河合蘭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
そろそろ妊活について考える時期に来ていると感じ、体系的に勉強しようと思って手に取った一冊。実用書というより、生物の授業を受けているような感覚で、純粋に読んでいて面白かった。
とくに印象に残ったのは、自分が思っていた以上に「知らなかったこと」「誤解していたこと」が多かった点。
たとえば、「とくに最近は、卵子を体外に取り出さない(タイミング法、人工授精)では、排卵誘発剤による多胎妊娠が問題になっています。」という記述。
人工的な介入をすると双子が増えるというのは考えてみれば当然な気がするが全く知らなかった。
また、「不妊症」という言葉も、体質のようなものを指すものだと思い込んでいたが、実際には「結果」を示す言葉にすぎないという点は目から鱗だった。
基礎体温についても、かなり信頼性の高い指標だと思っていたが、実際にはそう単純ではないこと、精子の量や状態が日々さまざまな条件で変動していることなど、思い込みを修正させられる内容が多かった。
また度々フォーカスされる生物としての怪奇現象、例えば以下
「ディッシュに入れられた精子は、不思議なことに、目も鼻もないのに卵子のいる方向を認識して、一斉に卵子に向かって泳いで行きます。その仕組みはまだよくわかっていません。」
いやわかってないんかい!生命すげーってなった。
読む前は必要な知識のインプットが最大の目的だったが、この本を通して、生命そのものの不思議さや奥深さをあらためて感じることができた。 -
Posted by ブクログ
不妊治療はここ数年で格段に進歩してきたということを耳にしていたため興味が湧き本書を手に取った。
率直に思ったことは、不妊治療には、未だに多額の費用がかかるということと、保険適用でない治療方法も少なくないようだ、ということだ。
本書でも述べられているが、限られた時間と費用を効率的に、使うべき時に使うことが肝要であると感じる。
また、ここ最近で科学技術は飛躍的に上がっているが、晩婚化や晩産化など、女性の活躍が求められる現代にあっては「産む自由」というものは過去より縮小しているとも言えると思う。
データに基づいた正しい不妊治療に関する知識は、現代人にとって必須なのではないかと改めて認識させられた。 -
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ネタバレ女性なら教養として必読。
自分メモ
ダウン症だと判明したときに、今後どうしたらいいのかわからない。産院等ではサポートが足りない。
事前にわかれば、療育や病院の備えができ、(出産前に判明し不安・悲しみ・悩んだ後となるので)幸せな出産となる。
アメリカでは人種が多様で遺伝病や病気・血液型(RHマイナスは日本はレアだがアメリカでは20/1)も多種多様となるので、日本みたいに貧血=鉄欠乏症だと判断・投薬のようにならない(遺伝性の病気の初期症状の可能性があるので)RHマイナスが多く、妊娠時胎児がRH+による血液型不適合妊娠が発生頻度が高く「胎児輸血」の必要性がある。その診断のためにも出生前診断の医学が発達してきた歴史。そこから遺伝子情報が発見解明され、それがいつのまにか治療の為というよりも、胎児の障害の有無を見る為のものへ変化した。(また超音波検査でみられるNT(首の厚さ)によってダウン症の診断がつけられる発見をした(胎児医療の父)ことにより、超音波による診断も進化(ただ普通の医者でもみたくなくても見えてしまうので、不確かな計測でNTを所見されてしまうということが発生する=専門の超音波診断クリニックにて受診する必要有り)
今は医者が施設・学校を越え結束し連絡をとって改革をすすめていっていくスタンスにかわりつつあるし、意見公募をしたりして閉鎖的ではなく広く説明会・意見(批判意見が寄せられそうな団体に意見を求めたり)を集めたりして急な見解・実施・導入等をせず、マスコミや周りと調子をあわせてやっていく風にしていくようになった。以前はそういうことをせずにやってきてたので、世間とのギャップが激しく苦労してきた。
P140 -
Posted by ブクログ
生まれて来るまで赤ちゃんの状態が分からないなんてのは、もう遥か
昔の話になりつつある。出産前に性別どころか胎児が抱えているで
あろう疾患までもが分かってしまう。
命の選別につながるのではないかと視点で語られることの多い出生
