化がなかった。
    その中でも女性に関する差別が酷く、女性は劣悪などと言われ鬼と見做されることも多いことに驚き衝撃だった。
    日本人特有なのかはわからないが、マイノリティを不気味なものと見做したり女性を劣悪だと考えている人はいまだにいるだろう。
    本書を読

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    2023年07月02日
  • 鬼と日本人の歴史

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    鬼って古来から日本に馴染みのものだけど、もともとは精霊だったんだね。仏教の影響を受けて現在の形になったみたいだけど、現世に未練を残す死者の霊が鬼になると認識されていたようだ。人間の妄執ってことに繋がるんだろうけど「鬼婆」という言葉はあるのに「鬼爺」とは言わないもんね。
    執念の差ですかね。

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    2023年05月20日
  • もののけの日本史 死霊、幽霊、妖怪の1000年

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    遥か昔、恐ろしい存在であった「もののけ」が時代の移り変わりの
    中で、どう変容していったかを豊富な史料から解き明かす。
    序章 畏怖の始まり
    第一章 震撼する貴族たちー古代
    第二章 いかに退治するかー中世
    第三章 祟らない幽霊ー中世
    第四章 娯楽の対象へー近世
    第五章 西洋との出会いー近代
    終章 モノノケ像の転換ー現代
    主要参考文献、古文書・古記録の幽霊一覧有り。
    もののけ、モノノケ、物の気。
    古代は得体の知れない死霊の気が病気や死をもたらす存在でした。
    天皇や貴族は、僧や陰陽師の調伏や供養に頼っておりました。
    時代が経るにつれて「もののけ」は変容していきます。
    調伏を行う者や手段の変容・・・双六

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    2021年02月27日
  • 浄土真宗とは何か 親鸞の教えとその系譜

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    歴史学の立場から、浄土真宗について、開祖親鸞やその家族、継承者らの信仰の実態を明らかにしている。
    これまで浄土真宗の開祖として理想化するかたちで語られがちであった親鸞、そしてその家族・継承者について、史料に基づいて、他力に徹しきれず、理想と現実の間で揺れ動く等身大の姿を描こうとしているところに本書の特色がある。
    本書を通じて、宗教者といえども、完璧ではなく、迷い、揺れ動く人間なのだということを感じた。また、本書は、臨終行儀への着目など、歴史学研究としても水準が高いものだと感じた。
    ただ、「浄土真宗とは何か」と表題を掲げているにしては、必ずしも教義どおりになっていない歴史的実態を明らかにすること

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    2017年05月25日
  • 鬼と日本人の歴史

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    鬼は桃に弱くて、だから桃太郎とかすげー!
    プロパガンダとして太平洋戦争中に桃太郎の映画が作られてたのこわ
    米英兵に見立てたツノが生えた西洋人と会談する桃太郎とかシュールすぎる

    12世紀の絵巻ですでに鬼のぱんつがトラ柄とかヒョウ柄なのかわいすぎるwwぎゃるww

    鬼ってバレないように頑張っても赤鬼の赤がちょっと残っちゃったり3本指のままでバレバレなのまじでかわちい

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    2024年03月01日
  • 鬼と日本人の歴史

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     鬼について、ひとまとめにした新書。鬼とは、時代によりとらわれ方は色々あり、外国からもたらされたもの、疫病といったところや、何より自身を正当化するために蔑視すべきマイノリティを鬼と見なしていたところが非常に興味深い。そしてそれは戦争期における鬼畜米英といったものも含まれ、現代においても、例えばコロナが蔓延し始めた時に、マスクをしていない者がいれば、自主警察といったものが現れたりするなど何処かでそういった狭い認識で他者を差別しているところが日本人は忘れてはいけないのであろう。
     参考文献の多さから、よくよく研究されていることが分かり、「おわりに」のコメントには鬼滅の刃にも軽く言及しているのは面白

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    2023年08月27日
  • 鬼と日本人の歴史

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    〝排他的かつ自己中心的な態度〟歴史の中だけのものではないだろう。入管法の改悪が話題とならない国にあっては。

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    2023年05月14日
  • もののけの日本史 死霊、幽霊、妖怪の1000年

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    ネタバレ

    もののけと一口に言っても、色々と歴史的に見ると変わってきているんです
    新書という内容にも関わらず、膨大な資料のレビューをされている(ここらへんは中公は新書といえどさすがの重厚感)
    他方で、「モノノケ」にかかる歴史資料のレビュー的な要素が強く、あまりこの分野に精通していない自分からすると結構文献自体がわからず、非常に微細な差異をつらつらと説明していく感じになっていて「面白さ」という視点でいうと今ひとつな感じ。
    この分野を先行する学生さんが、自分の論文のとっかかりにする。
    とかそういう感じではすごく役立つ書籍だと思う。

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    2020年12月26日
  • もののけの日本史 死霊、幽霊、妖怪の1000年

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    ネタバレ

    <目次>
    序章   畏怖の始まり
    第1章  震撼する貴族たち~古代
    第2章  いかに退治するか~中世
    第3章  祟らない幽霊~中世
    第4章  娯楽の対象へ~近世
    第5章  西洋との出会い~近代
    終章   モノノケ像の転換~現代

    <内容>
    「もののけ」を日本史のなかでたどりながら現代まで俯瞰したもの。中世が本職なのか、詳しく語っているが、少ししつこかった。

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    2020年12月12日
  • 浄土真宗とは何か 親鸞の教えとその系譜

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    比較的読みやすく読み進める事が出来ました。
    「良くも悪くも学者・研究者だなあ~」と言う感想。
    「宗祖・開祖としての親鸞ではなく歴史上の親鸞を」
    という試みとしては成功しているんでしょうが・・・。
    タイトルの「浄土真宗とは何か」は少しミスマッチかと。

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    2017年11月05日