ダニエル・ジブラットのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレアメリカを含め、世界各国の民主政治や民主化、そして独裁化の多様な経験を事例として多く引用し、民主主義の持続に必要とされる要素について理論を組み立てている。
制度的側面のみでは民主主義を保つことには十分ではなく、政治に参加するひとびと、政党、組織の間での不文律が大きな役割を果たしていることを論じる。相互的寛容と組織的自制心と概念化されているこれらの暗黙のルールが民主主義を支えるガードレールとして機能すると説明する。
二極化や政党の過激化とは、これらの不文律が四方八方で破られることで問題化し、主流派にも浸透し常態的になることでますます悪化する。
特定の人種や宗教、グループに対して排他的にならず、多様な人々を受け入れる基盤を作ることが、どの政党にも求められる。 -
Posted by ブクログ
ー 歴史は、建国者たちがまちがっていたことをすぐに証明した。政党やそれに付随する規範といった革新がなければ、フィラデルフィアで慎重に組み立てられた憲法が生き残ることはできなかった。制度というものは、たんなる正式ルールではない。
それを機能させるために必要な行動とは何か、という共通の理解も制度の一部に含まれるものなのである。建国当初のアメリカの政治指導者たちが優れていたのは、隙のない確実な制度を作り上げたからではなかった。彼らが質の高い制度を設計したうえで、その制度が機能するために役立つ共通の信念と慣習を苦労しながらも少しずつ作り上げていったからだ。
古くから、アメリカの政治システムの強さを支えるのは個人の自由と平等主義の原則だといわれてきた。ノーベル賞を受賞したスウェーデン人経済学者グンナー・ミュルダールは、その原則を「アメリカ的信条」と呼んだ。建国の文書に記され、学校の教室、演説、 社説で繰り返し謳われてきた「自由と平等」とは、自ら正当性を示すべき価値観であって、勝手に効果が発揮されるものではない。
相互的寛容と組織的自制心は〝手続きのための原則”であり、制度を機能させるために政治家がどのように法の範疇を越えて行動するべきかを教えてくれるものだ。この手続きにまつわる価値観もまた、アメリカ的信条の中心にあるものだと考えるべきだろう。なぜなら、このような規範がなければ、私たちの民主主義は機能しないからだ。 ー
民主主義がまるで空気のように存在していると思われがちだが、弛まぬ努力で維持・強化し続けなければ、脆く崩壊してしまうものだということがよく分かる作品。勝ち取り、評価し、維持・鍛錬すべき制度であることを再認識すべき作品で、某国の大統領が一回目に就任した頃に出版されたものなので、二回目の今、切迫性はますます強まっている。
そして、国家がこれなら、企業は?と問われる作品。 -
Posted by ブクログ
〈かつて民主主義は革命やクーデターによって死んだ。しかし、現代の民主主義の死は選挙から始まる〉――アメリカの事例を中心に、民主的に選ばれた代表が「独裁者」になっていく道筋を提示している。
本来、民主的な制度のうちには「独裁者」が生まれるのを防ぐためのしくみが備わっているはずだ。ところが独裁者は巧妙にその「たが」を外していく。それをサッカーにたとえている部分(p105)が秀逸だ。
●審判を抱き込む
公務員や非党派の当局者をこっそり解雇し、支持者と入れ替える
裁判所を支配する
メディアの買収
●対戦相手を欠場させる
対立している相手を捜査、逮捕、投獄、訴訟
実業家を標的にする
文化人を抑圧する
●ルールを変える
選挙区の変更
投票の制限
●「危機」を訴えてこれらを正当化する
こうして並べてみると、安倍晋三がやっていることと驚くほど一致している。
また、本書が「民主主義のガードレール」と呼んでいる2つの規範、「相互的寛容」と「特権の乱用を避けること」についても、「執拗な民主党政権批判」「臨時国会開催の義務を履行しない」「恣意的な解散権の行使」など、ぴたりと当てはまる。
本書の定義によれば、日本ではすでに民主主義は半ば死んでいて、安部独裁が完成間近であるということになる。暗澹とした気持ちになる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今、みんなが優しくない。
意見の異なる相手を敵とみなして、相手を叩きのめそうとする。
その背景には、そうしなければ自分のいる場所や、自分自身がないがしろにされる、失われる、そういう気持ちがあるのではないか。
アメリカで民主主義が衰え始めているというのは、
トランプさんが大統領になってからをみている人には、
感覚的に「そうだよね」と同意が得られることだと思う。
しかし本当のところ、アメリカの民主主義の衰退は、
