あらすじ
まるで手品のような謎、謎、謎。
思い浮かべた数字を的中させる殺人者。警察小説と本格ミステリの融合。
数字を一つ思い浮かべろ。その奇妙な封書にはそう記されていた。658という数字を思い浮かべた男が同封されていた封筒を開くと、そこにあった数字は「658」! 数々の難事件を解決してきた退職刑事に持ち込まれた怪事は、手品めいた謎と奇怪な暗示に彩られた連続殺人に発展する。眩惑的な奇術趣味と謎解きの興趣あふれる華麗なミステリ。
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マジックのような話の謎解きが面白い。トリックは奇抜では無く、なるほど、相手にそう思わせることが大事なんだ、と納得。要は、マジックって、こういうことなんだ、と。心理描写も深くて、一気に読んだ。
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「数字を一つ思い浮かべろ」(ジョン・ヴァードン : 浜野アキオ 訳)を読んだ。
かなり本格的な謎解きミステリーです。
と同時に、家族の愛と絆の再生の物語でもあるのだな、これが。
とにかく面白い。
犯人はかなり早い段階で察せられるのだけれどそのトリックについては『アッ!』でした。
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3.6
冒頭からタイトルにもなっている出来事が起こり、一気にストーリーに引き込まれます!
黒幕は、しっかりと読めば納得の黒幕…なのだろうけど、特に驚きはしなかったな。
主人公の、奥さんとの関係や子供たちのことなど、事件と直接関係ない?事も味わいがあって良い!
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本書は、深い問題を抱えた登場人物たちに驚くべき自己開示の瞬間を迫るという、絶妙なプロットのサスペンス小説である。
ニューヨーク市警のトップ殺人捜査官を退職し、現在はニューヨーク州北部で妻のマドレーヌと新しい生活を始めたデイブ・ガーニー。
「数字を一つ思い浮かべて見ろ!」
そんな彼の元にこのような文面の手紙が何週間にも渡って届き続けたのだ。この手紙は、ガーニーにとって退職後のマンネリ化した日々に刺激を与えるものであった。しかし、ほどなくして大規模な連続殺人事件が発生し、ガーニーは捜査に巻き込まれることになる。手紙の主は、脅しと警告に満ちた韻を踏むのが好きで、証拠を残さず捜査陣をいつも煙に巻く一筋縄ではいかない人物である。
これに対し、捜査活動の中心人物となったガーニーは、ほどなく地元警察を驚愕に陥れるほどの推理力を発揮することになる。あたかも千里眼のように見える相手と知恵を競い合うガーニーだが、悲劇に彩られた過去は次第に彼を悩ませ、いつしか結婚生活に危険な断崖絶壁を予感させることになる。
この本で私が印象に残った点は、随所で発生する法執行機関の不可解な決定と不信感が漂ってくる点である。途中から、アメリカの刑事ミステリの王道である警察機構内部の対立構造が絡み始め、捜査活動とは別の圧力で苦悩するガーニーの姿が非常にもどかしくなるところもGoodであった。
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『硝子の塔の殺人』で内で触れられていて気になったので購入しました。久しぶりの海外ミステリ。
トリックそのものはわりと素直な印象ですが、冒頭からのTHE本格読んでるときのドキドキ感が味わえたのが良かったです。続きが気になって一気に読んでしまいました。主人公の元刑事と奥さんの哀愁漂う倦怠期描写にも緊張していたので、再生に向かうラストも心地よかったです。
ところで「1-1000の間の数字をひとつ思い浮かべろ」と聞かれたら、皆様なら何が浮かびますか?本編とは関係ないものの、このテストを現実で実際にやってみたらどういう分布になるか、それも興味が湧きました。
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ある日、被害者のものとに一通の手紙が届き、そこには被害者が思い浮かべた数字が書かれていた。
このトリックの発想は実現がどれだけ可能かは別として面白かった。
主人公もなかなか魅力的。
ただ、最後行きつくところは予想通りで、なぜこの主人公が思いつかなかったのだろうというのがちょっと残念。
続編があるようなので次作翻訳を待つ。
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あくのある登場人物が織り成すアメリカ的な骨太警察物と怪事件のトリックの解明が主である本格ミステリとの見事な融合。
