「平成の社会と宗教」というテーマで4人の論者がそれぞれの立場から平成の30年を振り返り語った本。
平成の30年間は、ぼく自身が生まれてから今までの期間とほぼ一致したので、この30年間の振り返りはすごく身近に感じた
今まで宗教について、深く考えたことがなく、なぜ人は宗教にはまるのか?について考えさせ
...続きを読むられたり、仏教やキリスト教など2000年以上もの変わらず続いている宗教を学ぶ意義があるのかを考えるきっかけになった。
WHOによる健康の定義も1998年にスピリチュアルという言葉が加わるほど宗教は密接に関わっている。
こと日本では宗教に対する嫌悪感は多少あるようだが、これはおそらく1995年の地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教の影響が大きい。
しかし、実際は宗教団体に対する信仰は低下しているものの、パワースポットやオーラなどのスピリチュアル(宗教性)に関しては、存在意義が強くなってきている。
これは、ひとえに現在の人たちの「生きづらさ」を反映している。
昭和時代の敗戦から豊かな日本を取り戻そうと一丸となってひたむきに頑張っている時代には感じることのなかった「なぜ生きているんだろう」という悩みが、バブル崩壊後の平成に一気に溢れてきた。
ものは溢れて豊かなのに、なぜか生きている実感がない。そういう人にとって、拠り所にできるもの、それが宗教なのだろう。
個が強くなってきている昨今、教団としての宗教は弱くなっているかもしれないが、教団とは関係ない個人に対する宗教性は強い。
人が何を拠り所にして生きていくのか?最近は高齢者の在宅医療に関わっているので、いろいろ考えるきっかけになった。