ジョン・ヴァードンのレビュー一覧
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本書は、深い問題を抱えた登場人物たちに驚くべき自己開示の瞬間を迫るという、絶妙なプロットのサスペンス小説である。
ニューヨーク市警のトップ殺人捜査官を退職し、現在はニューヨーク州北部で妻のマドレーヌと新しい生活を始めたデイブ・ガーニー。
「数字を一つ思い浮かべて見ろ!」
そんな彼の元にこのような文面の手紙が何週間にも渡って届き続けたのだ。この手紙は、ガーニーにとって退職後のマンネリ化した日々に刺激を与えるものであった。しかし、ほどなくして大規模な連続殺人事件が発生し、ガーニーは捜査に巻き込まれることになる。手紙の主は、脅しと警告に満ちた韻を踏むのが好きで、証拠を残さず捜査陣をいつも煙に巻 -
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ネタバレ『硝子の塔の殺人』で内で触れられていて気になったので購入しました。久しぶりの海外ミステリ。
トリックそのものはわりと素直な印象ですが、冒頭からのTHE本格読んでるときのドキドキ感が味わえたのが良かったです。続きが気になって一気に読んでしまいました。主人公の元刑事と奥さんの哀愁漂う倦怠期描写にも緊張していたので、再生に向かうラストも心地よかったです。
ところで「1-1000の間の数字をひとつ思い浮かべろ」と聞かれたら、皆様なら何が浮かびますか?本編とは関係ないものの、このテストを現実で実際にやってみたらどういう分布になるか、それも興味が湧きました。 -
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ネタバレあくのある登場人物が織り成すアメリカ的な骨太警察物と怪事件のトリックの解明が主である本格ミステリとの見事な融合。
序盤は、”お前のことは全てお見通しだ”的な脅迫文とその後に続く全くわけのわからない殺害現場、何か個人的な恨みを買うようなことがありそうな被害者にまつわる誰が何のためにという謎でぐいぐい引っ張られる。
そうかと思うと別の場所で類似の手口の事件が発生し「え!?」と全く予期せぬ展開に。
ときおりある主人公で元警察感のガーニーと妻のメデリンの意味深な、かつぎすぎすした会話が適度な緊張感を生むと共に事件解決への糸口となっていることも、何か根底で通じ合う愛がある故の賜物という気がして、夫婦 -
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『本格ミステリ・ベスト10』で高評価だったので読んでみた。男に手紙が届く。その中には脅迫めいた文章と「1000までの中で数字を一つ思い浮かべろ」の文字。男が三桁の数字を思い浮かべて同封の紙を広げたら、正にその数字が書いてあった。後日、同じように数字を当てられ、その男は不可能状況の中で殺される・・・というミステリ。
黄金時代の本格ミステリが現代に甦った、との宣伝文句だが、確かに重厚で良く構成された作品だった。
何とも不思議な現象の割に、解明されたトリックは驚くほどの事では無かったし、もう少し簡潔(半分位のページ数)に書かれていたら尚更良かったが、傑作である事は間違い無い。 -
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引き込まれる謎。それがミステリーにおいて一番の魅力ではないだろうか。
数字を一つ思い浮かべろ。
スピリチュアル団体を運営するマーク・メレリーの元へ
そう記された奇妙な封書が届く。
658という数字を思い浮かべたメレリーが同封されていた封筒を開くと、
そこにあったのは先ほど思い浮かべた658と印字された数字が。
数々の難事件を解決してきた退職刑事のデイヴ・ガーニーに
持ち込まれたその怪事は、手品めいた謎と
奇怪な暗示に彩られた連続殺人へと発展する。
あらすじを読む限り、こんなに魅力的な謎は早々ないと胸が躍った。
頭で思い浮かべた数字を言い当てる。そんな芸当どうやるんだ?と。
そうワクワクしな -
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退職刑事のガーニーは大学の同級生から
奇妙な相談を受ける。
スピリチュアル系の団体を運営している彼に
まず一通の封書が届き、そこに
「数字を一つ思い浮かべろ」とあったという。
同封されたもう一通には、まさに今
思い浮かべた数字が書かれていた!
という導入部から始まるのですが
正直、第一部はこの主役のガーニーが
退職後にヘンなアート制作にはまったり
過去のなんらかの事故で失った息子のせいで
奥さんとギクシャクしていたりと
やたら内向きなので
まさかイヤミスな結末じゃ…と思ったよ。
しかし、その同級生が殺されて
(雪中に消える犯人の足跡!)
同じように手紙を送りつけられ
殺される人が出てきたあ