序盤は、”お前のことは全てお見通しだ”的な脅迫文とその後に続く全くわけのわからない殺害現場、何か個人的な恨みを買うようなことがありそうな被害者にまつわる誰が何のためにという謎でぐいぐい引っ張られる。
そうかと思うと別の場所で類似の手口の事件が発生し「え!?」と全く予期せぬ展開に。
ときおりある主人公で元警察感のガーニーと妻のメデリンの意味深な、かつぎすぎすした会話が適度な緊張感を生むと共に事件解決への糸口となっていることも、何か根底で通じ合う愛がある故の賜物という気がして、夫婦の絆を取り戻すという副ストーリーとしての良いスパイスになっていた気がする。
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1から1000までのうちから、数字をひとつ思い浮かべろ。お前が思い浮かべる数字はわかっていた。658だ。
本格ミステリとしての成功は、魅力的な謎を提示できるかにかかっていると思います。難解なだけでも、論理的なだけでもだめで、魅力的な謎。その点、本書の謎はワクワクします。解答は少しやっぱり感がありましたが、こちらが謎に引き込まれた時点で作者の勝ちです。哀愁漂うおじさん刑事(元)ものには名作が多い。よい読書の時間でした。
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魅力的な謎と、切ない家族の物語。ひきつけられて読んだ。難を言えば、ちょっと冗長な感じのところがあると思うが、丁寧な描写であるとも言える。ここらへんは好みかな。
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『数字を一つ思い浮かべろ』という手紙から始まる惨劇と、元警察官の捜査。
沢山のトリック、推理。
エキサイティングな中にも家族の切なさを感じずにはいられない。
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『本格ミステリ・ベスト10』で高評価だったので読んでみた。男に手紙が届く。その中には脅迫めいた文章と「1000までの中で数字を一つ思い浮かべろ」の文字。男が三桁の数字を思い浮かべて同封の紙を広げたら、正にその数字が書いてあった。後日、同じように数字を当てられ、その男は不可能状況の中で殺される・・・というミステリ。
黄金時代の本格ミステリが現代に甦った、との宣伝文句だが、確かに重厚で良く構成された作品だった。
何とも不思議な現象の割に、解明されたトリックは驚くほどの事では無かったし、もう少し簡潔(半分位のページ数)に書かれていたら尚更良かったが、傑作である事は間違い無い。
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引き込まれる謎。それがミステリーにおいて一番の魅力ではないだろうか。
数字を一つ思い浮かべろ。
スピリチュアル団体を運営するマーク・メレリーの元へ
そう記された奇妙な封書が届く。
658という数字を思い浮かべたメレリーが同封されていた封筒を開くと、
そこにあったのは先ほど思い浮かべた658と印字された数字が。
数々の難事件を解決してきた退職刑事のデイヴ・ガーニーに
持ち込まれたその怪事は、手品めいた謎と
奇怪な暗示に彩られた連続殺人へと発展する。
あらすじを読む限り、こんなに魅力的な謎は早々ないと胸が躍った。
頭で思い浮かべた数字を言い当てる。そんな芸当どうやるんだ?と。
そうワクワクしながら読んでみたが、正直肩透かしな印象ではあった。
テンポの悪さがどうにも目立ち、それも悪影響したのかもしれない。
冒頭、謎が我々に提示されるまでの展開は文句なしだったが、
その後の失速感がどうにも残念でならなかった。
非常に惜しい一作。
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退職刑事のガーニーは大学の同級生から
奇妙な相談を受ける。
スピリチュアル系の団体を運営している彼に
まず一通の封書が届き、そこに
「数字を一つ思い浮かべろ」とあったという。
同封されたもう一通には、まさに今
思い浮かべた数字が書かれていた!
という導入部から始まるのですが
正直、第一部はこの主役のガーニーが
退職後にヘンなアート制作にはまったり
過去のなんらかの事故で失った息子のせいで
奥さんとギクシャクしていたりと
やたら内向きなので
まさかイヤミスな結末じゃ…と思ったよ。
しかし、その同級生が殺されて
(雪中に消える犯人の足跡!)