前診断を、その歴史から実際の検査方法、各診断にどんな議論が
あったのかを、門外漢にも分かりやすく記している。
女性の視点で書かれているので、実際に出生前診断を受けて、
迷い、苦悩し、決断をした女性たちへのインタビューをまとめた
箇所は妊娠・出産という大きな不安と期待に揺れる心に寄り
添うように、著者の思いやりが感じ取れる。
出生前診断でよく問題に上がるのがダウン症候群を持った子供の
生まれる確率だろう。確かに陽性と診断され、人工妊娠中絶をして
いる人もいるだろう。本書でも「陽性と診断されていたらどうしていた
か?」との著者の問いに「夫婦ふたりでの生活を選ぶ」と答えている
人もいる。
だが、それは一部の人であってメディアはその一部がすべてのように
報道していやしないか。
問題は出生前診断の善悪ではなく、診断後に妊婦さんの心の
ケアと生まれて来る赤ちゃんの治療方法なのではないだろうか。
日本ではその問題がクリアになる前に診断だけが広まってしまって
いるんだね。本書で紹介されているドイツの例では、妊婦さんの
相談に乗る機関が整備されているようなのだもの。
晩婚化が進み、初産の平均年齢も高くなっている日本の現状を
考えればドイツのように妊婦さんが出産に備えて不安を軽減
出来る機関が必要になると思う。日本でも僅かにそういった窓口
があるようだが、絶対数が足りないんじゃないのかな。
医学はこれからも進歩するだろう。そのうち、疾患を抱えた胎児を
母胎内で治療できる技術も進むだろう。
その時、妊婦さんやそのパートナーだけが悩みは不安を抱えるの
ではなく、心のケアも出来る制度として確立していると理想的だね。 -
Posted by ブクログ
日本の出生前診断の70年代からの流れを追い、現状までを見渡す1冊。デリケートな問題を扱いながら、丁寧で冷静であり、著者の「良心」を感じさせる良書である。
出生前診断とは、胎児の段階で、医学的な問題があるかどうか検査することを指す。
本来は、できるだけ早い段階で疾患を発見し、出産後速やかに治療に移れるようにし、可能な場合は胎児治療を行うことを目的としてなされる検査である。
だが、重篤な疾患が見つかった場合、妊娠の中断、すなわち中絶につながるケースは多い。
検査そのものが抱える問題点としては、羊水検査の場合であれば、頻度は低くても流産などの合併症の危険性を伴うことが挙げられる。また、どのような検査でも、陽性でないのに陽性と判断される偽陽性、陰性でないのに陰性と判断される偽陰性はつきものである。いくつかの検査を重ねれば偽陽性も偽陰性も低下させていくことは可能だが、0にすることは難しい。
不確定であっても陽性の検査結果を聞けば親は動揺する。ショックの中で、しかし、その検査が何を意味するのか、もしも診断を受けた疾患であったとしたら、その子を交えた生活はいったいどのようなものになるのか、情報が乏しい中で、あるいは自力で窓口を探し、あるいは途方に暮れることになりがちである。
近年、高齢出産が増えているが、高齢になれば染色体異常の率はまず間違いなく上がる。
不妊治療を受ける人も増える中、治療と出生前診断は背中合わせでもある。治療の成功率を上げようとすれば、胚の選別を行うことになるからだ。
こうした問題に、日本における「優生保護法」の歴史が影を落とし、また、医師の言うことを絶対視する「パターナリズム」の問題も絡んでくる。個々の判断を尊重するよりも、全体の足並みを揃えようとする社会の「空気」も無視できない。
医療の発展に伴い、選択肢が多様化していく中で、判断が困難なことは増えていく。現状では、実は、確率でしか語れないことは多いのだと思う。例えば癌のマーカー値がある程度高かったとする。放射線療法を選ぶか、切除するか、放置するか、選べと言われる。統計的に集計して、数値がどの程度の人がどのような経過をたどったかを記載することはできても、今、現実にどの治療法が自分にとって有効か、将来的に自分が「幸せ」かはわからない。そこはおそらく、患者個人についてどうかということは、医師であっても確実なことは言えない。だから患者が選ぶしかない、ということになる。
一般的な医療における選択に加えて、さらに出生前診断の難しいところは、それが「自分」ではなく、まだ生まれぬ「胎児」対象である点だ。重篤な障害が見つかったとして、その命を選ぶのか、選ばないのか、「決めろ」、というのは非常に酷な選択である。産むと決めても産まないと決めても、いずれにしても親には大きな心の負担がかかる。さらに試験自体を受けるのか受けないのかということに関しても、「もし精度が高く、危険性も少ない検査があるのならば、受けない選択は正しい選択なのか」と批判する人が出てこないとも言えない。