トランプさんが大統領になるかなり前から始まっていた。
そしてそのことの起こりは、
時を経るにしたがってさまざまな人種から支持を集めるようになった民主党に対して、
相変わらず白人キリスト教徒からの支持が中心となっている共産党が危機を覚えたからだという。
彼らが感じている危機には二種類あって、
一つはその勢いが加速して民主党の支持者がどんどん増えると、単純に共産党の支持者が減って票が集められなくなるというもの。
そしてもう一つは、白人キリスト教徒こそがアメリカ人と考えている人たちにしてみれば、アメリカが失われるということだ。
よくテレビのニュースで、「アメリカを取り戻せ」みたいにシュプレヒコールしてるのみていて、不思議に思っていた。
私にとってアメリカは、色んな人種の人たちがいて、貧富の差はあれど、みんなが自由に生きれる国だと思っていたからだ。
実際、ニューヨークをブロードウェイ沿いにずっと歩いて行くと、色んな人に出会って、生活水準もさまざま。
でもみんな誇りを持っていそうに見えた。
でも、アメリカ人の中にはそういう感覚じゃない人もいるのだ。
人種という考え方がとても根強いのだ。
本書を読むと、差別という考えはもう当てはまらないように思った。
自分たちの立場、安全を守ってくれる(と思っている)人種。
なまじ、白人の人は以前は他の人種の人たちよりもデフォルトで優遇されていた時代があったものだからなおたちが悪い。
トランプさんなんてまさにその時代を知っている人だし。
そんなわけで、アメリカの民主主義衰退の背景には、未だ解決されない人種問題が身を潜めている。
それが引き起こす「自分たちを守りたい」と思う気持ちが、相手を叩きのめそうとする行動に変わってしまっているのだ。
本書で繰り返し提言される柔らかいガードレールを揺るがしているのはそんな人の中の気持ちだと思う。
これを読むと、大声で脅迫している政治家たちが、ブルブル震えてキャンキャン吠えている子犬に見えてくる。決して侮れない子犬だけど、ちょっとかわいそう。
日本も、日本の民主主義は何なのかちゃんと考えないといけない。
今の日本は緩やかな独裁と言っても良いのではないかと思えてきた。
ずーっと、自民党の独裁。
国民も特にいいと思ってるわけじゃないけど、誰もイヤだと言わないから続いてる。
日本の野党の人たちは、打倒安倍って言うけど、そこに自分たちのアイデンティティを求めないでほしい。
日本という国を良くする政治家でありたい、という気概をもっと持って欲しい。
その気概があって、きちんと勉強しているなら、対立することを目的にしてはもっと悪くなるだけだということが分かるはずだ。
前に進まなくてはいけない、そこで叩き合ってる暇はない。
アメリカの民主主義が衰退しているのは、ある意味必然だった。
まだ解決していなかった、人種の垣根をどうしていくかということが残っていたからだ。
だから、ここを乗り越えてもっと強い民主主義を作るチャンスでもある、めっちゃ難しいと思うけど。
日本にはきっとまた違う問題がある、日本は日本でオリジナルの課題に自分たちで臨まなければいけない。
それが何かはまだわたしには分からないけど、
でもそれはみんなでやることなんだ。
誰かがやってくれることではない。
政治の場で見えていることは、世の中の縮図でしかないんだ。
下らないな、ダサいなって国や政治のことを思う時、
それは私たちがそうだってことなんだ。 -
Posted by ブクログ
ぼくが考えた最強の民主主義の実現について。
ちょっと揶揄する言い方で申し訳ないが、民主主義とはこうあるべきで、その民主主義を阻害するしているのはこれだという。
民主主義、それも、多民族民主主義が絶対正しくて、そのシステムによって生み出されるものについては一切評価していない。
言ってるのは、アメリカの民主主義。
理想に燃えた野蛮人による深みのない人工実験国家として成立したアメリカ。
その、世界最初の成文憲法であり、最初の民主主義とか吠えとるが、要は理想と妥協の産物。
彼らがやりたかったのは政治ではなく政局。権力を握るためには握らせないためには何でもする。そんな感じやん。
なんでこいつら、「公平」という名のルールが好きなんか。しかもその「公平」のルールを、自分たちに有利になるようにしたがる。何が公平か。
なんでこいつら、そんなに差別が好きなんか。差別好きなくせに、認めようとしないんか。そもそも、1965年になるまで、ろくな選挙もできなかった国が、何が民主主義の優等生なんか。
大統領選挙だけ見ても、変なことやっとるなと思っていたのだが、基本的に変な国なのだと改めて認識。
白人だけが優等な国にしたければそうすれば良かったのに。ハナから矛盾を抱え込み、綺麗事を言おうとして、自己崩壊してる感じがした。
決して、「公平」な本とは思いませんでした。