同じように手紙を送りつけられ
殺される人が出てきたあたりから
俄然、謎解きメインになり
ガーニーも飛び回るようになったので
読むスピードもアップ。
数字の謎も足跡の謎もきっちり解けてすっきり。
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そういうトリック!!!!!!
うわぁーーー!!!!!
っていう。そんなぁーえぇーって。
なわけで、ミステリーとしてはとても楽しめましたが、主人公が女関係でやけに心がぐらついてる様子がなんだか煮え切らないやつで。
そっちの方がわたし的になんだかなぁーって感じでした。
いくならいけ!ってかそんな度胸もねーなら大人しく謎でも解いてやがれ。
と、思ってしまいそうだった。笑
奥さん、とっても良い奥様なのに。
そこだな。そこだけやけに鼻にかかる男で、全体通してマイナス。笑笑
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題名から勝手に数学の話だと思ったがそうではなく、トリックはシンプル?答えがわかったらなるほどーと思った。
マデリンとガーニー?の夫婦の間がいろいろ気になった。大丈夫なんだよね?
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人間関係を巡る内省やら心情描写が長々としていてくどいと思ってしまったのが正直なところ。
タイトルやあらすじに惹かれて読んでみたものの、正直なところ拍子抜け...
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難解な謎が次々と出てくる。
黙々と考え、行動するガーニー。要所要所で的確な言葉をくれる奥さんのマデリンの存在が尊い。
数字のトリックはそういう事ですかという感じでした。
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600ページ近く時間がかかってしまったが、一度も登場人物欄をめくることなく、内容に興味が持てず、さりとてイライラすることもなく読み終えた。ただ長く単調。内容は半分以下かと。早期退職した警察の人が友人のために事件に巻き込まれるが、またこの「元」っていうヤツがね。。。組織のルールとかしがらみを書くのが面倒だからだろ、としか感じられず。この本の良さは奥さんがとっても素敵。教養あり賢く、旦那に放置されるの勿体ない。長期の旅行行きなよ。旦那はほっとけ。
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トリックや謎解きは面白かったです。560ページ以上に及ぶ長編で、あの始まりからよくぞこの結末まで、と読後は感慨深いものがありました。残念なのは魅力的な登場人物が出てこなかったこと。印象に残ったのはウィッグ巡査部長ぐらいかな。主人公ガーニーもキャラクタが定まってない感じがしました。シリーズ第一作とのことでこれから書き込まれていくのかもしれません。
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退職して田舎に移り住んだ刑事のもとに、大学時代の友人から連絡が入る。今は自己実現教祖として成功しているが、自分の心を読む相手に、記憶にない過去の悪行で脅迫されている。調査を進めるうちに友人は惨殺され、同様の連続殺人が起きていたことが判明。
いろいろな謎がある、正統派ミステリー。サブストーリーは、刑事という仕事・妻との関係性・没交渉になっていた息子・亡くした息子
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このミス海外編9位。
退職刑事のもとに友人から助けを求める連絡が入った。脅迫状めいた奇妙な手紙に悩まされているのだが、その相手は彼が思い浮かべた658という数字を言い当てたらしい。やがて殺人事件が起こり、一面の雪の中、犯人の足跡は森の中で途切れていた…
序盤は不可能犯罪の本格めいたすべり出しだが、メイントリックはわりとありがちで、それよりも連続殺人になった中盤からは一気読みで警察小説として面白かった。
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警察小説で、本格で、シリアルキラーものという、美味しいとこ取りです。分厚いですが、文章は読みやすく、最後まで読み通せました。
メインのトリックは、読み始める前から、これしかないだろな、と思っていたのが、そのままだったので、意外性はあまりありませんでしたが、普通に楽しめました。