かつては見えなかったもの。しかし見えるようになってしまったもの。それをどうするか、社会はまだ、十分な準備は出来ていないのではないか。
結果が出たら専門医のカウンセリングが受けられるようにし、同じ疾患の子を育てる親へのつながりを作る。費用の面でも、人材の面でも、ハードルは高いが、そうした努力を続けていかなければならないのだろう。
日本ダウン症協会会長のスタンスが印象的である。協会は出生前診断の技術そのものには反対しない。但し、マススクリーニングのような形で検査を強いたり、ダウン症を初めとする染色体疾患を持つ子が生まれることを「不幸」と位置づけたり、逆に検査自体を受けさせないことには反対の立場を取る。すなわち、個々の夫婦の判断を尊重するという立場だ。
初めに触れたように、出生前診断の究極の目的は「治療」であるという。バチカン教皇庁教理省の見解を著者は引く。
【出生前診断は道徳的に正しいことか】
もし出生前診断が胎芽と胎児の生命と完璧さを尊重したもので、ひとりの人として護り癒すことを目的としているのであれば、答えはイエスである
現状では理想論に近くても、ここに込められた「祈り」は大切なものであると思う。
医師に判断を任せるのではなく、もちろん診断試験を営利主義的に使用するのでなく、科学者のみに委ねるのでもなく、子の親に責任を押しつけすぎず、社会で共有すべき問題なのだと思う。
鋭利すぎるハサミを手にしてしまった我々は、それを上手く使いこなすのか、それともそれによって傷つけられてしまうのか。覚悟を持ってあたっていくべきなのだろう。
それにはまず、ハサミ自体の特性を社会全体が注視し、よくよく考えていくことが必要なのだと思う。 -
Posted by ブクログ
卵子の老化。
昨今、マスコミの間で取り上げられることが多くなった言葉です。
人間の身体が老化するのだから、その中にあるものも老化するのが当たり前。
でも、なんとなく閉経までは産める。という感覚が、二年くらい前の私にもありました。
ここ最近、子供をもつということに、以前より関心を持つようになり、高齢出産を書いた本を読む機会が増えました。
この本は、自分が知りたかったことが完璧に書かれていました。
高齢出産のリスク、メリット、不妊治療方法、検査方法、産み方など。
それも、他の媒体のように高齢出産に不安を植え付けるだけ植え付けて、あとは放置。のようなものではなく、きちんと正確に事実が書かれており、その対策も書かれている。
この本は、これから産みたいと思っている女性には是非読んでもらいたい本ですね。
妊娠は、奇跡の連続だと思うのです。
高齢だから。とか、人工的だから。などによって、いろいろと周囲が産みたいと願う女性にマイナスな言葉を投げかけるのはおかしいと思います。
私の知人も相当なことを医師から言われたと聞きました。
正しい知識、正しい対応で、産みたいと願う女性に優しい社会になってほしいと思います。 -
Posted by ブクログ
妊娠の仕組みの基本と不妊治療が学べる1冊。
不妊治療の専門医と出産ジャーナリストの2人の共著で、専門的でありながらわかりやすいと思いました。
内容は、体外受精に関してが一番厚いかなと思います。
薬の種類も詳しく書いてありました。
特に勉強になったのが2点。
保険診療と自由診療の考え方と、卵子ができる仕組みについてです。
自由診療は保険診療でうまくいかなかったときのステップアップということで、なるほどと思いました。
保険診療はまだこれから対象となる治療が変わっていきそうなので、最新の情報をチェックしたいです。
また、卵子は卵巣内で常に目覚め続けているという点も初耳でした。
体外受精の採卵に際して卵胞を薬で育てることがあると知ってはいましたが、そうすると卵子の在庫を早くにたくさん使ってしまうのでは?と思っていました。
しかし、1つの卵子が排卵される際に、その1つに選ばれなかった卵子は消失してしまうところ、薬を使えば、消えてしまう運命だった卵子も成長させて採卵できる可能性が生まれるのは、妊娠の確率を上げるのに有効だし、言い方が難しいですが、限られた卵子を無駄にしないことになるのかなと思いました。
