「モリタは変じゃないよ。変態だけど」(前作『生きろ!モリタ』より)
天然ドSで自由で不思議な本作のヒロイン・彩ちゃんのこの言葉が、「モリタ」シリーズの愛すべき部分を的確に表わしていると思います。
主人公のモリタは、彼女いない歴=年齢=童貞、SM大好きな究極のヘタレ男(ドM)。前作『生きろ!モリタ
...続きを読む』で、SMのパートナーを探して出会い系サイトに登録し、彩ちゃん(ドS)と出会いました。モリタが容赦なく苛められ、彩ちゃんはひたすら楽しそう、という関係ながらも二人はなんとなくいい感じに……? という展開だったのですが、今作『待て!モリタ』では、そこからパタッと彩ちゃんからの連絡が途絶えたり、最強のライバルが登場したりとモリタの受難は終わりません。
モリタは自分のドMに正直ですが、そんな自分が変態でダメな人間だと思っています。
更に今回は、最強のライバルに「定職がないのかね?」と真っ正面から問われ、更なるアイデンティティの危機に見舞われます。
そんな自分を変えようとするモリタの健気さもさることながら、『待て!モリタ』でも彩ちゃんの一言が素敵なんです。
「なにやっても、モリタはモリタだよ」
ダメでも良いんだよ、とかじゃなくて、、何か分かりやすいステータスを得て楽になろうとしているモリタの頭をガツンと殴る優しい一言だな、と思います。
私も自分の変態と共に生きていこう! という気持ちに(なって良いのかという意見もありますが)なれる一冊です。