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2010年の作品らしいが、本格ミステリに関して先頭を走っている日本で2018年に出すにはちょっと遅かったんじゃないかという印象。TRICKとかが10年以上前に通り過ぎている地点のような。
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まあトリックそのものは奇抜なものではないがそれをミステリーと上手く繋げてると思う。主人公の性格のせいか、何故か全体としては盛り上がりに欠けるように感じるのは少し残念だか、この辺は人によっても感じ方が違うと思う。ミステリーとしては基本を抑えたいい作品だと思う。
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時折饒舌な部分はあるものの丁寧な文体と翻訳を感じさせない訳文に好感を持った。トリックや犯行の動機そのものにそれほどの新鮮味はないが、飽きることなく読み進むことができた。登場人物の描き分け方も巧みである。
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デイヴ・ガーニーは四十七歳。いくつもの難事件を解決してきた超有名な刑事だが、今はニューヨーク警察を退職し、デラウェア近郊の牧草地に十九世紀に建てられた農館で暮らしている。事件解決以外に興味を持たない夫と二つ違いの妻マデリンとの間にはすき間風が吹いていて、それは近頃ではどんどん強くなってきていた。早期に退職したのはそれも原因の一つだった。
どんな資産があれば、ただの元刑事がそんな優雅な引退生活を送れるのだろう、と素朴な疑問がわくのだが、ともかくそんな元刑事のところに事件は突然舞い込んでくる。大学時代の友人に送られてきた奇妙な手紙の一件だ。手紙には「数字を一つ思い浮かべろ」と書かれていた。友人は658という数字を思い浮かべた。同封の小さな封筒を開けるとその中に入っていた紙には、658と記されていた。なぜ差出人は前もって知ることができたのか、というのが謎だ。
クラブのショーの一つに読心術というのがある。それと同じ手口だが、サクラを使えない手紙で、どうしてそれができたのか。しかも、手紙には続きがあり、なにやら復讐めいた匂いすら漂う。今は成功者だが、かつて酒浸りだったことのある友人は当時のことを覚えておらず、恐怖を感じてガーニーを頼ってきたのだ。初めは警察に知らせろと言っていたガーニーだが、その友人が殺される。
被害者は割れたガラス瓶で喉を何度も刺されて死んでいた。しかし、不可解なのは雪の上に残された犯人の足跡だった。現場から規則的に続いた足跡が途中で消えていたのだ。何という古典的なトリックだろう。近頃とんとお目にかかれないべたな足跡消失ネタである。読心術に雪上に残る足跡。古き良き探偵小説の読みすぎだろう、とツッコミの一つも入れたくなるところだが、それでいてこの小説けっこう読ませる。
ガーニーは地方検事の要請で、捜査に協力することに。すると、間を置かず、ブロンクスでもウィチャーリでも殺人事件が起きる。被害者は一様に喉を指されているのだ。しかも、現場にはしりとり遊びのように殺人の行われた地名を示す何かが残されていた。もっとも、そのことに気づくのはガーニーではなく、彼の妻であるマデリンなのだが。そう、このガーニーという凄腕の元刑事、前評判は高いくせにひらめきという点では妻にかなわない。
それというのも、何かというと自分の過去や現在の家庭内の問題にばかり頭を悩ませているからだ。実は父親に疎まれていた過去を持ち、今は前妻との間にできた子とは疎遠で、マデリンとの間に生まれた子は事故で失くしている。妻との間に溝が生まれたのはその事故がきっかけだった。ガーニーは子どもの死以来、家庭を顧みなくなっていた。自分が眼を離した間に息子が交通事故に遭えば、自分を責めるのは当たり前だと思うが、妻の眼から見るとまるで自分を罰しているように見える。
謎解き物の本格ミステリのように見えるが、評判の割にはガーニーの捜査にキレはない。むしろ、口は悪いが腕は立つディックもふくめ、妻のマデリンや捜査本部のチームに属する冷静沈着な女性巡査部長ウィッグや同じく女性心理学者のレヴェッカに助けられている。むしろ、刑事でもないのに長時間車を運転して現場に向かい、現場を仕切る刑事に煙たがられるガーニーの姿は、どちらかというとハードボイルド小説の探偵のようだ。
シリーズ化を考えているらしいが、数字のトリックはまだしも、消えた足跡の方はあまりにも時代がかっている。謎解きならよほど目新しいものを持ってくる必要がある。他の人気シリーズとの差異化を図るなら、ニューヨークという大都会ではなく、キャッツキル渓谷という山間地を舞台にしている点はポイントになる。もう一つ、アームチェア・ディテクティブ役を振られているマデリンとのコンビを強化し、今後も二人三脚でやっていくことを強く勧めたい。