遠藤公男のレビュー一覧
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ネタバレ著者の出身地である岩手を中心に、ニホンオオカミの生態から近代の記録、絶滅までを語る。
江戸時代の引用文も口語体で読みやすく、当時の情景がリアルに想像できる。
著者が実際に足を運んで取材した狼酒やアンダーソンの狼の剥製について書かれた部分は、興奮がよく伝わってくる。(写真付き)
狼といえばハスキーのような精悍な獣を想像するが、犬と骨格を比較すると、意外にもニホンオオカミの額の凹凸はなだらかだったようだ。
一般に、大型犬より小型犬は寿命が長いことが知られているが、
生態について書かれた4章(70頁)では、
大型のハイイロオオカミより小型のニホンオオカミの方が寿命が短いのではないかとある。
な -
Posted by ブクログ
遠藤公男『ニホンオオカミの最後 狼酒・狼狩り・狼祭りの発見』ヤマケイ文庫。
ニホンオオカミに惹かれて何気に購入した本だが、著者はかつて自分が30年余り暮らしていた岩手県一関市出身ということに驚いた。
主な舞台は岩手県。かつて岩手県全域に生息していたニホンオオカミは明治30年代の後半に絶滅したとされる。山々があちこちにあり、広大な岩手県のこと、ニホンオオカミが密かに今も生き延びているとしたら、面白い。
大槌の民家で発見された謎の狼酒。岩手県に残された古文書から辿るニホンオオカミ捕獲の記録。ニホンオオカミの生存を知る古老たちの貴重な証言。新たに発見されたニホンオオカミの頭蓋骨と根付け。間違い -
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借りたもの。
絶滅したニホンオオカミとは何だったのか?なぜ絶滅したのか……記録映像も残っていないその姿、その最後を追うルポルタージュ。
もはや物語の中にしかその姿を見出せない、想像をかき立てる存在となってしまったオオカミ。とくに東北――遠野物語――に残るオオカミの話に基づいて、その生態や民間信仰などを取材してゆく。
文書記録と現存するオオカミの生態と照らし合わせながら、それらを紐解いてゆく。
冒頭から秘薬・狼酒の存在や、ニホンオオカミのはく製は世界にたった3体しか現存しないこと(しかも造りがイマイチ)、その生態について分かっていることが少ないことが示される。
『遠野物語』だけでなく、東北の記 -
Posted by ブクログ
滅びゆくものにはロマンがある。
ニホンオオカミが明治の世には絶滅したのは多くの人が知っているだろう。
筆者は岩手県の中でオオカミが懸賞をかけられ滅んでいくさまを丁寧に発掘している。
もちろん習俗や生態にも触れていて、江戸から明治にかけての岩手の様子にも興味を惹かれるものがある。
基本あくまでも岩手の中で取材なので、ニホンオオカミの最後との題名には若干違和感を覚える。可能ならば、日本全国で取材をして、その最後を詳らかにしてほしい。
三峰信仰は関東地方にもあるので、その昔オオカミは日本全国どこにでもいたのだろう。かなわぬこととは言え本物に会ってみたい。