採卵のサイクルと胚の移植をするサイクルをずらしたほうが妊娠率が上がる理由も納得できました(採卵時はたくさんの卵胞ができるため、それらが出す黄体ホルモンの影響で胚が育つ前に子宮内膜が厚くなりきってしまう)。
え…?と思ったのは、食事や運動などの生活習慣では妊娠力はほとんど変わらないと断言していること。
医療行為に比べれば効果は少ないかもしれませんが、太り過ぎや痩せ過ぎはよくないでしょうし、体にいいことは妊娠にもいいのでは?と思うのですが…。
流産もあまり気にするなという感じで、不育症は?と思ったりもしましたが、科学で考える妊娠ということで、当然スピリチュアルは一切無し、メンタルに関することもほとんどなくて、いい意味でドライに学べる本です。
ブルーバックスと言えば、図書室にある科学の小難しい本というイメージでしたが、まさか不妊治療を学ぶに際してデビューすることになるとは…。
でも、読みやすいのが今さらながら体感できたのはよかったと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「出生前診断は病気が見つかった赤ちゃんを出来るだけ早期に治療するためのものである」
言われて見ればこれほど当たり前のことはないのに、恐ろしいことに「出生前診断は生まれてくる赤ちゃんに障害があるのかないのか判別し、産むのか産まないのか判断するための検査である」かのような認識をしてしまっていた自分に愕然としました。
出生前診断に関するニュースとして一緒に取り上げられている話題が、人工妊娠中絶のパーセンテージであることがあまりにも多いためにそんな刷り込みが無意識にされていたことをまずは大変反省しました。
特別支援教育に関わる友人と、知的障害者の兄弟がいる自分が先日この話題について熱く議論をしましたが、これはもう人の数だけ意見がありどれが正しいとも正しくないとも言えないことなのではないかと感じました。
それほどデリケートであり難しい問題だと思うのです。
それぞれの人生の中で、自分の生き方の問題や倫理観、家族のあり方などを考えて結論を出すしかないのだろうと思うのです。
ちなみに友人も私も子供はなく、今後年齢的に子供を持つこともないでしょう。
でも命の関わる問題は、見過ごせないと感じています。
この件に関しては「医学の進歩がいらぬ苦しみを増やした」そう思っていたこともありますが、本来の目的からすればそれは全く本末転倒の意見であることが本書を読むことでわかりました。
多分私のような認識や意見を持っていた人間に対して、著者の方は歯がゆい思いをされるでしょうね。
けれども、そもそも出生前診断とは、何なのかから始まりどのようなことをするのか、ということを知らない人が実際は世の中の大部分なのではとも思います。
医療と療育の連携、教育現場と療育の連携、福祉援助と療育の連携がうまく為されていない現状については、本書で述べられるまでもなく、何らかの状況で障害者と関わりのある人ならかなり実際に感じていることなのではないでしょうか。
本書に出てこられたような、本当に必要な情報が欲しいお母さんたちにすぐに必要なものを届けられるような何らかの体制が全国で整えられることを願います。
障害を持つ人が生きやすくなる世の中はそういう赤ちゃんが生まれてきても大丈夫、みんなで見守るよと言える世の中だと思います。
そんな世の中に…なって行っているとは、今は正直思えないですね。
あとがきから著者の方の強い思いが伝わりました。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
三〇歳で子どものいない女性が五〇%を超えた。
彼女たちは、本当に「産まない」と決めてしまったのだろうか?
仕事、結婚、実母、時代…「産む」と決められない彼女たちの、微妙で複雑な事情。
それでも待ったなしで動き続ける生き物としての時計。
悩み続け、先送りにした結果としての高齢出産、不妊治療。
少子化の本当の原因はいったい何だ?
データには現れない、彼女たちの声を聞け。
[ 目次 ]
プロローグ 自分の年齢を生きられない現代人
第1章 出産を引き延ばす人たちの事情
第2章 一体、いつまで産めるのだろう?
第3章 妊娠するということ
第4章 妊娠の医学
エピローグ 子どものいる立場から
巻末付録
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[ 参考となる書評 ]