原題は、「Loving What Is」(あるがままの現実を愛する)。
以前、「人生を変える4つの質問」というタイトルで翻訳され、
既に絶版となっているものを、再度翻訳しなおして「ザ・ワーク」
と改題して発刊したものです。
著者のバイロン・ケイティの「ワーク」のやり方を説明した本です。
こ
...続きを読むの「ワーク」は、世界中で行われているにもかかわらず、
日本では細々と紹介されるに留まっていました。
しかし、C+Fという、体験的なワークを通じて企業や個人の
成長を支援している企業により、正式に紹介されるようになりました。
ちなみに、日本での公認ファシリテーターは、現在のところC+F代表の
ティム・マクリーンさん1人であり、本書は彼とそのパートナーである
高岡よし子さんが監訳されています。
「人生を変える4つの質問」というタイトルはキャッチーで、
誇張と感じるかもしれないけれど、実際試してみたところ、
そうともいえず、かなりのインパクトを感じました。
ちなみに、4つの質問というのは、
ストレスを感じているある考え方について、
1.「それは本当でしょうか?」
2.「その考えが、本当であると絶対言い切れますか?」
3.「そう考えるとき、(あなたは)どのように反応しますか?」
4.「その考えがなければ、(あなたは)どうなりますか?」
という質問をしてみる、というものです。
私は実際にC+F主催の「ワーク」に参加してみましたが、
そこではほかにも「置き換え」ということをします。
例えば、「彼は私を大切にしていない」という考えがあるとき、
・内容を反対に置き換える・・・「彼は私を大切にしている」
・主語を置き換える・・・「私は彼を大切にしていない」
・自分自身に置き換える・・・「私は私を大切にしていない」
と置き換えて、それを読み上げてみたときの感覚をじっくり味わいます。
その他にも、効果をあげる為に細かい工夫はあるのですが、
原則はそれだけです。
これは、やってみると分かるのですが、結構ダメージを受けます。
現実というものは受け入れるまでは非常に辛いものだが、
受け入れてみれば自分の誤った信念より、やさしいものだということに
気づきます。
バイロンケイティの言葉によれば、「ワークは、自分がこういうものだと考え
ていた世界の終わりなんです。そして、あるがままの現実の美しさを受け
入れる始まり」です。
ワークショップは非常に効果的ですが、本の中に出てくるワークシートを
実際やってみるだけでも、かなり効果を実感できると思います。
驚くべきことは、ケイティはこの「ワーク」を、うつから脱出する際に、
自力で発案したということです。
うつ状態というのは、普通は思考が限定され、考えが硬直化して
閉塞的な考えしか出来なくなることが多いと聞くのですが、
置き換え(turn around)などという発想は自由で柔軟性に
富んでいる必要があると思うのです。
現在150人以上の認定ファシリテーターをもち、10数カ国で
ワークが行われていることを考えると、
シンプルだけどパワフルなこのワークの本質に驚かされます。